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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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8年前の恐怖

 8年前の恐怖





 その報告を聞いた時、ギネヴィアはブードゥーの聖地に居た。
 身代わりを立てて、密かに抜け出すことは一部の人間しか知らない。
だからこそ、今回の失態が起こったのだ。
「何ですって!」
 考えられない事だった。
 いや、確かに自分はブリタニアには居ないが、兄が残っていたはず。
 なのに!
「帰ります」
 修行は途中だったが、それよりも重大な事なのだ。
 急いで帰る先はブリタニアの兄の元。
 事の真相を聞かなくては。
 
 
「オデュッセウスお兄様!」
 ダンと、普段のギネヴィアでは考えられないほど乱暴な仕草で扉を開ければ、そこには困った顔の兄の姿。
「帰ってくると思っていたよ」
 この兄は、自分が身代わりを立てて出奔しているのを知る数少ない人間の1人。
「説明して下さい」
 なぜ、こんな事態になったのか。
「説明と言われてもね。君が聞いた事が全てだよ」
 それ以上はないと困ったように言う兄に、ギネヴィアの中で何かが切れた。
「お兄様のルルーシュに対する愛情は、その程度だったのですね。お兄様を信頼していた私が愚かだったのですね」
 この兄が居てくれると思ったからこそ、安心して出掛けていたのに。
 なのに!
 マリアンヌがテロにより死に(これは、それ程重要ではないが)、ルルーシュが廃嫡(重要)、日本に人質として送られた(由々しき事態)などを、出先で聞かされた時は、目の前が真っ暗になってしまった。
 傍にいれば、助ける事もできたのに。
 聞いた時は、全てが終わっていた。
「だけどね、ギネヴィア。ルルーシュが単身で父上の元に向かうとは思っていなかったんだよ」
 先に犯人を見つけなければ、今後はルルーシュに危害が及ぶかもしれない。
 だからこそ、裏で犯人を捜していた矢先の出来事だった。
「でも!お兄様ならどうとでもできたはずです」
 兄の隠された能力を知るギネヴィアにとっては、兄に動いて欲しかった。
「そうなんだけどね、未だに本性を隠している身としては、あそこで出るのはまずいかと思ってね。それに、シュナイゼルやクロヴィスやコーネリアもルルーシュの事を可愛がっていたからね、彼等のうち誰か1人でもルルーシュの援護をしたら、温厚な兄の仮面を被ったまま便乗して事を収める予定だったんだけどね」
 誰も援護しなかったのだ。
 これば予想外だった。
「それで見捨てたと?」
 権力争いの中心になるのが嫌で、牙を隠している兄。
 自分もまた、好きな事を好きなようにするために隠しているが。
「見捨ててはいないよ。私の正体がばれない様にアッシュフォード家に働きかけた。近い内に、彼らは日本に行く事になるだろう」
 大切な弟を保護するために。
 保護できなければ、アッシュフォード家に未来はない。
「アッシュフォードが保護するという保障は?」
 ないかもしれないのに。
「あるよ。保護しなければ、アッシュフォードという名前は、この地上から消え失せる。そうなるように脅しをかけておいたからね」
 彼らは、真剣にルルーシュを保護してくれるだろ。
「そうですか。それを聞いて安心しましたわ」
 この兄が本気を出したのであれば、ルルーシュの身の安全だけは確かだろう。
 そこだけは、一先ず安心できる。
 だが!
 次に怒りの矛先が向かう先は一つ。
「すまないね。表立って動くには、これが限界なんだ」
「いいえ、お兄様の立場なら仕方がないですわ」
 頭に上っていた血が降りてくれば、兄の行動は正しいと思える。
「次にルルーシュが帰って来た時は、本気で動くだろうけどね」
 今は、まだその時ではないのだ。
 だが、次は違う。
「分かっております。私の方こそ、お兄様の立場も考えずに酷い事を言ってしまいました」
「悪いのは、私でもギネヴィアでもないよ」
 諸悪の根源は別なのだから。
「分かっております」
 うふふふふ。
 ギネヴィアが妖艶に微笑めば。
「程々にね」
 オデュッセウスもまた、邪悪に微笑んでいる。
「ええ、勿論です。時間がなくて全て覚えられませんでしたが、試したいと思っている秘術がありますの」
 試すだけの時間がなかったが、幸いな事にココには対象にできそうな人物が居る。
 うふふふふ、楽しみですわ。
「殺してはダメだよ」
 あんな父だが、まだまだ必要性がある。
だから、殺すわけにはいかない。
「ええ、心得ております。お兄様の分も残しておいた方が良いかしら?」
どの程度で留めるかが問題だ。
「お願いしておこう」
最後は、私が動いても良いだろう。
「分かりましたわ。楽しみです」
さあ、復讐を始めましょう。
私から、愛しいルルーシュを奪った復讐を。
「そうだね。楽しみだ」
可愛らしいルルーシュを傷付けた報いは受けて貰わなくては。
 
 
日本に向かう飛行機の中、ルルーシュは兄姉の声を聞いたような気がした。
「愛しているわ、私のルルーシュ」
「愛しているよ、可愛いルルーシュ」
 ひっそりとアリエスの離宮に訪れる兄と姉。
 彼らの口癖。
「兄上、姉上。僕も大好きです」
離れて行くブリタニアに向かって呟いた。





☆復讐までいかなかった(汗)でも良いか





 
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