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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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天使に囚われて

☆現代もののパラレルです。




 父は、数多くの愛人が存在した。
 自分の母もまだ、そんな中の一人でしかない。
 シュナイゼルにとっては、父親とは尊敬と共に侮蔑の対象でもあった。
 だが父の手腕は見事であり、一代で財を築いた才能は尊敬に値する。
 そんな父に呼び出されたのは、シュナイゼルが十八歳なった時だった。
 今まで、どんな成績を収めようと、どんなに偏差値の高い学校へ入学しようと無関心だった父。
 そんな父からの、初めての呼び出し。
「シュナイゼル」
 自分も大柄な方だと思っていたが、父はさらに大きな人だった。
「始めましてとでも言えば良いのですか?」
 顔だけなら何度か合わせた記憶があるが、言葉を交わしたのは初めてだった。
 他の義兄弟たちに聞いても、直接言葉を交わしたものは少ない。
「ふふふ、言うわ。だが、お前が一番ワシに近い」
「それは、褒め言葉なんですか?」
 これが褒め言葉というのならば、謹んでお返ししたいものだ。
「さあな。だが、お前はワシには逆らえん」
 絶対的な言葉。
 だが、事実でもある。
 どんなに足がいても、この父には逆らえない。
 そんな気がする。
「そうかもしれませんね」
 癪だが、どうしようもない事実は覆せない。
「幾つになった?」
 親が子供の年齢を知らない。
 世間ではありえないかも知れないが、この親ならばありだろう。
「十八ですよ」
 落ち着いているために、もっと年上に思われがちだが、シュナイゼルは十八歳になったばかりだった。
「そうか」
「そうです」
 年齢の話をするために呼ばれたのではない事ぐらい分かる。
 分かるが、だからといって何で呼ばれたのかまでは分からない。
「お前の兄弟だが、何人いるか知っているか?」
「知りませんよ」
 母親までも同じというならば、一人もいない。
 だが、母親が違う兄弟ならば、知っている限りでは6人居る。
 その兄弟たちに聞いた話では、もっと居るらしい。
「ワシにも正確な数は分からん」
「無責任ですね」
 相手が言ってこない限り認知はしない。
 それが、自分の父親のやり方だった。
「構わんだろ。何か言ってきたら、直ぐに認知しているのだから」
 それで問題はない。
 そう言い切る父親の姿にシュナイゼルは、その秀麗な顔を歪めた。
「貴方らしい」
 この男らしい言い分だ。
 認知もするし、養育費も出す。
 だが、それだけだった。
 愛情だけは、ひとかけらも渡さない。
「そうか?ところで、話がズレた」
「先に逸らしたのは、父上の方だと思いますが」
「そうか、まあ良い。所で、お前は一人暮らしだったはず」
「そうですね」
 高校の入学祝だと、この親に買ってもらったマンションに住んでいる。
「部屋が余っているはずだ」
「ええ、ファミリー向けのマンションですから」
 一人暮らしに3LDKはありえないだろう。
 おかげで、級友達の溜まり場にされそうになっている。
「なら問題はないな」
「何がですか?」
 話が見えない。
「お前の弟だ」
「はぁ?」
 意味が分からない。
「最近、母親を亡くしてな。ワシが引き取ろうかと考えていたのだが、お前が面倒をみろ」
「な!冗談じゃありません」
「お前の弟だ」
「だったら、父上の息子でしょう。父上が面倒をみれば良い」
 なぜ私が。
「ワシが引き取れば、平穏な生活からは程遠い。アレにギスギスした生活はさせられん」
 そう言う父は、穏やかな顔をしていた。
「え?」
 初めて見せた父親らしい顔。
 自分には見せたことのない父親としての顔だ。
「アレの母親は、ワシが初めて愛した女だ」
「私の母は、どうでも良い存在ですか」
 皮肉げなシュナイゼルの言葉に、目を細めるだけだ。
「お前の母親の後ろ盾が有ったからこそ、今のワシがある。他の女達もそうだ。彼女らの力がワシの基盤だ、感謝しておるよ。だが、アレの母親は特別だった。ワシが初めて愛しいと感じた女だ。全てを捨ててでも守りたいと初めて思った。だが、そんなワシの想いがマリアンヌを苦しめた。初めてできたワシの弱点だ。だからこそ狙われ、命を落とした」
 過去を思い出してだろうか、父の表情は悲しみにくれている。
「父上」
 嫌いだったはずの父が、この瞬間だけは可哀想だと思えた。
「だから、あの子には幸せになってもらいたい」
「だったら、私では無理ですよ」
 一介の高校生に何が出来るというのだろう。
「いや、お前にしかできんよ。ワシに似たお前にしかな」
 含みを持った言い方だ。
 この時は、その意味することを分からなかった。
「父上?」
「さて、何時までも引き伸ばしておってもなんだな。お前の弟に合わせよう」
 そう言うと、父は後ろの扉を開けた。
 いつからそこに居たのか分からないが、扉の奥には小さな子供。
「ルルーシュだ」
 父の手招きにオズオズと近寄ってきたのは、小さな天使。
「あ、あの。初めまして、ルルーシュです。えっと、シュナイゼル兄様?」
 下から見上げる澄んだ瞳。
 この瞬間に、父の気持ちが痛いほど分かってしまった。
「初めまして、ルルーシュ。今日から宜しく」
 父が大切にしたいと言った子供は、自分にとっても宝物になるだろう。
「はい!」
 頬を染めて喜んでいる弟。
 父が、この子の母親に囚われたように、自分もまたルルーシュに囚われるだろう。
 それは、確かな予感。
 
 
「お前が一番ワシに似ておる」
 そんな言葉が聞こえたようにも思えたが、それよりも目の前の子供を見つめるだけで手一杯だった。
「大好きだよ、ルルーシュ」
 可愛い、私の天使。
「僕も、シュナイゼル兄様が大好きです」
 無邪気に微笑むルルーシュの笑顔に囚われた。





☆シュナ様18歳。ルルーシュ10歳です。
白シュナ様が書きたかったはずなのに、白くない!!
続くか微妙な話。続きを書きたいような、書きたくないような。
デレ甘兄が書きたいのに。
 

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