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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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片翼の天使 10

 ルルーシュが学園に通い出して一ヶ月。
 クラスメイトとはそこそこ(スザクが邪魔したせいで)、生徒会の役員達とはかなり(スザクの邪魔を跳ね返すメンバー達なので)親しくなっていた。
「ルルーシュ。早く行こうよ」
 授業が終われば、スザクは手を繋いでルルーシュと生徒会室へ向かう。
 初めこそ恥ずかしいと手を振り払っていたのだが、めげないというか、しつこいスザクにルルーシュが折れたのだ。
「ああ」
 だからこそ、伸ばされた手を自然に掴んでしまう。
 生徒会室に着くと、そこには珍しい事にミレイが先に来ていた。
「早いですね」
 この一ヶ月余り、ミレイが先に生徒会室いた事は数回しかない。
 何かと忙しい彼女は、遅れてくる事の方が断然に多いのだ。
「まーね。たまには会長らしくしようかなって」
 ニヤリと笑った顔に、スザクは嫌な予感を覚えた。
 この一ヶ月余り、余りにも大人しいミレイに何かあるんじゃないかと他の役員を務めているクラスメイト達と話したのは記憶に新しい。
「で、何をする気ですか?」
 多分というか、確実に何か企んでいる。
「良くぞ聞いてくれました。その名も「キューピットの日」よ」
「「はあ?」」
 何ですかそれは?
「帽子を交換した男女は、強制的にカップルになるの。どう、素敵でしょ」
 ウットリと言うミレイだが。
「反対。絶対反対。断固反対」
 猛烈な反対コールがスザクから出た。
「えー。どうしてよ」
「どうしてでもです。絶対に反対です。本気で反対です」
 帽子を交換しただけでカップルだなんて認められない。体力のないルルーシュなら、女の子といえど押し倒すのは簡単だろう。それで強制的にカップルなんて認められるはずない。
「ルルちゃんはどう?」
 スザクの意思が固いというのが分かり、矛先をルルーシュに変えた。
「そうですね。俺も反対です」
 スザクがどうして反対するかは分からないが、ルルーシュとて押し付けのような強制的なカップルは嫌だった。
 愛し愛されて祝福されたい。
 理想だと分かっていても、それがルルーシュの憧れだった。
 感情を棄てた自分には必要ないと分かっていても。
「そっか、ルルちゃんが反対するなら仕方がないわね」
 大きな溜息と共に、ミレイは諦めるしかない。
「なら、この件は白紙ですからね」
 ミレイの溜息に、目を輝かせたスザクが畳み掛けるように言い切った。
「はいはい。仕方がないわ。でも、思い出くらい作りたかったのよ」
 誰に対しての思い出とは言っていない。
 だがルルーシュには分かってしまった。
 自分がこの学園に通うようになって一ヶ月。
 目的のある自分が、何時までも通えるとは思わない。
 ミレイにも詳しくは話していないが、察しの良い彼女は気が付いているのだろう。
 近い将来、自分が去って行く事を。
 その為に、ルルーシュの為に思い出を作りたかったのだろう。
「ありがとうございます」
 だからこそ、感謝の気持ちを素直に表した。
「仕方がないわね。でも忘れないでね、ルルちゃんが生徒会の役員だという事を」
 学校行事としては思い出はあげられないかもしれない。でも、生徒会の役員としては思い出があげられる。
「はい」
 ありがとうミレイ。
 今度は、心の中で感謝の気持ちを伝えた。
 声に出さなくても、伝わっていると信じて。
 だが、そんな二人に対して面白くないと思っている男が1人。
「会長、ルルーシュ」
 見詰め合う二人の間に割って入ったのは、いつもの如くにスザクだ。
「スザク君。独占欲も大概にしないと、ルルちゃんに嫌われるわよ」
 何かにつけて割り込んでくる(ルルーシュと話している時限定)男に、ミレイは呆れるしかない。
「え!ルルーシュ、僕の事嫌い」
 ガーンとばかりに、目を潤ませながら見詰めてきた瞳にたじろいでしまう。
「な!その、えっと、嫌いではないが・・・・・」
 嫌いではない。それどころか惹かれてすらいる。
「ほんと?なら、好き?」
「・・・・・多分?」
「えー、多分なんだ。でも、良いか」
 多分でも、好きなのなら良い。
「そうだな」
 この一ヶ月余り、スザクに振り回されている感じがする。
 いや、絶対に振り回されている。
 そして、惹かれている。
 スザクという存在に。
 利用しなくてはいけない存在に。
 このままではダメだ。
 このまま惹かれ続けては、取り返しがつかなくなってしまう。
 一ヶ月。
 もう頃合かもしれない。
 いや、本当なら遅すぎなのだ。
 当初の予定では、もっと早く行動に移る予定だった。
 なのに、余りにも温かい日常を壊したくなかったのだ。
 だからこそ、他のメンバーが揃いガヤガヤとしてる生徒会室でルルーシュはスザクの耳元で囁いた。
 

「大事な話がある」
 それは、自分達の関係が壊れる兆し。





☆次回から怒涛のような展開に・・・・・なるのか?
させないと終わらないんですけどね(汗)
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