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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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愛されて【後編】

「ありがとうございます」
 もう満足だ。
 この兄と姉。そして呼んでいないが妹が来てくれた。
 それで満足だった。
 ルルーシュが満足そうに瞳を閉じた時、
「それにしても、お父様。8年前に言った事を、もうお忘れかしら」
 うふふふと笑いながらも、ギネヴィアの目は笑っていない。
 さながら爬虫類を思わせるような凶暴なモノだった。
「い、いや、そのだな」
 そのギネヴィアの表情を見た途端、皇帝の顔が真っ青になった。
「お戯れが過ぎるようですね」
 ニコニコと笑っているが、こちらも目が笑っていないオデュッセウス。
「お父様の負けですわ」
 そんな姉や兄を見てケラケラと笑っているカリーヌ。
「だが、コヤツはテロを・・・・」
「それが何だと言うのですか?」
 皇帝が最後まで言うまえに、ギネヴィアが切り捨てた。
「そうですよ。テロを起こすくらい優秀な子供なだけですよ」
「お父様の負け」
 オデュッセウスやカリーヌの言葉に、青褪めてた顔が白くなっていく。
「あの時も申したように、次にルルーシュに何かした時は、それ相当の覚悟をして下さいと、口を酸っぱくして申したはず」
 よもやお忘れではないでしょうね。
 妖艶に輝く顔で迫るギネヴィア。
「いや、だからだな。私は皇帝だぞ。何をする気だ!」
 ここで負けたら命すら危険すら感じる。
 皇帝も、最後の気力を振り絞った。
「あら。別に直接何かしませんわ」
 皇帝陛下に何かすれば、実の子といえど罪になってしまいますもの。
「そ、そうか」
 ギネヴィアの言葉にホッとするものの、
「勿論ですわ。直接はしません、ただ・・・・」
「た、ただ?」
 何だと言うのだ!
 『ただ』の後に続く言葉が気になって冷や汗を掻いていると。
「最近、私の黒魔術師としての力が増しましたの」
「なに!」
 8年前より増したというのか!
「それに、お父様の髪の毛が入った人形でしたら、手元にございますし」
「待て。あの時捨てたのは・・・・」
 目の前で棄てさせた、あの人形は?
「ダミーです。だって、一度ある事は二度あるかもしれないと、保険のつもりで残しておきましたの」
 お父様さえ何もしなければ使わなかった。
 その言葉に、皇帝の顔が白から色すら無くなっていった。
「あ!そうだ。私は薬に凝っているんです」
 無邪気に微笑んでいるカリーヌだが、皇帝に向けている瞳は冷たい。
「薬?」
「ええ、無味無臭の薬です」
 無味無臭だから、間違えてお父様の飲み物の中に入れてしまうかも。
 キャハハハと笑いながらも、瞳は真剣だ。
「ど、どんな効き目だ?」
 コワイ。
 が、聞かなくては。
「さあ?適当に作ったから、効き目が分からないの?もうそろそろ人体実験がしたかった所です」
「止めなさい」
 適当に作った薬の人体実験。
 今、その対象は自分なのだろう。
 止めさせねば。
「ああ、それと夜中は気を付けてくださいね」
「オデュッセウス。お前もか!」
 この息子は信じていたのに。
「さあ、何のことです。ただ、急に髪の毛がなくなったりして」
 お茶目な言い方だが、内容に思い当たった皇帝は、自分の髪を押さえた。
「あれは、お前が犯人か!」
 8年前の悪夢が蘇る。
 起きた途端に目に入ったのは自分の髪。
 頭に手をやれば、直に触れる頭皮。
 頭に髪が一本も残っていなかったのだ。
 ビスマルクを呼び、急いでカツラを作らせたが、完成するまで、一歩も部屋から出る事ができなかった。 
「さあ、何の事だか分かりませんが」
 ニコニコとしているが、例の悪夢を知っている者は少ない。
 そして、この息子が知っているはずがなかった。
 そう、犯人でもない限り。
「お前達は!揃いも揃って」
 脅迫か?
 そうだろう、脅迫なのだろう。
 だが私は皇帝だ。
 意見を覆したりなど・・・・・
「言っておきますが、もしお父様がこのままルルーシュに危害を加えたら、総てが現実になるだけですわ」
 ギネヴィアの真剣な目が物語っている。
「ルルーシュを放せ」
 威厳は大切だが、命は惜しい。
「ですが!」
 皇帝の言葉にスザクが反論しようとすれば、
「イレブンの分際でおこがましい」
「君は自分の立場を弁えなさい」
「邪魔」
 皇族達の言葉に、手を離すしかなかった。
「さあ、ルルーシュ。こちらに来なさい」
「1人で立てるかい?」
「ルルーシュお兄様」
 自分を呼ぶ優しい声。
「ギネヴィア姉上。オデュッセウス兄上。カリーヌ」
 自分を呼ぶ兄妹達の下へルルーシュは向かった。
「「「お帰りなさい」」」
 手を広げて待ている兄、姉、妹。
「ただいま」
 だから、自然に言葉がでた。
「愛しているわ。私のルルーシュ」
「大好きだよ。ルルーシュ」
「ルルーシュお兄様、大好き」
 自分を迎えてくれた優しい笑顔。
「ありがとう」
 ルルーシュも精一杯の笑顔で応えた。
 
 
 それからブリタニアの宮殿では、挙動不審な皇帝陛下の姿が目立った。
 ありとあらゆるお守りを取り寄せ、悪魔払いの儀式を行ったかと思えば、何かを食べたり飲んだりする場合は絶対に味見させたり、気が付くと手が頭の上にいっている。
 一ヶ月もすれば、家臣たちは可哀想な目で皇帝陛下を見詰めていた。





☆消化不良。コメディ要素が少ない(泣)
なので、消化不良を解消すべく『おまけ』も書きます。
8年前の悪夢です。
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