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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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チョコよりも甘く

 クラブハウスから教室に向かおうと、玄関の扉を開けた所でルルーシュの体は大きな衝撃を受けた。
「ルルーシュ先輩」
 もし尻尾があるなら、はち切れんばかりに振り乱しているが見えそうなほど全身で喜びを表している男。
「重い」
 所構わず抱きつく。
 姿が見えただけで抱きつく。
 本気で拒絶すれば止めるのは分かる。だが、それができないからこそ困っている。
 恥ずかしいから迷惑ではあるが、嫌ではないのだ。
「私が一番初めにルルーシュ先輩にお会いしたんですよね」
「そうだな」
 ナナリーや咲世子を抜きにすれば、ジノが今日最初に会った人物になる。
「嬉いな。だからください」
 唐突な言葉に、ルルーシュは面食らってしまう。
「何をだ?」
 何かをあげる約束をしていただろうか?
 記憶にないのだが。
「嫌だな。今日は2月14日ですよ」
 嬉しそうに言うジノの言葉にルルーシュは固まった。
 2月14日。
 それは悪夢の日付なのだ。
「そうか。今日はバレンタインか」
 忘れていた。
 何たる失態だ。
「そうです。だから何か下さい」
 本当はチョコが欲しいのだが、ルルーシュにそこまで求められない。
「ない。それよりも、俺は急用を思い出したから戻る。今日は休みだ」
 それだけ言うと、クルリと踵を返して家の中に戻ろうとしている。
「ちょっ。ルルーシュ先輩?」
 家に篭られてしまえば、強引に押し入る事もできない。
 ジノは慌てて着いていった。
「何で着いて来るんだ?」
 自室へと逃げ込む?と、そこには当然のようにジノもくっ付いて来た。
「ルルーシュ先輩が逃げるから」
 追いかけて来ました。
 ケロリと言い切るジノに頭痛を思えながらも。
「帰れ」
 自分は休むと決めた。
 だが、この後輩までもが休む事はないだろう。
「嫌です。ルルーシュ先輩の傍に居たい」
 何を思って休むと言い出したのかは分からないが、少しでも長くルルーシュ先輩の傍に居たかった。
「勝手にしろ」
 本当は、傍にいたいと言ったジノの言葉が嬉しかったのだが、天邪鬼な自分は素直に言えなかった。
「はい。勝手にします。だから、ルルーシュ先輩、何か下さい」
 そして、またそこに戻るのか。
 ルルーシュが呆れながら、
「だったら、お前も何かくれ」
 自分だけが与えるのは不公平な気がする。
 バレンタインと言っても男同士なのだ、自分だけが与えるのは違うと思う。
「勿論です。はい、プレゼント」
 待ってましたとばかりに、ニコニコしながらジノはビロードの小さな箱を取り出した。
「え?」
 その大きさには心当たりがある。
 あるが、まさか。
「受け取って下さい」
 グイっと押し付けられたビロードの小さな箱。
 パカリと蓋を開ければ、中には予想通りの物体。
「指輪」
 そう、中に入っていたのは指輪。
 石の類は一切ついていないシンプルだが趣味の良い指輪だった。
「プレゼントです」
 ニコニコと嬉しそうだ。
「俺は男だぞ」
 プレゼントされた指輪は、男が着けても違和感はない。
 ないが、恥ずかしい。
「ルルーシュ先輩になら似合いますよ」
 ニコニコと笑みが絶えないジノ。
「だが、その、貰うばかりでは……」
 今日という日付を忘れていたために、何も用意していない。
 ジノから貰えた事は嬉しいが、何も返せないのは嫌だ。
「私は甘党なんです」
「は?」
 脈略がない。
「だから、チョコよりも甘いモノが欲しいです」
「チョコより甘いって?」
 何だ?
 思いつかない。
「分かりませんか?」
 クスクスと笑っているジノに、ルルーシュはムッとするものの、本当に分からない。
「分かる訳ない」
 脈絡がなさすぎる。
「じゃあ、頂きます」
 それだ言うと、ジノはルルーシュに覆いかぶさった。
「え?」
 迫り来る顔。
 その直後、唇に感じる感触。
 初めは啄ばむだけのキスを繰り返していたが、一度大きく離れると。
「ゴメン。我慢できない」
 ジノが辛そうに言うと、激しいキスに変わった。
 自分の口の中に感じる滑った感触。
 激しさゆえか、頭の中がジーンと痺れてきた。
 自分が自分でなくなりそうな予感に、ジノの背中をドンドンと叩くが、自分を翻弄する波は変わらない。
 結局、ジノが満足するまで続いた。
「ご馳走様です」
 名残惜しかったが、これ以上続けては歯止めが効かなくなってしまう。
「/////バカ/////」
 照れ隠しなのは丸分かりだろう。
 真っ赤になっている顔が、全てを物語っているから。
「愛してます。誰よりも」
 何よりも。
 世界で一番大切な人。
「バカ。俺だって同じだ」
 嫌なら死ぬ気で抵抗した。
 だが、ジノだからこそ素直に受け入れたのだ。
「やっぱりルルーシュ先輩って凄いな」
 こんな言葉すら、自分を喜ばしてくれる。
「お前はバカだがな」
「バカで良いですよ。私がバカなのは、ルルーシュ先輩の前だけですから」
「/////フン//////」
 真っ赤になって、プイッとそらした姿も愛おしい。
 自分がここまで人を好きになれるとは思わなかった。
「愛しています」
 だから、ずっと傍に居て下さい。
「そうだな」
 ルルーシュも嬉しそうに微笑んだ。 





☆一日遅れのバレンタインネタ。
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