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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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神様に誓うよ

 アッシュフォード学園の教室に入ると、毎年の事ながらルルーシュの机はカラフルに彩られていた。
「スゲーよな」
 リヴァルの感心したような声も、ルルーシュにとっては煩わしい事にしか思えない。
「邪魔だ」
 机の上に山済みにされた綺麗でカラフルな箱。
 中身など見なくても分かる。
「さすが、モテル男は違うね」
 ヒューヒューと口笛を鳴らす級友を睨み付けると、ルルーシュは持参してきた紙袋に机の上の箱達を詰め込み始めた。
「クソー」
 去年の数から計算して持ってきた紙袋だったのだが、予想外の量に入りきらない。
「マジ多いよな」
 詰め込む作業に悪戦苦闘している親友に呆れてしまう。
 顔だけならアイドル以上な男だ。毎年チョコの量は多かったのだが、今年は異常なほどに多い。
「ああ、予想外だ」
 ここまで多いとは!
 自分の計算が外れた事が悔しい。
「あれぇ?これって、スザク宛じゃないのか?」
 リヴァルが感心したようにルルーシュの机の箱を手にとって見たところ、宛名はルルーシュではなくスザクだった。
「え?」
 その言葉に、今まで無造作に詰め込んでいた箱を今一度見直してみれば、スザク宛の箱がチラホラと紛れていた。
「お!これもだ」
 残っていて箱も物色し始めると、10個中3個がスザク宛の箱だった。
「なんで、俺の所に?」
 スザク宛ならば、初めからスザクの机の上に置けばいいものを!
 自分の所に置くせいで、間違えて袋に詰めていた。
「でもまあ、気持ちは分かるかな」
「何がだ?」
「だってさ、スザクって仕事が忙しくて中々学校に来られないだろう」
「それは、そうだが」
 軍人なのだから仕方がないのでは?
「でもさ、学校に来られなくてもルルーシュの所には顔を出すんだろ」
「そうだな」
 確かに、三日に一度は顔を出す。
 一週間以上学校に来られなくても、自分の所には顔を出す。
 もっとも、出さなければ浮気してやると脅した結果だったりするのだが。
「だからさ、ルルーシュに渡しておけば確実にスザクに渡ると踏んだんだろ」
「迷惑な」
 なぜ自分が恋敵たちの手助けをせねばならない。
 ハッキリ言って不愉快だった。
「そう言うなって。可愛い恋心じゃん」
 恋する女の子の味方とでも言いたいリヴァルを睨み付けると、ルルーシュはムカムカとする胸を押さえつけながら帰り支度を始めた。
「え!ルルーシュ?」
 今来たばかりなのに?
 サボりの常習者なルルーシュだが、ここまで早くに帰り支度を始めたことはなかった。
「帰る」
 ムカムカしたまま授業を受ける気がしなかったので、とっとと帰る事にした。
 背後で何やらリヴァルが叫んでいるようだが、ルルーシュには関係ない。
 
 
 ルルーシュとスザクは、一ヶ月ほど前から付き合っていた。
 スザクに求められて付き合いだしたのだが、ルルーシュもまたスザクの事が大好きだった。
 ただ、持ち前のプライドが邪魔をして素直になれなかった為に、色々と誤解を生みスザクを悲しませた事など一度や二度ではない。
 その度に、別れ話を切り出させてしまったらと内心で脅えていた。
 それでも、スザクの側を離れることなどできないのだが。
 勢い任せで教室から戻ったルルーシュだが、自分の部屋のベットにダイブすると、かなり冷静になれた。
 これは嫉妬なのだろう。
 女というだけで、簡単にスザクに告白できる。
 羨ましいのかもしれない。
「バカスザク」
 ムッとしながら呟けば、
「バカとは酷いな」
 耳に心地良い声が聞こえてきた。
 声のする方を見れば、
「スザク?」
 少し疲れたようなスザクの姿があった。
「ただいま、ルルーシュ」
 スザクと付き合い始めるようになると、スザクはルルーシュの部屋に入るたびに『ただいま』と言い。仕事に出かけるときは『行ってきます』と言う。
 まるで自分の家みたいに過ごすスザクに、ルルーシュは嬉しくて仕方がない。
「お帰り、スザク」
 だからこそ、ルルーシュもスザクに付き合って、『言ってらっしゃい』や『お帰り』と言う。
 そんな関係が嬉しい。
「それにしても、酷いな」
「何がだ?」
「バカって、何が?確かに僕は頭は悪いかもしれないけど、その分体力があるからね」
 ルルーシュには無理だろうと、自信満々に言い切るスザクに、またしてもムッとしてしまう。
「お前は体力バカなだけだ」
「もうルルーシュったら素直じゃないんだから」
「煩い」
「はいはい。煩くて結構。だから、はい頂戴」
 差し出された両手。
 それが意味することなど分かっている。
 今日はバレンタインデーなのだから。
「ほら」
 そう言って渡したのは、自分の分を含めたルルーシュの机の上にあった箱たち。
「へえ?」
 スザクが期待したのは、たった一つのチョコ。
 こんな不特定多数のモノではない。
「俺の分もやる」
 元々孤児院でも寄付するつもりだった。
 スザクに渡った所で、痛くも痒くもない。
「いらないから。僕が欲しいのは、ルルーシュからのチョコだけだから」
 他はいらない。
 そう真剣に言い切るスザクにドキドキする。
「そ、そうか。だったら」
 嬉しさを隠すためにわざと顔を背けると、ベットの脇に置いてあった箱を手に取る。
 昨夜ルルーシュが、スザクの為だけに作ったチョコだ。
「//////やる//////」
 照れたように真っ赤な顔のルルーシュ。
「ありがとう」
 全てがスザクを満たしてくれる
 不特定多数の人に想われ様が関係ない。
 ルルーシュさえ自分を想ってくれたら、誰よりも強くなれる。
「スザク」
「愛してるよ、ルルーシュ」
 一晩中実験に付き合い、開放されたのは先ほどだった。本当は何か買ってきたかったけど、買う時間もなかった。だから、言葉だけは惜しまない。
 自分のありったけの気持ちを言葉として伝えたい。
「うっ。その、俺も、えっと、好きだぞ」
 スザクのように臆面もなく言えないけど、スザクを想う気持ちは誰にも負けない。
「ありがとう、ルルーシュ。僕を好きになってくれて」
「スザク」
 嬉しそうに笑うスザクにキュンとしてしまった。
「神様に誓うよ。ルルーシュだけを愛しぬくって」
 だから、何時までも僕のルルーシュでいてね。
「ああ、俺だって誓えるさ」
 お前だけのモノだということを。
「ルルーシュ」
「スザク」
 二人の姿が重なった。
 触れるだけのキスは、神聖な誓い。
 何時までも傍にいるという。





☆甘い話が書きたくなりました。
バレンタインデーだしね。
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