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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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箱庭の小鳥達 6

☆スザクに厳しい内容となってます。スザク好きの方は読まないでね。




「可笑しな事を言うね。あの子達は皇族だよ。それも、父上や私のお気に入りだ。そんな子達が総督や副総督になる事は自然だと思わないか?」
 それまでの微笑から一転して、シュナイゼルが浮かべるのは冷徹な笑み。
「テロリストです」
 ユーフェミア様を殺したテロリストなのに。
「そんな証拠は何処にも無いよ。あの子達は、生まれてから一度もブリタニアを出た事がない」
「え?」
 そんなはずない。
 現に子供の時、日本にいたのに。
「そういう筋書きなんだよ。そして、それを決めたのは皇帝陛下だ」
 敢えて父と言わず、皇帝陛下と呼んだのは、スザクに対する牽制の意味があるのだろう。
「そんな。だって。それじゃあ」
 言いたい事は色々とあるが、何一つ上手い言葉が出てこない。
「ああ、そうだ。忘れていたが、あの子達は皇族だよ。君よりも地位が高い。君があの子達を糾弾すれば、それは皇族批判だ。心しておきなさい」
 シュナイゼルの言葉が、酷くスザクの心に突き刺さった。
 このブリタニアにおいて、皇族は至高の存在だ。
 いかにラウンズの一員といえど、スザクとでは立場が違い過ぎる。
「イエス、ユア ハイネス」
 答えながらも沈んでいく気持ち。
「良い返事だ。その返事に敬意を称し、二人に合わせてあげよう」
「え?」
 シュナイゼルの言葉に、スザクが戸惑っていると、タイミングよく開かれた扉。
 その先には、スザクの愛憎を一身に背負った双子達。
「シュナイゼル兄上。急なお呼びと伺い、参りました」
 一心にシュナイゼルを見詰めるゼロの瞳は、身内だけに見せる優しさを含んでいた。
 過去には有り得ない光景だ。
 ゼロにとって家族はルルーシュのみ。
 他の誰も、家族というカテゴリに入る事は叶わなかったのに。
「兄上?」
 ルルーシュすら、尊敬の眼差しでシュナイゼルを見詰めている。
「何でもないよ。ただね、君達の補佐に着くものが私の宮に挨拶に着たからね、紹介でもしようかと思ったんだよ」
 弟達に対するシュナイゼルの声は甘い。
 どれほど、この双子の事を愛しているか窺い知れる。
「そんなこと、忙しい兄上がなさらなくても」
「そうです、父上が近い内に紹介してくださると仰っていました」
「そうなのかい。知らなかったよ」
 やれやれと、おどけて見せる姿は、優しい兄そのもの。
 裏に隠された打算など、見えてこない。
 だが、スザクだけは気が付いてしまった。
 双子に優しい世界は、自分にとっては辛い世界だという事が。
「それで、肝心の彼を紹介して下さらないのですか?」
 先ほどから、まったく会話に加わらない男。
 ラウンズの制服を着ている事から一員である事は間違えない。
 そして、今日呼ばれた用件と照らし合わせてみれば、この男が自分達の補佐に付くラウンズなのだろう。
「ああ、忘れていたよ。でも、紹介というのは口実で、ただ君達に会いたかっただけなんだけどね」
 いつもは父上が独占するからと、シレっと言い切る兄に、ゼロとルルーシュは呆れてしまう。
「「兄上」」
呆れながらも、どこか憎めないのが、この兄だろう。
「まあ、それは置いておいて、彼がナイトオブセブン事、枢木卿だよ。君達とは、同じ年になる。歳が近い方が良いと思ったし、何より彼はイレブンの出だからね。君達の力になるにはピッタリだと思ってね」
「「感謝します、兄上」」
「どういたしまして。それより、枢木卿。彼らに挨拶を」
シュナイゼルの瞳は、否定を許さない。
スザクは、ギュッと唇を噛み締めると、
「ナイトオブセブン。枢木スザクです。微力ながら殿下方のお力になれるよう、誠心誠意仕えます」
屈辱で目に前が真っ暗になりそうだった。
なぜ。
どうして。
こんな事の為にラウンズになったのではないのに。
グルグルと回っていた思考だが、次のルルーシュの言葉で真っ白になった。
「初めまして」
「え?」
初めまして?
「私達はブリタニアから出た事がない。初めて会う枢木卿に迷惑を掛けるのは忍びないのだが、これから宜しく頼む」
そして、追い討ちを掛けるゼロの言葉。
「はい」
二人にスザクの記憶がない。
そこにスザクの居場所がないのだ。
「さて、挨拶も済んだことだし、3人でお茶にでもしないか?ああ、枢木卿は仕事に戻ってくれて構わないよ」
「・・・・イエス、ユア ハイネス」
言われなくても、早くこの場から立ち去りたかった。
かつて自分のいたポジションにはシュナイゼルがいる。
自分の居場所がない。
 
 
どこで間違えたのだろう?
昔に戻りたい。
 
 
「兄上、今日のお茶は何ですか?」
「あと、お茶菓子は?」
可愛い双子達に囲まれてニコニコとしていたシュナイゼルだが、
「       」
双子達に見られないようにスザクの方を見ると、勝ち誇った笑みで唇だけ動かした。
「・・・・・・・」
唇の動きからシュナイゼルが何を言ったか悟ったスザクは、辛そうに顔を顰めると無言で部屋から出て行ってしまった。
「当然の報いだよ」
愛しい弟達を傷付けたのだから。
「「兄上?」」
急に呟いた兄に、双子達が戸惑っていると、
「何でもないよ。愚かな男の事を思い出しただけさ。さあ、お茶にしよう」
「「はい」」
嬉しそうな弟達の返事に、シュナイゼルの笑みも深くなった。



終わり



☆これで完結です。
リクエストを、総て詰め込んだら予想以上に長くなってしまいました。
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