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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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箱庭の小鳥達 4

 父と兄が帰ると、アリエスの離宮に静寂が訪れる。
「楽しいのだが疲れるな」
 ゼロの正直な感想に、
「確かに」
 ルルーシュもクスクスと笑いながら同意する。
 そんなルルーシュの腕の中には、スヤスヤと眠る仔犬。
「気に入ったか?」
 シュナイゼルに渡されてから、一度も手放していない。
 それ程に気に入ったのだろうか?
「ああ、この仔犬は非力だ。誰かが付いていなくては生きていけないだろう。こんな俺がどこまで世話をできるか分からないが、この子の力になりたい」
 自力で生きていけない仔犬を助けるくらいの力は望みたい。
「大丈夫だ。俺も付いている。1人で無理でも、二人なら何でもできるさ」
「ゼロ」
 そんな力強い言葉に、ルルーシュは嬉しそうに頷いた。
「それより、疲れただろ?今日はゆっくりと入ろう」
「あ!えっと、その、やっぱり一緒に?」
 ルルーシュの返事はどこか困惑気味だ。
「当たり前だ」
「でも、やっぱり、迷惑なんじゃないか?」
 この二人の会話は、毎日繰り返される。
 そして、いつも同じ結果。
「ルルーシュの事を迷惑だと感じた事はない」
「ゼロ」
「さあ、入ろう」
 ゼロは言葉と共にルルーシュを抱き上げた。
 力強い腕に抱き上げられたそれは、いわゆるお姫様抱っこだった。
 同じ身長にも関わらず、ゼロは無理なくルルーシュを持ち上げる。
「重くないか?」
 どうしても聞かずにはおれない。
「重くないさ。ルルーシュは軽すぎる」
「ゼロ」
 ゼロとルルーシュは毎日一緒にお風呂に入る。
 毎日の事なのに、未だにルルーシュは慣れない。
「仔犬は、咲世子さんに預けよう」
 お風呂タイムは貴重な裸の付き合いなのだ、仔犬といえども邪魔されたくない。
「ああ」
 ルルーシュは傍に控えていた咲世子に仔犬を預けると、開放された両腕をゼロの首に回した。
 揺るがない腕。
 ルルーシュを軽々と運ぶゼロの足取りはシッカリしている。
「ゼロ、あの」
「どうした?」
「何でもない」
 言いたい事はあるのだが、何も出てこない。
 代わりにルルーシュは体の力を抜くと、そっとゼロに寄りかかった。
「絶対に落とさないさ」
「そうだな」
 ゼロの腕の中は安心できる。
 多分ルルーシュが一番安心できる場所なのだろう。
 

 二人の入浴スタイルは、シャワーではなく湯船にお湯を溜めて浸かるタイプだった。
 日本風の入浴スタイルらしいが、気に入っている双子達は毎日お湯に浸かっている。
 その事に疑問を持つ事もなく、毎日お風呂に入るのだ。
「今日の入浴剤は?」
 お風呂が楽しみなのは、何も浸かるだけではない、様々な入浴剤を咲世子が用意してくれているのだ。
「ヒノキらしい」
 浴槽の扉を開けた瞬間に、独特の香りが漂ってきた。
「ヒノキは、落ち着く」
 ヒノキの香りは、疲れた心を癒してくれるような気がする。
 バラの香りの入浴剤に次いで、ルルーシュのお気に入りだ。
「ルルーシュが好きな香りだな」
「うん。ゼロが気に入っているのは、真珠の入浴剤だよな」
「そうだな」
 あれは良い。
「白いだけの様な気がするけど?」
 どこがそんなに気に入ったのだろう?
「まあ、なんだ。色々と良いんだよ」
 まさか、風呂上りのルルーシュの肌が、より一層輝いているから気に入っているとは言えない。 
 言ったが最後、二度と一緒にお風呂に入れなくなりそうだ。
「そんなものなんだ」
 まだ納得のいかなそうなルルーシュに笑顔で誤魔化しつつ、
「それよりも、早く入ろう」
「そうだな」
 意識をお風呂に向けさせた。
 

 ゼロとルルーシュの為に改装された浴室は広い。
 湯船も大人数人が入れる大きさになっている。
「暖かくて気持ちが良い」
 頬を上気させながらウットリと呟くルルーシュから、ゼロの視線は離れない。
「そうだな」
 皆がソックリだと言うが、こんなに綺麗なルルーシュとソックリなはずはない。
 この世の、どんな芸術品だってルルーシュには叶わないだろう。
「ゼロ」
「なんだ」
 見れば真剣な表情。
「父上や、兄上のお役に立ちたい」
「ルルーシュ」
 ルルーシュは足が悪いだけで、決して弱い訳ではない。
 頭だって良いのだ。
「いつまでも、守られるだけなのは嫌だ」
 自分だって、役に立ちたいのだ。
「そうだな、父上や兄上に相談しよう」
 もっとも、あの過保護な父や兄が自分達兄弟を政策に携わらせてくれるかは疑問だが。



☆残すところは、某騎士様のみ。
次で終わりだと思います。そして、父と兄の本領発揮。
次回サブタイトル「絶望の果てに」です。
だってこの話は「ほんわかなシリアス」がご希望だから。だから、最後くらいはキッチリシリアスで終わろうかなと。
 
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