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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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別れたら好きな人 10

 それは、何気ない違和感。
「ジノ」
「なに?」
「何でもない」
 呼べは帰ってくる返事。
 だが、ルルーシュから喋り掛けないと会話がない。
 初めは偶然だと思った。
 ただ機嫌が悪いのだと。
 誰しも人間ならは機嫌の悪い時だってあると。
 そう思いたかった。
 だが、ジノの態度は分かりやすい。
 元が単純なだけに、手に取るように分かってしまった。


 付き合い始めた頃ならば笑って別れる事もできただろう。
 元々ルルーシュには付き合う意思はなかったのだ。
 だが、ジノの事を好きになってしまった。
 ジノという人間が、ルルーシュには無くてはならない存在なのだ。
 別れたくない。
 女々しいと言われても良い。
 ジノの心が離れて行くのが分かる。
 分かるのだが、ルルーシュは離れたくないのだ。


「兄さん」
 ルルーシュが部屋で思い耽っていると、遠慮がちなノックと共にロロが入って来た。
「ロロ」
 ロロを見詰めるルルーシュの目には生気がない。
 ジノと付き合い出した頃には、輝いていたのに。
 ロロはギュッと唇を噛み締めると、辛そうな顔でルルーシュを見詰めている。
「兄さん」
 このままじゃダメなのだ。
 この聡い兄が気が付かないはずがない。
「言いたい事なら分かるよ」
 ロロとジノはクラスメイトだ。
 自分達の関係に気付いているのだろう。
「だったら!」
「別れない」
 ロロが言おうとしている事を悟ったルルーシュは言い切った。
「なんで!」
 ジノの最近の素行は悪い。
 毎回、隣に居る女性が違うのだ。
 兄という恋人がいる人間の素行ではない。
 別れるのも時間の問題だと思っていた。
 なのに、未だに別れないジノと兄。
 なんでとしか言えなかった。
「好きなんだ」
「兄さん!」
 こんなに思い詰めた兄の姿は見た事がなかった。
 何時だって余裕の塊のような人だと思っていた。
「ジノの事が好きなんだ」
 だから、別れられない。
 ジノの心が自分にないのは分かるのに、『恋人』という地位に縋り付いてしまう。
「だけど!」
 だけど、ジノは。
 ジノの心に兄は居ない。
「分かってるよ。だから、だからジノから別れを切り出してきたら、その時は別れる」
 切り出されてしまえば、縋りつく事もできない。
 だから、その時は別れよう。
 引きずるのは目に見えている。
 本気だった分、ダメージも大きいのだろう。
 それでも、どんな事をされても、好きなのだ。
「本気?」
 本気で別れれるのだろうか?
 こんなにジノの事を必要としている兄が。
「本気だ。だから、もう少しだけ1人にさせて欲しい」
 別れの時までは、ジノの恋人で居たいのだから。
「分かったよ、兄さん」
 悲痛なルルーシュの叫びに、ロロは諦めた目を向けると部屋から出て行った。
 1人で部屋に居ると、碌な事を考えない。
「分かっているんだ」
 もうジノの心が自分にない事なんて。


 縋り付いている自分が女々しいと思いながらも、ルルーシュは別れの時が来ない事を祈った。





☆書いていて辛かった。ゴメンねルルーシュ。
最後には幸せにするからね。でも、道のりは果てしなく遠い(泣)

 

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