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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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怪我の功名?

☆ロイルルで皇族バレです。




怪我の功名?




 最近、ゼロは多忙を極めていた。
 テロリストのリーダーと、学生の二重生活。
 とてもじゃないが、体力の無いルルーシュには限界に近かった。
 だからかもしれない、一瞬気が抜けてしまったのだ。
 それは、些細な事だった。
 ランスロットとの戦い時に、見せてしまった一瞬の緩み。
『プリンにでも祟られろ』
 なんとも可愛らしいセリフが出てしまったのだ。
 味方は目が点になり、敵は複雑な顔をしている。
 そして、言ってしまったルルーシュは仮面の中で真っ赤になってしまった。
 子供の頃に冗談交じりに言っていた言葉だが、この年で言うのは恥ずかしい。
「気にするな」
 気にするなと言われても、気になってしまう。
 なぜにプリンなのかと。
 その戦闘は、なんともいえない雰囲気のまま双方が引く形で終わった。
 だが、そんな戦闘の最中、1人だけ違う驚きを見せていた男が居た。


「ルルーシュ様?」


 その呟きは、誰の耳にも届かなかった。
 近くに居た副官ですら、気が付かない小さな呟き。
 過去に何度も聞いた、幼かった主のセリフだ。
 自分が間違えるはずが無い。
「見つけた」
 嬉しそうな呟き。


 その日、黒の騎士団は騒然としていた。
 なぜか白兜を土産にブリタニア人がやってきたのだ。
「敵かよ」
「残念でした。敵じゃないで~す」
 アハハハと笑うブリタニア人に、黒の騎士団の幹部達は青筋を立てている。
「敵じゃないなら、なんだと言うのだ!」
 一同を代表して問いただすのは、頼りになる男№1藤堂だ。
「えー。僕が敵のはず無いじゃないですか。敵だったらランスロットを持ってきませんて」
 嬉しくて仕方がないのだろ、先程からニコニコと笑顔が絶えない。
「だったら、なぜ?」
 ココに?
 藤堂の問いは、皆の問いでもある。
 幹部のみならず、この状況を見守っている皆が思っている事だ。
「えー、僕が来た理由ですか?」
 今更?
「そうだ。理由によっては、ただで返すわけにはいかない」
 キッと見詰める表情は険しい。
「そんなの決まっているじゃないですか。僕は、僕の主に会いに来たんです」
「主?」
 誰だ?
「そう、僕の主様。ルルーシュ殿下にね」
 その一言は、一部の人間には爆弾となった。
「え?ルルーシュって、あのルルーシュ?」
 カレンの驚きと、
「まさか、生きていたのか?」
 藤堂の驚き、
「うそ。ルルーシュ様ですって」
 そして、ラクシャータの呟き。
 三者三様だが、それぞれに驚きを隠せない。
「そうで~す。そのルルーシュ様に会いに来ました」
 テヘっと笑う顔は、悪戯が成功したような子供染みていた。
「だが、彼は!」
 最初に立ち直ったのは、流石と言おうか藤堂だった。
「ルルーシュが、ココに居るわけないじゃない」
 一度はゼロかと疑ったが、違うと分かった今、ココにルルーシュが居るはずがない。
「どうして?」
 そう思うのだろう。
「だって、アイツはブリタニア人で、それで、」
 ココにディートハルト以外のブリタニア人は居ないのだ。
 だから、
「何言っているのか分からないけどさぁ、ゼロがルルーシュ殿下だよ」
 そんな事も分からないなんてねぇ。
「嘘!だって、そんな!」
 カレンがパニックに陥っている中、
「そうか」
「あら、やだ」
 藤堂は複雑な表情で頷き、ラクシャータは嬉しそうに笑った。


 そんな中、
「何の騒ぎだ?」
 問題のゼロの登場である。
「あ!ルルーシュ殿下だ~」
 ニコニコとロイドは嬉しそうに駆け寄った。
「お前か、ロイド」
 ロイドの出現とセリフより、ルルーシュは己の秘密がバレた事を悟った。
「アハハハ、来ちゃいました」
 軽い言葉だが、立場的には重い言葉でもある。
「そうか」
 ルルーシュが納得していると、
「ゼロがルルーシュ」
 呆然とカレンが見詰めている。
「そうだ、俺がゼロだ」
 ロイドがココに来た以上、騙すのは限界だと悟ったルルーシュは、自ら仮面を取り去った。
 ゼロの仮面の下から出てきた顔は、絶世の美少年。
「本当に生きていたのか」
「やだ、マリアンヌ様にソックリ」
 藤堂は痛ましげに見詰め、ラクシャータは目が爛々と輝いている。
「どうして!どうしてアンタがゼロになってるのよ!」
 ブリタニア人で、人生を斜めに見ているようなアンタが!
「それは、色々あったからだ」
 そう、本当に色々あった結果がゼロだ。
「ルルーシュ殿下はね。僕がさっきから殿下と呼んでいるから分かっているだろうけど、ブリタニアの皇子様だよ。もっとも、既に鬼籍に入っているけどね」
 意味深なロイドの言葉に、全員が注目した。
「誰よりもブリタニアを憎んでいる皇子様だよ」
「はぁ?皇子様だと」
 嫌そうに呟いた者を視線だけで黙らせると、
「もし君達が要らないというのなら、僕が貰うから」
「え?」
「ブリタニアの元皇族様がリーダーであることに不満だと言うのであれば、僕が貰う」
「それは!」
 それは、誰の呟きだろう。
 皆が葛藤している。
「ルルーシュ殿下が望むのは、ブリタニアの崩壊。そうですよね、ルルーシュ殿下」
「そうだ。それに、あの子にとって優しい世界の創造」
 それが、自分の生きる意味。
「なら、日本である必要も黒の騎士団である必要も無いですよね」
 ココに執着する必要は無いのだ。
 ならば、彼らがルルーシュ様を切るというなら、僕が貰っても良いはずだ。
 ルルーシュ様の駒となるべき者は、世界中にいるはずだから。
 日本以外で反乱を起こしても良い。
「そうだな、もし受け入れて貰えないのならば仕方がないだろうな」
 亀裂の走ったままの関係など、無いほうがマシだ。
「だそうですよ。君達はどうするの?」
 僕的にはどちらでも構わないのだけどね。
 ルルーシュ様の手を取るというならば、僕も味方にしてもらうし、見捨てるというのであれば僕が拾うだけだし。
「わ、私は詳しい事情は分からないけど、ルルーシュが言う『あの子』がナナリーちゃんならば、ルルーシュの手を取っても良いと思う」
 妹が関係したときだけは、嘘がないと分かるから。
「できれば君には、争いの無い世界を歩んで欲しかったが、ゼロとして歩くというならば支えよう」
 藤堂の腹は決まった。
「うふふふ。面白くなってきたわぁ。ルルーシュ様にお仕えできるなんて、なんて幸せかしらぁ」
 ラクシャータの表情はウットリとしている。
 そして、この3人が認めるのならばと、他の幹部達も互いに頷きあった。
「良かったですね、ルルーシュ様」
「そうだな」
 怪我の功名?
 そんなセリフが頭の中を横切った。
「お前が居てくれて良かったよ」
「アハ。僕はルルーシュ様の騎士ですからね」
「そうだな。一番の騎士だな」
 自分が、誰よりも信じられる存在なのだ。
 




☆伊月は、ロイルルで『プリン』を出すのが好きなようです。
何かあると、直ぐにプリンを出してしまう。
 

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