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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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涙は勝者の証

☆天子ルル(天子に気に入られて後宮に誘われたあげくに、泣き落としに負けて承諾)




涙は勝者の証




 困った。
 誘拐してきたは良いが、泣き止まない天子の様子にルルーシュはどうしたものかと考える。
 大きな目が涙を流している姿は、ルルーシュには辛い。
 ナナリーのせいか、年下の女の子に弱いのは自覚している。
「仕方がない」
 ナナリーの機嫌を取る手段が果たして天子様に通用するかは分からないが、やってみる価値はあるだろう。
 フムと頷くと、ルルーシュはキッチンに向かった。
 それから1時間半。
 天子様が居る部屋へとやってくると、未だに天子様は鳴き続けていた。
 ある意味、凄い。
「天子様」
 ルルーシュが声を掛けても、ビクリとするだけで泣き止む気配は無い。
「良かったら食べて下さい」
 そう言って天子の前に置かれていくのは、たくさんのお菓子。
 ナナリーの機嫌を直すには、いつもルルーシュの手作りお菓子だった。
 市販された物よりも、咲世子が作った物よりも、ルルーシュが作ったの物を特に気に入ってくれていた。
 そのせいで、ルルーシュのお菓子に対する拘りはプロ級だ。
「こ、これを食べて良いのですか?」
 余りにも一度にたくさんのお菓子ができてた事で、天子は泣くよりも驚く方が上回ったようだ。
「ええ、どういったお菓子が好みか分からなかったので一通り作ってみました」
 とはいえ、斑鳩のキッチンで作れる種類は限られている。
 材料も限られているので、出来上がったのはケーキにパイにクッキーにドーナツにゼリーにプリン。
 もっとも、量だけはあるので一人では食べきれないだろうが。 
「私が食べても良いのですか?」
 食べたくてしょうがないと表情に出ているのに、聞いてくる姿は微笑ましい。
「勿論です。天子様の為に作りましたから」
 そのゼロの言葉に、目を輝かせた天使は目の前のお菓子に手を伸ばした。
「お、美味しいです」
 今まで食べてきたおやつも、ここまで美味しい物は無かった。
 特に目新しいお菓子ではなかったが、どれもこれも今まで食べてきた物よりも美味しい。
「喜んでもらえて光栄です」
 お菓子などで泣き止んで貰えれば安いものだ。
 仮面の下で考えていると。
「ゼロ!」
「何ですか天子様」
 モグモグと食べながら、期待に満ちた天子様の目。
 何だか嫌な予感がする。
「これは全部ゼロが作ったのですか?」
 この美味しいお菓子を?
「そうです。私が作りました」
「私の後宮へ入ってください」
「・・・・・・・はぁ?」
 ・・・・・・なんだぁ?
「入ってください。ダメですか」
 モグモグと口を動かしながらも、おねだりモードで必死の天子だ。
「な、何でと申しても良いですか?」
 というか、本当にどうしてだ?
「だって、大宦官達が、後宮はお気に入りの人間を囲う所だって」
「・・・・・・・囲うの意味を分かってますか?」
 意味を分かって使っているのだろうか?
 それにしても、大宦官は滅するべきだな。
 子供の教育に適さない。
「はい。閉じ込めるです」
「・・・・・違います!」
「そうなのですか?でも、大宦官達が・・・」
「彼らの言葉を信じてはいけません」
 子供相手に全く。
「それでは、どんな意味なのですか?」
 素朴な疑問なのだろう。
「そ、それは。そうですね、囲うとは、その、人に知られないようにして世話をするとかですね」
 湾曲して言おうと思っても、どうしても無理だった。
「素敵です」
 何が気に入ったのか、天子の目が爛々と輝いている。
「はぁ?」
「私がゼロの世話をするのですね。素敵です」
「いや、だから、私は囲い者にはなりません」
 なってたまるか!
「え?ダメなのですか?」
 こんなに美味しいお菓子を作ってくれる人を傍に置いておきたいのに。
 ダメなのかな?
「ダメです。というか、無理ですから」
「え!そんな・・・・」
 持っていたお菓子が手からポロリと落ちていった。
 そして、止まったはずの涙が目に浮かび始める。
「あ!いや!その、えっと」
 泣く。
 このままでは絶対に泣く。
「ダ、ダメぇ?」
「・・・・・・分かりました」
 泣かれるよりは、折れた方がマシかもしれない。
 星刻と合流できれば、事態も収拾させるだろう。
 それまでの我慢だ。
「やった!ゼロは、私が守りますから」
 ニコニコと笑いながら、またしてもお菓子を食べ始める天子。
「はぁ、お願いします」
 大きな溜息と共に言えば。
「はい」
 元気な返事が返ってきた。

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