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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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名前

「黄瀬君、涼太君、涼ちゃん、キセリン」
 う~ん悩みますと、ブツブツ呟いているのは、帝光中バスケ部アイドル黒子だった。
「ど、どうしたんスか?」
 黒子が相手ならば、どんな呼び方だって嬉しいが、中には黒子のイメージから遠いモノも含まれているような。
「僕は、もう少しフレンドリーになった方が良いとキャプテンに言われたので、まずは簡単に攻略できそうな黄瀬君からと思ったんです」
 それは褒めているのだろうか、それとも乏しているのだろうか?
 大いに悩みどころなのだが、何はともあれ黒子が一番初めに自分を選んでくれた事が一番嬉しかった。
「黒子っちに呼ばれるなら、何でも良いっスよ。でも、名前の方で呼んでもらえれば最高っスね」
 特別な間柄のように錯覚できるから。
 ウットリと呟く黄瀬に、黒子の眉間に皺が寄る。
「それは、嫌ですね」
 そんな事で黄瀬を増長させる気はない。
「やっぱり黄瀬君で良いですね」
 僕にフレンドリーなんて似合わないのだから。
「えー。そんなー!」
 ブーブーと文句を言う黄瀬を睨む事で黙らせると、黒子はさっさと諦める事にした。
 キャプテン命令だろうと、無理なものは無理なのだ。
 人には向き不向きがある。
「はいはい、煩いですよ黄瀬君」
「だって、勿体ないっス」
「何がです?」
 勿体ない?
「だって、せっかく黒子っちに名前で呼んでもらえるかもしれないチャンスだったのに」
 駄々っ子のように嫌だ嫌だと連呼する黄瀬に黒子は切れ掛かる。
「あのですね、いい加減にしないと」
 僕だって考えがあります。
 キッと黄瀬を睨み付けていると、いきなり黄瀬に抱き締められた。
「な!黄瀬君」
 何をするんですかと、腕の中から逃げようともがくが、予想以上に力強い腕はビクともしない。
「黒子っち」
 それでも我武者羅にもがいていると、耳元で黄瀬が名前を呼ぶ。
 たったそれだけの事なのに、黒子は体の力が抜けていくのが分かった。
「黄瀬君」
「ねえ、名前で呼んでよ」
 恋人同士みたいじゃない?
 耳元で囁く言葉は甘く、黒子を痺れさせる。
「・・・・・・・・」
「ねえ、テツヤ」
 初めて名前で呼ばれた。
 それも、呼び捨て。
 カーっと顔が真っ赤になるのが分かった。
 恥ずかしい。
 恥ずかしいけど、それ以上に嬉しい。
「真っ赤になって可愛い」
 黙りこんでしまった黒子を覗き込んで見れば、そこには真っ赤になって恥ずかしそうにしている黒子の姿。
 凶悪なまでに可愛いらしい。
「ウルサイです」 
 そんな可愛いらしい黒子を独り占めなのだ、これを役得と言わず何と言うのか。
「えへへへへ。嬉しいな」
 嬉しさのあまり、ギュッと抱き締める腕に力が入ってしまった。
「痛いです。少しは手加減して下さい。その……えっと、涼太…君」
 それが黒子の限界だったのだろうが、君付けだろうと何だろうと、初めて明確に名前で呼ばれた。
「え?ええええー」
 黒子の言葉が脳に達するまで数秒。
 理解したとたんボンと黄瀬の顔も真っ赤だ。
「お返しです」
 自分で言いながらも恥ずかしいのだろう、腕の中で黄瀬の服をギュッと握り締めている。
「あ、あの、その。嬉しいっス」
 もっと気の利いた言葉を掛けたかったのに、出てきたのはシンプルな言葉。
「はい」
 黒子の方も、いつもの毒舌が嘘のように大人しい。
 
 
 まるで新婚のような二人。
 その周辺だけは、甘い空気が漂っている。




 

☆甘い話が書きたかったのですが、甘すぎた!
書いていて砂を吐きそうになりました。
というわけで、↓に「おまけ」があります。甘いのをぶち壊して良い方のみスクロールして下さい。












 

おまけ

 甘い空気が流れて来そうな体育館の中。
 険しい表情の2人組み。
「なあ」
「何なのだよ」
「アイツらさ、今が部活中だと気が付いていると思うか?」
 米神をピクピクさせながら、凶悪な表情で二人を見つめるのは、原因となったキャプテン。
「無理なのだよ。アレは完璧に二人の世界に入っているな」
 フン、下っ端の分際で。
 こちらも凶悪な顔になっている緑間。
「アレはお仕置きだな」
「当たり前なのだよ」
 二人が見詰める先には、デレっと締まりのない顔の黄瀬。
 自分達のアイドルを独り占めした罪は重い。
 この事を、まだ来ていない残りのキセキのメンバーに言えば、喜んでお仕置き(黄瀬苛め)に参加してくれるだろう。
「何時までも幸せが続くと思うなよ!」
 キャプテンの言葉は、部員達の心情そのものだった。
 
 
 黒子はアイドル。
 一人のモノになるのはご法度なのだ。
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