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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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双曲

読む前に注意事項!
この話の中でゼロとルルーシュは双子の兄妹です。でも、訳あってゼロがルルーシュとして生活しています。
ロロは元々ルルーシュの騎士ですが、その事をゼロは知りません。
始まりは、騎士団の裏切りの場面からになります。








自分に向けられる多くの銃口。
見渡してみれば、黒の騎士団の後ろにはシュナイゼルと、その側近の姿が見えた。
『そうか、これは貴方か。ならば、万が一にも隙はないのだろう』
ゼロは、フッと力が抜けるのが分かった。
目の前のカレンが何か言っているが、何も聞こえない。
「ここまでか」
 いや、ここまで良くやった方なのかもしれない。
 ただ、惜しむべきは……
「最後に、もう一度会いたかったです。ルルーシュ兄様」
 弱音と共に漏れる小さな本音。
 幼い頃に生き別れた双子の兄。
 アリエスの惨劇のときに連れ去られた誰よりも大切な自分の半身。小さなナナリーはショックの為か混乱して自分の事を忘れてしまった。
 だからこそ、いや……自分が嫌だったのだ。
 ルルーシュという人間を消す事が。
 それから、当たり前のようにルルーシュと名乗った。
 連れ去られたのは双子の妹の方だと言い張って、嘘を貫いてきた。
 嘘を貫く事に苦痛はなかった。
 それよりも、ルルーシュという人間を消される方が辛かったからだ。
『ルルーシュ兄様、ゴメンなさい』
 ナナリーを守る事も、ブリタニアに復讐する事もできなかった。
 死ぬのは怖くない。死の先にはルルーシュやナナリーが待っていると分かっているから。
 ただ、何の手土産も持っていけない事が心苦しい。

 
「私は、最後までゼロとして頑張ります」

 
 小さな呟きは、誰の耳にも届いていないだろう。
 それで構わない。
 ゼロの仮面を脱ぎ捨てて、黒の騎士団の面々を睨みつけた。
 これが最後のパフォーマンスだ。
 

「撃てい」
 藤堂の言葉が合図となって降り注ぐ銃弾。
 最後の覚悟を決めた時、自分の目の前に降り立った2対のナイトメア。
「ヴィンセントと蜃気楼?」
 なぜ?
 どうして?
「大丈夫、兄さん?いや、姉さん」
「ロロ?」
 ヴィンセントから聞こえてきたのは、ロロの声。
 そして、
「無茶ばかりする」
 蜃気楼から聞こえてきたのは、聞きたくて仕方がなかった兄の声。
「ルルーシュ兄様」
 まさか?
 本当に?
 自分が聞き間違えるはずがないとは分かっている。
 それでも、俄かには信じられなかった。
「遅くなって済まない。だが、もう何も心配はいらないよ」
 心地良い声。
 ああ、何て幸せなんだろう。
「はい」
 この人に付いて行けば大丈夫。
 そんな安心感すら漂ってくる。
「さあ」
 差し出された蜃気楼の腕に、ゼロは迷う事無く飛びついた。
「はい、兄様」
「ロロ。援護射撃は任せた」
「任せて兄さん」
 ルルーシュに期待された事が嬉しいのだろう、ロロの声も弾んでいる。
「落ちるなよ」
「意地でもしがみ付いてみせます」
 せっかく会えたのに、こんな所で死んでたまるか。
 それまでの諦めた空気が一転して、ゼロは蜃気楼にしがみ付く。
 みっともなくっても構わない。
 長年夢見ていた人がナイトメアの中にいるのだ。
 直接会って話をするまでは死ぬものか。
「頼もしいな、我が妹は」
 褒められた。
 それだけでも嬉しい。
「兄さん。一気にいくよ」
「ああ。頼むぞロロ」
「分かっている」
 何故か信頼関係があるらしいルルーシュとロロとの会話に、ちょっとだけムッとしながらも、この局面を切り抜けるまでだと自分に言い聞かせて我慢する。
 でも、ちょっとだけ後でロロはシメよう。
 ゼロが心の中で思っている最中も、黒の騎士団やブリタニア帝国軍との攻防は続いていたが、何とか逃げ切る事に成功したようだ。
 
 
 逃げ切った先は倉庫のような場所だった。
「ここは?」
 どこだろう?
 ゼロがキョロキョロしながら見渡していると、
「隠れ家の一つだよ」
 蜃気楼から降り立ったルルーシュが苦笑しながら近寄ってきた。
「ルルーシュ兄様」
 ああ、本物のルルーシュ兄様だ。
 ずっと会いたくて、でも二度と会えないと諦めていた人。
「遅くなってすまなかった。本当はもっと早く会いにいく予定だったんだがな」
 ゼロの活動が派手すぎて出られなくなったと、肩を竦めながら言いルルーシュに、ゼロも返す言葉が見つからない。
 確かに同じ姿の人間が二人いれば面倒な事になっただろう。
 だが、ブリタニアを撹乱する為にはいて欲しかったかもしれない。
「意地悪ですね」
 子供っぽいと分かっていながらも、膨らんでしまう頬は仕方がないだろう。
「悪かったな。そのかわり、ゼロにプレゼントだ」
「え?」
 何ですか?
 聞く前にプレゼント自身が姿を現した。
「ゼロお姉様」
 咲世子に押されて現れたのは死んだと思われたナナリー。
「ナナリー!生きて……いや、それよりも姉と!思い出したのか!!」
 ナナリーの中に姉という存在はない。
 あの惨劇の時から兄しか存在しなかったのだ。
「はい。ルルーシュ兄様に会って思い出しました」
 全部思い出した途端、どれだけ自分が姉の負担になっていたのか思い知った。
「そうか」
「ゴメンなさい、お姉様。忘れてしまって」
「仕方がないことだった」
「でも!」
「過ぎた事だ。それよりも、これからは」
 そこまで言うと、ナナリーに向けていた視線をルルーシュに向けた。
「ああ、俺達でブリタニアを変える」
 力強いルルーシュの言葉。
「ルルーシュ兄様」
「兄さん」
「お兄様」
「お前達にも、手伝ってもらいたい」
 真っ直ぐに見詰める綺麗なアメジストの瞳。
 それは、高貴な色。
「「「はい」」」
 この人は、皇帝になるべくして生まれてきた人だ。
 
 
「さあ、反撃の始まりだ」
 楽しそうなルルーシュの声に、3人の兄弟達は力強く頷いた。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
おまけ
 
 その後、皇帝ルルーシュによる残りの皇族及び黒の騎士団虐めが始まった。
 ゼロのえげつない作戦や、ロロによる容赦ない攻撃。
 ナナリーによる笑顔の毒舌。
 黒の騎士団の白旗を見て見ぬふりしつつ、今日も兄妹達の笑い声がペンドラゴンに木霊する。
 
 





☆本当は、「おまけ」の部分を重点的に書かなくてはいけなかったのですが、力尽きました。

事前の補足に色々書いたけど、それでも足りないような気がする。
分かり辛かったら言って下さい。
書き直します。 
 
 
 
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