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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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オレを見て

「黄瀬君」
 黒子が呼びかけると、黄瀬は嬉しそうに振り返った。
「黒子っち」
 もし仮にシッポが付いていたならば、確実に勢い良く振られているのが分かりそうなほど黄瀬は嬉しそうだ。
「名前を呼んだだけです」
 名前を呼んだのは出来心だった。
 黄瀬の反応を見たかったからだが、答えは予想通りだ。
「それでも、黒子っちに呼んでもらえれば嬉しいっス」
 ニコニコと笑顔が崩れる事がない。
「黄瀬君は……」
 君は……
 どうして?
 黄瀬の態度は黒子には理解できない。
 黄瀬だって人間だ(多分)嫌な事だってあるだろうに、絶対に表情に出す事はない。
 何時だってニコニコと笑っている。
 
 
 黒子が次の言葉を濁していると、
「ねえ、黒子っち」
「何ですか?」
 黄瀬の方から問いかけてきた。
「俺ね、バスケを始めて良かったって思ってるっス」
「黄瀬君?」
「初めはバスケって読者受けしそうだからポイント稼ぎのつもりだったんっスよ」
「え?」
 初めて聞かされた事に、黒子は呆然としてしまった。
 なぜなら、何だかんだと言いながらも黄瀬が誰よりも真剣にバスケの練習をしているのを知っているからだ。
 それこそ、あの緑間ですら一目置いている。
「意外っスか?」
「意外です」
「そうでしょうね。おれ自身が意外っスから」
「え?」
 それまでのニコニコしていた顔が嘘のように真剣な表情。
「俺ね、黒子っちに会うまでは、本当に最低な男だったんっス」
「……今でも違わないと思いますが」
「はははは、厳しい言葉っスね」
「事実ですから」
 黒子がどんな言葉をかけても動じなかった黄瀬が、初めて動揺している。
 その事に内心では驚いているものの、今までの習慣で表情には出なかったのが幸いだ。
「でもね、黒子っちと会って、変わったんス」
「そうですか」
 自分の何がそれ程影響したのだろう?
「黒子っちのスタイルって、絶対にメインになれないじゃないっスか。なのに一生懸命で、それでいて徹底している」
「そうですね。僕の役目は影になる事ですから」
 強い光を持ったプレイヤーの陰になる事。
 それが僕のバスケ。
「そんな黒子っちの生き様に衝撃を受けたっス」
「大げさですね」
「大げさなんかじゃなくて、本当なんスよ。だから、少しでも黒子っちに相応しい人間になりたくて頑張ってきたんス」
「黄瀬君」
「これからも努力するっス。だから、オレをちゃんと見て欲しいっスよ」
「黄瀬君」
「ダメっスか?」
 黒子だけを見つめたい。
 黒子に名前を呼ばれたい。
 何よりも大切で大好きな人に。
「良いですよ。黄瀬君が、黄瀬君らしくある限り見ています」
「やったー!」
 大喜びな黄瀬を微笑ましく見詰める黒子。
 
 
 この時は、まだ幸せの絶頂だった。 
 






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