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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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綺麗な瞳【中編】

 それでも、どうにか自分を落ち着かせると、
「朝比奈さん!」
「何?」
 強いルルーシュの非難なんのその、朝比奈はシレッとしていた。
「な、舐めないで下さい」
「え~。だって、ルルちゃんが舐めとけば直るって言ったんだよ」
 だから舐めたのに。
 そう言いたそうな表情。
「言葉の綾です」
「へ~。難しかしい言葉を知っているね」
 関心関心。
 ウンウンと頷いている朝比奈に、根が真面目なルルーシュは切れそうだ。
「朝比奈さん。いい加減にして下さい」
「え~、本気なのに」
 ニコニコと笑っている顔は、ルルーシュから見れば本気に見えない。
「どこが?」
 だから突っ込んだのだが、
「全部だよ」
 そう言った朝比奈の言葉は、どこか哀しげだった。
「え?」

 朝比奈は何時だって本気だった。
 なのに、周りは本気だとは受け取ってもらえない。
 普通の人と感覚が違うという事に気が付いたのは何時だったか。
 それを認めてしまってからは気が楽になった。
 自分のしたいようにする。
 興味のある事にだけ手を出す。
 同僚の1人が、朝比奈の事を『自由人』だと称した事がある。
 言われた瞬間、なんて自分にピッタリな言葉だと感心してしまった。
 だから、ブリタニア人だとか日本人だとかの拘りはない。
 ましてや相手は子供。
 薄汚れた服装で歩いているブリタニア人の子供を見た時には、嫌な気分だった。
 誰がその子供に暴力を振るったのかなど、嫌でも分かってしまった。
 同じ日本人として恥ずかしい。
 だが、暴力を振るわれたであろう子供は、真っ直ぐに前を向いて歩いていた。
 下を向く事無く前だけを見詰めて歩くその強い瞳を『綺麗だ』と思った。
 だから、声を掛けてしまった。
 そして振り向いた瞬間。
 その『綺麗』な瞳に囚われた。


「ねぇ、ルルちゃん」
「な、何ですか」
 傷付けたかも知れないという罪悪感から、ルルーシュの返答は慎重になってしまう。
 もう傷付けたくないから。
 どうしてと言われても、自分でも良く分からない。
「次に会う時は、ルルちゃんの事を守ってあげる」
「え?」
 日本に来てから始めて聞いた。
 いや、母が亡くなって以来聞いた事がない言葉。
「決めた。絶対に守るよ」
 日本とブリタニアだったら、勿論日本を取る。
 だが、見ず知らずの日本人とルルなら、絶対にルルを・・・ルルーシュ皇子を取る。
 本当は名前を聞かなくても知っていた。
 軍人という役職上、聞かされていた名前。
「無理ですよ」
 そう言うルルーシュの表情は冴えない。
 こんな小さな子供がする表情ではない。
「どうして?」
 どうして無理だと言い切れるのだろう。
 言い切ってしまうような環境の中でしか生きていないのだろうか?
 それはそれで哀しい。
「だって、」
 自分は人質の皇子だ。
 何時殺されるか分からない。
 次を許される時間が存在するかも分からないのだ。
「僕が決めた事を、僕以外が否定するのは聞かない主義なんだ」
「朝比奈さん」
 キッパリと言い切る朝比奈の表情は晴れやかだった。
 そして、子供の様に無邪気だ。
「そうですね」
 この人に守られるのならば良いかもしれない。
 決して現実にはならなくても、思えるだけで幸せだ。
「じゃあ、約束」
 ね。
 そう言って出されたのは小指。
「え?」
 何で小指?
「ああ、ルルちゃんは知らないのか。これは日本にあるおまじないだよ」
 その言葉に、ルルーシュも小指を出すと強引に絡まってくる朝比奈の小指。
「な!」
 ルルーシュが驚いていると。
「指きりげんまん、嘘付いたら針千本飲~ます。指きった」
 そこまで言った所で離れた小指。
 不思議そうに自分の小指を見詰めていると、
「これが約束」
「うん」
 初めてルルーシュは素直に頷けた。





☆終わらなかった。でも、次で終わります。

 

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