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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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甘いキャンディー

「よし」
 気合は十分。
 カラフルなキャンディーが入ったビンの下の方に、目的の物体と使用条件を記した紙を忍ばせる。
 パッとみでは分からないように入れておけば完璧だ。
「待っていろよ」
 バレンタインデーのお返しに何が良いか悩んだ結果がコレだ。
 本当は手作りのケーキか何かに忍ばせても良かったのだが、それだと直ぐに気付かれてしまう。それでは面白くない。
 自分の出した結論に満足すると、さっそく電話でジノを呼び出す。
 キャンディーとは別に、ちゃんと手作りのケーキも用意してあるのだ。
 
 
 数十分後。
「ルルーシュ先輩」
 全開の笑顔でジノが現れた。
「待っていたぞ」
 横柄な言い方は照れ隠しの為だ。
「はい。嬉しいです」
 ジノもちゃんと分かっているので、ニコニコ顔は崩れない。
「さあ、ケーキの用意はできている。お茶にしよう」
 ジノを呼び出した理由は、バレンタインデーのお返しに手作りのケーキをご馳走するという名目だ。だって今日は3月14日なのだから。
「はい。楽しみです。あ!それと、これは私からのお返しです」
 当たり前のように出されたのは、真っ赤なバラの花束。
「気を使わなくても良かったのに」
 前回のバレンタインデーの時だって、ジノはプレゼントを持ってきた。今回は手ぶらで来いと言っておいたのだが、持ってきたようだ。
「男としてのけじめなので、見逃して下さい」
「お前らしい」
 こんな態度もジノらしい。
「褒め言葉として受け取りますね」
 ニッコリと悪びれる事無く言い切るジノに呆れながらも、ルルーシュは微笑んでいた。
「そうだな。さあ、お茶にしよう。今日のケーキは自信作だぞ」
 気合に気合を入れて作ったケーキだ。不味い訳がないと思う。
「はい。楽しみです」
 ルルーシュ先輩が自分の為だけに作ってくれたケーキなのだ。味わって食さないと。
 
 
 出てきたのは、フルーツをふんだんに使ったミルクレープ。
「うわぁぁ。美味しそうです」
「感動するよりも食べてみろ」
 見た目的にも綺麗に仕上がったが、味だとて妥協はない。
「はい、いただきます。・・・・・美味しいです。先輩、コレ凄く美味しいです」
 クレープ生地は柔らかくしっとりしており、中に使われているクリームはフルーツの甘さと相まって絶妙のハーモニーを醸し出している。
 感動しながらバクバクと食べていると、あっという間に食べ終わってしまった。
「早いな」
 ルルーシュがまだ半分も食べていないのに。
「だって、美味しすぎるから。何個でも食べられます」
 こんなに美味しいのだから、軽く1ホールだって食べられそうだ。
「ありがとう。だったら、もう一個持ってこよう」
「はい」
 お代わりが出てくる事に、ニコニコと尻尾を振って(錯覚)待っているジノ。
 そんなジノに、ルルーシュの笑みも深くなる。
 
 
 楽しい時間程、あっという間に過ぎてしまう。
 ジノを呼び出してから、既に数時間が経っている。
「今日は、ありがとうございます」
 結局、1ホールとはいかなかったが、半分以上をジノ一人で食べてしまった。
「気に入ってもらえたのなら良かった」
 アレは、ジノの為だけに作ったのだから。
「ねえ、先輩」
「何だ」
「キスしても良いですか?」
 バレンタインデーの後も、何度かしているが改めて聞かれると照れる。
「聞くな、バカ」
 恥ずかしいだろう。
 顔を赤らめているルルーシュにクスリと笑うと、ジノは遠慮なくルルーシュの唇を堪能した。
「好きです。愛しています」
 キスの後は、何時だって甘い言葉でルルーシュを酔わせる。
「ジノ」
 キスの余韻で潤んだルルーシュの瞳。
 ゴクリとジノの喉が渇く。
「そんな目で見詰めないで。我慢できなくなりそうだ」
 自分だとて聖人君子ではない。健全な男なのだ。
「バカ」
 その言葉に、プイッとソッポを向いてしまう。
「ゴメンなさい。でも、私の正直な気持ちなんです」
 分かって欲しい。
「そうだな、もう少し待て。俺の気持ちが追いつくまで」
 自分の恋愛経験が少ないのはジノだとて分かってくれるだろう。
「分かっていますよ。だから気長に待ちます」
 想いは通じ合っているのだ、もう少し位待つのも悪くない。
「悪いな、ジノ」
「いいえ、先輩に対しては本気ですから大丈夫です」
 ニッコリと笑うジノに見惚れながらも、ルルーシュは手に持っていた物をジノに押し付けた。
「プレゼントだ」
「キャンディーですか」
 鮮やかなキャンディーが入った大き目のビン。
「定番だろ?」
 ニヤリと笑うルルーシュに。
「そうですね」
 ホワイトデーの定番だ。
 そう言いつつジノは受け取った。
「ちゃんと食べろよ」
「勿論です。でも勿体ないから少しずつしか食べられないかも」
 少しでも長く楽しみたいから。
「程々にな」
「はい」
 その時のルルーシュは、悪戯が成功したような顔をしていた。その事に疑問を感じながらも追求しなかった事をジノが悔やんだのは一ヵ月後の事。
 ビンの底の方から出てきたのはルルーシュの家の鍵。
 包まっている紙には、『待っている。でも、事前に電話しろ』と書かれていた。




☆甘い話の第二弾。
 
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