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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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片翼の天使 19

 後ろ髪を引かれる思いで、ルルーシュは皇族専用機に乗り込んだ。
 向かう先はブリタニア。
 大切な兄がいる地。
 日本に来る前までは、一番大切な人と言い切れた。
 でも今では、自分の一番はスザクだ。
「さようなら」
 窓から望む最後の日本の風景に別れを告げながら、その景色を目に焼き付けた。
 二度と見る事は叶わない日本の風景を。
 
 
 ブリタニアに戻ってきたルルーシュの日常は忙しかった。
 前までの宰相補佐ではなく、今度は皇帝補佐なのだ。
 仕事は山済み。
 優秀なルルーシュの頭脳を持ってしても中々終わらないのが現状だ。
 それでも、忙しい方が良い。
 忙しければ、それだけスザクの事を思い出さなくて済むからだ。
「スザク」
 分かれてから半年が経とうとしているのに、自分の記憶の中では鮮明に思い出せる。
「愛している」
 分かれた時は『好き』としか言えなかったが、半年経つ今では『愛している』にまで昇格してしまった。
 会えないのに想いばかりが募る。
「末期だな」
 分かっていたつもりでも、どこかで分かっていなかったのかもしれない。
「さて、今日の分の仕事をするか」
 しなくてはならない仕事は山済みだ。何時までも感傷に浸っている訳にはいかない。
 せわしなく書類に目を通していると、大胆なノックの音。
 静かに仕事をする事を好むルルーシュの執務室を、大音量でノックする人物などいなかった。
「誰だ?」
 訝しげに扉を開けると、そこには尊敬する兄の姿。
「皇帝陛下!」
 どうしてここに、というよりは。
「1人で来たのですか?」
 背後には居て当たり前の護衛の姿が見当たらない。
「たまには1人で散歩も良いものだよ」
 のほほんと言うのだが、立場を考えて欲しい。
「立場を考えてください」
 自分1人の体ではないのだ。
 その両肩にはブリタニアの国民の全てが掛かっている。
「帰ったらカノンからお小言を食らう予定だったが、ルルーシュにまで言われてしまったよ」
 あはははと暢気に笑う兄に、ルルーシュの中でプチリと何かが切れた。
「皇帝陛下!いい加減にして下さい!!」
「おやおや、怖い顔だ」
「誰のせいですか!」
「私だろうね。ゴメンねルルーシュ」
 悪いとは思っていない声で謝られても困る。
「陛下!」
「違うよルルーシュ」
「え?」
「今は私と君しか居ない。だから、兄と呼んで欲しい」
 だって公務で会う時は立場が邪魔をして話せない。
 だからこそ、兄弟の会話を楽しむために護衛を巻いてきたのだ。
「・・・・・・分かりましたよ兄上。それより、何の用ですか?」
 本気で用事もないのに来たのだろうか?
「おっと、忘れる所だったよ」
「忘れないでください」
「そうそう、君の騎士の件だけどね」
「断ったはずです」
 自分に騎士など必要ない。
 信用の置けないものが傍にいても安心できないだけだ。
「うん。ルルーシュの気持ちも分かるから今までの分は全部断ったよ。だけど、今回の相手は立場的に断り辛くてね。それでも、君がどうしても嫌だと言うのならば、ブリタニアの皇帝権限で断るよ」
 立場よりもルルーシュの方が大切だからね。
「断り辛い相手って、誰ですか?」
 貴族程度ならば、この兄の権力で(皇帝としてのだ)どうとでもなるはずなのに。
「日本の英雄だよ」
 ニヤリと人の悪い笑みを浮かべた兄の言葉に、ルルーシュの目が見開かれてしまう。
「え?」
 日本の英雄。
 確かに兄は、そう言った。
 日本の歴史を紐解けば、英雄と呼ばれる人物は何人もいるだろう。だが、今現在において英雄と呼ばれる人物は限られている。
 日本を開放したテログループのリーダーたる藤堂と、一番の立役者たるスザク。今の日本で英雄と呼ばれているのは、この二人しか居ない。
「ちなみに、もう来ていたりするんだけどね」
 悪戯が成功したように、シュナイゼルはニコニコとしている。
「え?」
「入ってきなさい」
 それまで誰も居ないと思っていた所から、白の騎士服を着たスザクが現れた。
 



☆ご要望があったので、ラストまでアップします。
次で最終回です。
 
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