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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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身分の差

騎士皇女設定です。
ルルーシュ皇女は15歳位かな。




「今年も渡せなかった」
 ルルーシュの手の中には手作りのチョコが入った箱。
 ここ数年、毎年手作りのチョコを作っていたが渡せた事は一度もない。
「ロイド」
 渡したい相手は自分の騎士。
 日頃のお礼と言って渡すのは簡単だ。だが、自分の気持ちが篭っているチョコをお礼と言って渡したくない。
 ちゃんと気持ちも伝えたい。
「好きです」
 本人を前にすると言えなくなるが、チョコが相手なら幾らでも言える。
 言えないのは、自分達の立場を考えてしまうからだ。
 皇族である自分と、騎士であるロイド。
 この身分の差は大きい。
「もし私が皇族でなかったら。もしロイドが騎士でなかったら。私の想いは伝えられた。でも、今の身分があったからこそ出会えたのかもしれない」
 複雑な思い。
 ジッとチョコを見詰めていたルルーシュだが、大きな溜息をつくとチョコを机の中に仕舞った。
 そこには数個のカラフルな箱。
 今まで渡せなかったチョコが入っている引き出し。
 普段は鍵を掛けているので、このチョコの存在はルルーシュしか知り得なかった。
「ゴメンなさい」
 今年も無駄に終わりそうなチョコに、謝罪の気持ちを込めて呟いた。
 数年分の気持ちを込めて引き出しの鍵を閉めたのと、部屋がノックされたのは同じくらいだ。
「誰ですか?」
 時計を見れば、午前0時を回った所だ。
 人様の部屋を訪ねる時間帯ではない。
「ルルーシュ様~」
 扉の外から聞こえてくるのは、愛しい人の声。
「ロイド」
 嬉しくて名前を出してみたが、何の用だろう?
 騎士として立派に仕えてくれるロイドが、このような時間に訪ねてくる事は珍しい。
「失礼します」
 カチャリとドアが開くと、そこには飲み物を携えたロイドの姿。
「どうしたのですか?」
 こんな時間に?
「ココアをお持ちしました」
「ココア?」
 頼んだだろうか?
「はい。どうしてもルルーシュ様に飲んで頂きたくて、淹れて参りました」
 嬉しそうなロイドの顔に、頼んではいないが飲みたくなってしまった。
「頂きます」
「はい、どうぞ」
 受け取ったココアは、甘い匂いが漂っていて美味しそうだ。
 一口飲んでみると、やはり甘くて美味しかった。
「美味しい。でも、これって砂糖の甘さではないような」
 甘いが、普通のココアより優しい甘さがするような気がする。
「正解です。でも、企業秘密です」
「まあ、ロイドったら。でも、ご馳走様。美味しかったです」
 全て飲み干すと、カップをロイドに渡した。
「気に入って頂けて嬉しいです。ご要望がありましたら、何時でも淹れますから」
「ええ、飲みたくなったら頼むわ」
 ロイドが淹れてくれるのなら、いつだって飲みたいが、あまり無茶は言えないから偶ににしよう。でも、美味しいココアは何度でも飲みたい。
 自分の気持ちを伝えられないのは悲しいけど、こんな優しい時間が持てる関係が続くのなら悪くはない。
 部屋から去って行くロイドを見ながら、ルルーシュはそっと思った。
 
 
 
 
 3月14日。
 世間一般ではホワイトデーと呼ばれる日だ。
 ロイドはいそいそと部屋の簡易キッチンに立った。
 自分の主たるルルーシュ様が、毎年自分用にチョコを用意しているのは知っていた。だが、それが渡される事がないのも知っている。
「立場が違い過ぎるからね」
 自嘲気味に呟いても、動かす手は止めない。
 騎士という立場にいる自分から動く事はできない。
 でも、
「これくらいは許されますよね」
 作っているのはココア。甘さをだすために砂糖ではなくマシュマロを溶かす。
 世間一般のホワイトデーのお返しだ。
 実際のチョコは貰えなかったが、気持ちだけは受け取ったから、そのお返しに作るのだ。
 自分の気持ちを込めて。
「言葉では言えないけど、態度で示すのはアリですよね」
 嬉しそうに呟きなら、ココアを作る。
 今はまだ幼さが目立つ主だが、もう数年もすれば立派な淑女だ。
 立場を考える姿は立派だが、自分が我慢できなくなったら、その時は・・・・・・
「奪っちゃいましょう」
 だって、自分の気持ちはこうして伝えるのだから。
「だから、今はこんな関係で満足しましょう」
 騎士と皇女。
 身分の差はあるが関係ない。
 好きな気持ちは本物だから。
「だからまず、このココアを飲んで頂かないと」
 全ては、それからだ。




☆ロイド→←ルルーシュです。
あと2年くらいしたらルルーシュの方も我慢できずに、今までの分(引き出しに入っているチョコ)と一緒に気持ちを伝える予定。
それまでロイドさんは、大人の余裕で騎士としての立場から見守っています。
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