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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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また逢う日まで

☆ロイルル(夢での逢瀬・・・)



また逢う日まで



 夢でも良いから逢いたい。
 思い描くのは、幼い自分に着いて行くと言った男。
 嬉しかった。
 本当に嬉しかったけど、貴族である男の将来を潰したくなかった。
 だから、冷たい言葉で切り捨てた。
『お前など、迷惑なだけだ』と。
 言われた男は、辛そうな顔をしていた。
 言ってしまった自分も傷付いたが、それを表に出すわけにはいかなかった。
 あれから7年。
 願っていたのに、一度も男の夢を見ることは叶わない。
「俺も大概しつこいな」
 諦めれば早いのに、諦めきれない。
 それほどに、大切な男だった。
「逢いたいよ」
 どんなに逢いたくても、逢う事のできない男。
「夢でも良いから逢いよ、ロイド」
 名前を呼べば、甘い響き。
 夢でいいから逢いたいと願っている男は、遠い祖国に居る。
 現実では逢う事のできない男。
 だから、夢でも良いから逢いたかった。
「なら、逢わせてやろう」
「え?」
 背後から聞こえて来た声に振り返れば、そこには壁に凭れ掛かりながらニヤニヤしているC.C.の姿。
「夢で良いなら、逢えるぞ」
「本当に?」
 本当にロイドに逢えるのか?
「私はC.C.だからな」
 C.C.がニヤリと笑った。


「はぁぁぁ。逢いたいよ~」
 ロイドが大きな溜息を付いていると。
「どうしたんですか?」
 いつも以上に落ち込んでいるロイドに、見兼ねたセシルが声を掛けてきた。
「セシルく~ん。逢いたくて死にそうだよ~。はぁぁぁぁ~」
「どうしたんですか?というより、誰に逢いたいんですか?」
 毎年、この時期になると様子がおかしいロイドだが、ここまで弱っているロイドを見たのは初めてだ。
「もう限界だよ~」
 うううぅぅぅ。
「だから、誰に逢いたいんですか?」
 こんなに弱っているロイドは見て居られない。
 もし可能ならば、逢わせてあげたい。
「え?誰って、主様だけど?」
「はぁ?ロイドさんに主なんて居ましたか?」
 今まで一度も聞いたことがない。
「うん、居たよ」
「あ!その」
 過去形な言い方に、その相手が今は居ないのだと分かる。
「逢いたくても、逢えないんだ」
 哀しそうなロイドに、セシルは何も言えなくなってしまった。
「夢でも良いから逢いたよ」
「ロイドさん」


 そこは、見覚えのある場所。
「これって夢?」
 そこは、7年前から一度も訪れたことのない場所だった。
 アリエスの離宮。
 自分とルルーシュ様との思い出が詰まった場所だ。
「ありゃりゃ。夢でもって良いからって言ったせいかな?」
 だが、肝心のルルーシュ様が居ないのなら夢を見た価値もない。
「夢見損?」
 う~ん。
 アリエスの離宮を見たら、余計にルルーシュ様が恋しくなってしまった。
「逢いたいで~す。ルルーシュ様~」
 大声で叫んでみれば、
「煩いロイド」
 背後から聞こえてきたのは、聞き覚えのない、だが懐かしいと感じる声。
 まさかと振り向けば、
「ルルーシュ様?」
 最後に見た子供の時の姿ではなく、いつも想像していた綺麗に成長した姿。
 予想通りの美しさだ。
「そうだ。お前は変わってないな」
 7年まえと変わらないロイドに、ルルーシュは懐かしさを感じる。
「ははは、逢えた。逢えちゃった」
 はははと笑いながらも、ロイドの目から涙が溢れる。
「おい!泣くな!」
 これでは自分が悪いように見える。
 というよりも、本当に自分が悪いのだが。
「だって、だって。ルルーシュ様に逢えた」
 これ以上、嬉しいことはない。
「悪かった。本当は、あんな事は言いたくなかった」
 それは7年前から言いたかった事だ。
 本心からではないと言いたかった。
 現実では言う事ができないが、夢ならば言える。
「知ってましたよ」
「え?」
「ルルーシュ様が本心から言っていないことくらい、知ってましたよ」
 あの時、辛そうな顔をしてしまったのは、ルルーシュ様に言わせてしまった自分自身が許せなかったからだ。
「そうか」
 ロイドの言葉に掬われた気がした。
 ずっと気がかりだったのだ。
 ふんわりと嬉しそうに笑うルルーシュに、ロイドは見惚れてしまった。
「あ~!」
「どうした?」
「い、いえ。その、何でもないです」
 まさか見惚れてボーっとしてましたとは言えない。
 本当に、見惚れてしまうほど綺麗に成長している。
 自分の願望が見せた夢と言うならば、自分の想像力を褒めてやりたい。
「そうか。その、夢でも良いから逢いたかった」
 少し照れているのだろう、薄っすらと顔が赤い。
「ルルーシュ様。僕だって逢いたかった」
 ずっとずっと、逢いたかった。
 日本で亡くなったと聞いたときは、自暴自棄にまで陥った。
 だが、死んだという確たる証拠はない。
 それだけを胸に、今まで生き来た。
「ロイドに逢えて良かった」
「ルルーシュ様」
 ジーンと感動しながらも、ロイドの頭の中には別の事が過ぎった。
 それは、この夢は自分だけのモノだろうかという事だ。
 あまりにも自分に都合の良い夢だ。
「もう、行く」
 寂しそうに呟くルルーシュの腕を、ロイドは思わず掴んでしまった。
「また、お逢いできますか?」
 これで最後にしたくない。
 そんな思いから出た言葉だった。
「!?」
「逢いたいんです。これからだって、何度だって」
 時間の許す限り逢いたい。
「・・・・・そうだな。また逢えると良いな」
 これはC.C.の力を借りた逢瀬だ。
 本来ならば二度目はない。
 だが、ロイドが逢いたいと行ってくれることが嬉しかった。
「ねぇ、ルルーシュ様。これは本当に、唯の夢ですか?」
「それは!」
 言えない。
 言ってはいけないのに、言いたくなってしまう。
『これば現実だと』
 言えば、自分が生きていることがバレてしまう。
 今は知られるわけにはいかない。
 たとえ相手が自分の騎士になりたいと望み、自分も騎士にと望んだ男だとしても。
「言えないのなら良いですよ。自分で真実を探してみます」
 ルルーシュ様の驚いた顔が、これが唯の夢ではないよ物語っている。
 だったら、自分の直感を信じよう。
 ルルーシュ様が生きていると信じて。
「ロイド」
「それにねぇ、実は今エリア11に居たりしちゃたりするんですよね~」
「な、なんだと!」
 ブリタニアに居たんじゃないのか!
「だから、待ってて下さいね」
 直ぐに見つけてみせますから。
「仕方がない。早くしろよ」
 昔から、この騎士に隠し事なんてできないのだ。
 自分を見つけるのを待ってやっても良いかもしれない。
「はい。絶対に見つけてみせます」
 自分の未来が決まった。
 昔も今も、そして未来も、この人の隣に居たいのだ。
 変わらないのであれば、変えなくても良い。
「待っててやるよ」
 言い放つ姿は、どこまでも高貴で、そして誰よりも綺麗だった。 
「イエス、ユア ハイネス」
 自分だけの主。
 誰よりも大切なルルーシュ様。




☆夢で逢瀬を楽しんだ二人です。
この後、ロイドさんは全力でルルの事を探すんですよ。

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