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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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堕ちた果実【後編】

「何を考えているのですか?」
 何を言っているのだろう?
 分からない。
 でも、あまりにも綺麗に微笑む兄の姿に、惹かれてしまう。
 縋りたくなってしまう。
「おいで、ルルーシュ」
 自分を呼ぶ声に酔ってしまいそうだ。
「ダメです」
 逃げ出したかった。
 本当は誰かに縋りたかった。
 上手くいかない黒の騎士団の事や、無理を承知の二重生活。
 全てが重荷に思える。
 だからといって、ココで兄に逃げる訳にはいかな。
 この人は敵なのだから。
 その事実が、ルルーシュには一番辛い事だった。
「どうしてもダメかい」
 妖しいまでの妖艶な微笑み。
「だって、兄上は……敵だから」
 そう、この人は敵でしかないのだ。
 だからこそ、この人の手に縋りつくわけにはいかない。
「そうか、敵ねぇ。だったら、ルルーシュの為にブリタニアを壊してあげるよ」
 またしてもだ。
 今度は、ハッキリとブリタニアと言っている。
「自分が何を言っているのか、分かっているのですか?」
「分かっているよ。ルルーシュを取り戻すための方法だろ」
「え?」
 取り戻す?
「ブリタニアという国があるからこそ、ルルーシュは私の元に帰ってきてくれないのだろう」
 ニッコリと笑っているのに、瞳が笑っていない。
「兄上?」
「だったら、ブリタニアを壊してしまえば良い」
 簡単な事だろう。
 笑いながら、さも簡単な答えだと言い切る兄。
 その姿は、どこか壊れた玩具の様だ。
「兄上が壊してくれんですか?」
 ルルーシュもまた疲れ切っていた。
 どうにかブリタニアに対する憎しみだけで立っていたが、とうに限界は超えていた。
 だからこそ、脆くなっていたのかも知れない。
「ああ、壊してあげるよ」
 だから、私の元に帰ってきなさい。
 優しい声が、ルルーシュの中に木霊した。
 その瞬間に、ルルーシュの中の最後の砦が脆く崩れる音がした。
 

 堕ちる。
 どこまでも、堕ちていく。
 それも良いかもしれない。
 この人と共に堕ちるのならば。
 それも、自分の幸せの一つかもしれない。
 

「兄上」
 初めてルルーシュの方からシュナイゼルに手を伸ばした。
「ああ、ルルーシュの望みを全て叶えてあげる」
 この弟を手に入れるためならば、ブリタニアを潰す事くらい簡単だ。
 国が一つ無くなったくらいでは死なないが、この弟を失ってしまえば自分に生きている価値はない。
 後悔など一度でたくさんなのだ。
 7年前に失ったと思ったときは、どれほど後悔した事か。
 生きていると分かったときに、自分の中で何かが壊れた。
 その時から、ルルーシュを手に入れる事しか頭になかった。
 その為ならば、国だろうと兄弟だろうと裏切る事に躊躇いなど微塵も感じない。
 

 愛しい愛しいルルーシュ。
 私の元まで堕ちてきてくれたお前を、全身全霊で愛そう。
 二度と私の元から飛び立たないように。





☆リハビリ第一弾の割には暗い。
初めはシュナルルの長編にしようと思って考えていたのですが、中編程度に収めようとしたら思いっきり暗くなってしまった。
明るいシュナルルが書きたい。

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