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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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if幸せな明日

 黒の騎士団やブリタニア軍から何とか逃げ切れたものの、ロロの心臓はロロの心臓は限界を超えていた。
 どんなに止めても、ギアスを発動し続けた結果だとわかっている。
 分かっているが、それがルルーシュには許せなかった。
 自分なんかの為にロロが死ぬだなんて。
「死ぬな!ロロ!俺を置いて行かないでくれ!」
 どんなにルルーシュが叫んでも、抱き締めているロロの体はピクリとも動かない。
「嫌だ!死ぬな!死なないでくれ!」
 何時だって気が付くのは失ってからだった。
 失って初めて、その価値に気が付くのだ。
 自分はなんと愚かな人間なのだろう。
「お願いだから、もう一人にしないでくれ」
 ロロは大切な弟だ。
 血の繋がりなど関係なかったのだ。
 純粋に自分を求めてくれた大切な、誰よりも大切な弟。
 今頃になって気が付いても遅い。
「お願いだから。ロロ……」
 ルルーシュの瞳から透明な涙が溢れてくる。
 その涙は、冷たくなっていくロロの顔に次から次へと落ちていった。
「ロロ、大切な俺の弟」
 涙を拭う事もせずにロロを抱き締めていると、微かな違和感に気が付いた。
「ロロ?」
 先ほどまで冷たくなっていたからだに、微かとはいえ温もりが戻ってきたのだ。
「まさか!」
 不安と期待に押しつぶされそうになりながらも、ロロの胸にそっと耳を当てれば、聞こえてくるのは小さな鼓動。
「ああぁ、神様」
 初めて神に祈りたい気持ちだった。
 生きている。
 大切な弟が生きている。
 ジッと見詰めていると、顔にも赤みが戻ってきた。
 そして、小さな呻き声と共にロロの瞳が小さく開いた。
「ロロ、聞こえるかい」
 焦点のあっていない瞳を壊れ物を扱うように自分の方に向けると、
「に…兄さん?」
 小さいが、ハッキリとした声が聞こえてきた。
「そうだよ」
 涙を流したままルルーシュが嬉しそうに微笑めば、ロロの手がルルーシュの目元を拭い去った。
「誰かに苛められたの?」
 まだ記憶が混乱しているのだろうか、怪訝な顔で首を傾げている。
「違うよ、嬉しいんだ」
 お前が生きていてくれて。
「嬉しい?」
 そっか、嬉しくても涙が出るんだ。
 初めて知った。
 でも、兄さんが教えてくれた事が増えて嬉しい。
「ロロ、済まなかった」
 今までロロに対して自分はなんと愚かな態度を取ってきたのだろう。
 恥ずかしくてたまらない。
 だが、これからは……ロロ許してくれるのならば、尊敬される兄になりたい。
「なんで兄さんが謝るの?」
 兄さんが謝る事なんで何にもないのに。
 そう思っていると、段々と今までの事が鮮明に思い出された。
 自分に対しての兄の仕打ち。
 でも、そんなのは些細な事だ。
 だって僕には兄さんしかいないのに。
 兄さんさえ居てくれれば良いのだ。
 だから、その思いを込めてロロは嬉しそうに微笑んだ。
 その顔を見たルルーシュは罪悪感で顔を歪めてしまった。
「違うんだ。お前は混乱していて忘れているかもしれないが、俺はお前に酷い事をした。だから、だから……」
 どう言えば良いのだろう?
 言葉が見つからない。
「知っているよ。でも、関係ないから」
「え?」
 知っている?
 思い出しているのか?
「僕にとっては、兄さんが全てなんだ。だから、その、どんな事でもするから見捨てないで!」
 兄さんしかいないのに、僕には兄さんが全てだから。
 兄さんの一番は諦めるから、だから見捨てるのだけは止めてほしい。
「馬鹿だな。大事なお前を見捨てる事なんてできないよ。いや、馬鹿なのは俺だな」
 やっと気が付いたのだ。
 いまさら見捨てるはずがない。
 見捨てられるのは俺の方か。
「兄さん?」
 なんだか、兄さんの様子がおかしい?
「お前を失ったと思ったとき、初めて気が付いたよ。お前は紛れもなく俺の弟だと。俺の弟、ロロ・ランペルージだと」
「え?」
 それって。
 信じても良いのだろうか?
 いや、兄さんの言葉を信じよう。
 兄さんは僕の全てなんだから。
「俺には、もうお前しか居ない」
 親友だったスザクは敵になり、守るべきナナリーを失って、黒の騎士団にも裏切られた。
 自分に残っているのは、この弟だけだ。
 ルルーシュの傷付いた瞳をみて、ロロは小さな決意を胸に抱いた。
「だったら……だったら僕が兄さんを守るよ」
 この人がこれ以上傷付かないように、僕が守ろう。
「まるでプロポーズの言葉だな」
 真剣なロロの表情にクスリとルルーシュが笑った。
 その笑みは花のように可憐で、守ってあげたくなる様な儚さだった。
 その表情を見たロロは、自分の中の気持ちの正体に気が付いた。
「そうだよ、プロポーズだよ」
 自分は、この誰よりも綺麗な兄の事が好きなのだ。
「え!ロロ?」
 ロロの言葉にアタフタしているルルーシュが愛しい。
「兄さんの事が大好き。だから僕が兄さんを……ルルーシュを守るんだ。だって、好きな人を守るのはナイトの勤めでしょう?」
 吹っ切れた顔で笑うロロは、頼りになる男の顔をしている。
 初めて見せる男の顔に、ルルーシュの心臓がトクリと大きな音を立てる。
「そうだな。ロロが守ってくれるのか?」
 それも良いかもしれない。
 微かに赤くなった顔で言えば、それまで腕に抱き締めていたロロに、反対に抱き締められてしまった。
「兄さん、大好き」
「おれも、ロロの事が好きだよ」
 血は繋がっていないが、兄弟で背徳的だという気持ちはある。
 あるが、それ以上にロロの腕は温かいのだ。
 この暖かい腕に何時までも包まれたいと思う気持ちがある限り、寄り添っていきたい。




☆6月6日のロロの日にロロルルの小説は欠かせない!
という訳で、頑張ってみました。今日が休みで良かった。
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