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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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プレゼント

☆ロイルル  (プリンの友派生。お互いにプリンを作ってプレゼント)
プリンの友」シリーズがベースですが、あくまでもベースです。繋がってはいません。




プレゼント




 ピンポンと鳴るのは、来客を告げる音。
 今日はルルーシュしか居ない。
 咲世子さんは、ナナリーを連れて病院へ定期健診に出掛けているのだ。
「はい」
 出る人間が居ないのならば、自発的にルルーシュが出るしかなかった。
 ガチャリと扉を開けると、ニコニコと笑顔を湛えた男。
「ロイドさん?」
 そこには友人の上司。
 どうしてココに?と疑問だけが浮かんでくる。
「は~い。ルル君、こんにちわ」
 怪訝そうな顔をしているルルーシュとは対照的に、ロイドはニコニコ顔だ。
「どうしてココに?」
 どうやら、表情だけでは察して貰えないようだ。
 なにせ、ロイドと会うのはこれで3回目。
 人となりが、全く掴めない。
「権力とは、使うために存在するんだよ~」
 間違っていることを真顔で言われても困る。
「アイツがココの事を?」
 言ったのだろうか?
「ノンノン。権力とは使うためにあり、僕には調べるだけの権力があったりしま~す」
「・・・・・・・・・」
 誰だ、こんな得体の知れないモノに権力を与えたバカは!
「ルル君の事は、キッチリ調べちゃったよ~」
 のほほ~んと言ってはいるが、内容はルルーシュにとって不穏なモノを含んでいた。
「調べたんですか・・・」
 何を!
 そして、どこまで!!
 クッとロイドを睨め付けるが、
「大丈夫だよ、調べたのは住所だけだから」
 気にしない、気にしない。
 ケッロと言い切るロイドに殺意さえ沸くが、
「それでも、プライバシーの侵害だと思いますけど」
 立派な犯罪でしかない。
「だって~。ルル君の事が知りたかったんだもん」
「・・・・・・・・」
「でも、一つだけ言わせて貰えば、本当に住所以外は調べてないよ」
「それを、信じろと?」
 軍人の言葉を。
「うん。信じて。だって、ルル君の事は、ルル君自身から聞きたいからね」
「・・・・・・はぁ?」
「だから、色々と教えてよ」
 ね。
 ウインクまでしている男に、毒気が抜かれてしまった。
「呆れた人ですね」
「良く言われるよ」
 アハ。ルル君にまで言われちゃった。
 それでも、他の人達に言われるよりも清々しい。
「で、なんの用ですか?」
 人の家まで調べて。
「おお!忘れるところだったよ。はい、プレゼンとで~す」
 ヒョイと渡されたのは、白い箱。
 中からは甘い匂い。
「これって?」
 匂いから察するに、自分の好物のような気がする。
「はいは~い。ロイドさんお手製のプリンで~す。ルル君に食べてもらいたくて作ってみました」
 エヘヘヘと、嬉しそうに笑う姿は子供っぽい。
「え!作ったって、ロイドさんが?」
 コレを?
 箱の中から出てきたのは、市販で売られえいる物にも劣らないプリン。
 コレが手作り?
「えへへへへ。そんなに褒めないでよ」
 照れちゃうと体をくねらせているロイドの事は置いておくとして。
「褒めてないです」
 が、少し感動してしまった。
 ルルーシュだとてプリンを作る事は良くある。
 現に今だって、冷蔵庫の中にはルルーシュお手製プリンが入っている。
 今日のおやつ用に作ったヤツだ。
「え~!ルル君なら、このプリンの凄さを分かってくれると思ったのに~」
 プーっと頬を膨らませてイジケテしまったロイドを、不覚にもルルーシュは可愛いと思ってしまった。
「不覚だ」
 こんな男が可愛いらしいなど。
「ルル君?」
「い、いや。何でもないです。それより、このプリンだが」
「あげるよ。だって、ルル君へのプレゼントだもん」
 ルル君の為だけに作ったプリン。
 好きな子にあげる為だと思ったら、凄く頑張れた。
「そうですか・・・・・・」
 そこまで言って、ルルーシュは黙り込んでしまった。
「ルル君?」
 ありゃ?
 う~ん。予想では、もっと素直に喜んでくれると思ったのに。
 失敗したかな?
「少し待っててください」
 何か考え込んでいたルルーシュは、それだけ言うと家の中に入って行ってしまった。
 奇人変人と言われているロイドだが、許しもなしに家に上がる厚かましさは持ち合わせていない。
「まっ、良いけどね」
 ルル君の為ならば待ちますとも。
 それから、数分もしないうちにルルーシュは戻ってきた。
 手に持っているのは、ロイドが渡した箱よりも一回り小さい箱。
「これ」
「え?僕に?」
 ルル君から何か貰えるなんて、考えてもいなかった。
 ロイドの頭の中には、渡すことしかなかったのだ。
「お礼?というか、お返しです」
 ぶっきら棒に言いつつも、目元が赤い。
「何かな?」
 興味津々で箱を開けると、中にはプリン。
 自分が作ったものよりも、断然的に美味しそうなプリン。
 そして、良く見れば手作りだ。
「俺が作りました。味には、その、自信があると思う」
 先ほどよりも赤くなっている顔が、愛しさを増す。
「ありがとう。ルル君」
「別に。その、貰うだけだと悪いし」
 それに、
 それに、あげたかったとは言えない。
 言えばロイドの事だ、天狗になるのは見えている。
「でも、嬉しいよ」
 ルル君からの贈り物。
 たとえプリンだとしても、大切な贈り物。
 これは僕の宝物。
「ロイドさん」
「だから、今度はプリンデートしようね」
「はぁ?」
「約束だよ~」
 ニコニコと笑うロイドに、呆れながらもルルーシュは頷いてしまった。


 二人の関係は、まだ始まったばかり。





☆「プリンの友」シリーズは、ロイドがルルーシュの事をルル君と呼びます。
「ルル君」て、可愛くないですか?

 

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