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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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プリンの友『出会い編』

 ロイドにとっての一番はランスロットだ。
 そして二番目にプリン。
 だからこそ、特派の冷蔵庫にはプリンが切れることは無いはずなのだが、
「あ~!僕のプリンが無い」
 冷蔵庫に張り付いて叫んでいるのは、プリンをこよなく愛する男。
「煩いですロイドさん」
 冷蔵庫に張り付いたまま叫び続けるロイドに、とうとうセシルが切れた。
「セ、セシルく~ん。僕のプリンが~~~無いよ~~~~~(泣)」
 大の大人が泣く姿は、見ていて鬱陶しい。
「煩いですよ」
「だって、僕のプ~リ~ン~が~無い~~~の」
 コレほど重要なことはない!
「食べたら無くなるのは当たり前です」
 朝から何個も食べているのを特派のメンバーなら誰でも見ている。
「え~?僕そんなに食べたっけ?」
 あれ~?
 記憶に無いけどな?
「私が見ている前では3個は食べてましたよ」
 呆れながらセシルが言えば、
「あ~!じゃあ、もう無いじゃない」
 確か昨日の時点で残り3個だった気がする。
 なら、もうなくても仕方ないのか・・・・・
「よし、決~めた」
「ロイドさん?」
「今から買いに行って来るね~v」
 無いなら買いに行けばいいだけじゃないv
 思い立ったときが吉日とばかりに、ロイドは財布だけを掴んで走り出してしまった。
「ちょ、ちょと。ロイドさん」
 慌ててセシルが止めるが、その頃にはロイドの姿は小さくなっている。
 本能で動くロイドは、スザク以上に素早かった。


 セシルが特派で溜息を付いている頃、ロイドはご機嫌で町を歩いていた。
「プリンv、プリンv」
 ロイドが向かっている先は、最近の一番のお気に入りの店だ。
 そこの一日個数限定で売り出されている限定濃厚プリンがお目当てだ。
 スキップでもしそうな勢いでお目当ての店に着くと、ウキウキ気分でドアを潜った。
「限定濃厚プリンを10個下さいv」
 ロイドの笑顔に対して、年配の女性店員の表情は複雑そうだった。
「あの、申し訳ありません。本日分の販売は終了してしまいました。普通のプリンでしたら、まだございますが?」
 どうしますか?
 そんな店員の言葉はロイドの耳に入らなかった。
「そんな~」
 ココまで来たのに。
 どうしてもココの限定濃厚プリンが食べたかったのに!
 ロイドが『ガーン!』という効果音が聞こえてきそうな悲壮感溢れる姿で蹲っていると、
「あの~」
 若い少年がお店に入ってきた。
「あ!お待ちしていました」
 ロイドに対するときよりも弾んだ店員の声にロイドが顔を上げると、そこには見目麗しい少年の姿。
 女性は幾つになっても綺麗なものが好きなのだろう。
 薄っすらと顔を赤らめている女性店員の姿に、プリンが買えなかったロイドとしては面白くなかった。
「用意出来てますか?」
「勿論です」
 そう言って、女性店員が取り出したのは限定濃厚プリンの箱。
「あ~~~!!」
 ロイドは思わず箱を指差してしまった。
「な、何ですか?」
 大の大人の叫び声に、見目麗しい少年ことルルーシュは思わず後ろに下がってしまった。
「僕の限定濃厚プリン~~」
 なんで?
 無いって言ってたのに。
「えっと、その」
 ルルーシュが言いよどんでいると、
「こちらのお客様は朝一番で買いに来られました。ただ、用事があるという事ですので今までお預かりしていただけです」
 何か問題でもありますか?
 綺麗な男の子に対する理不尽な言葉に、女性店員は半分切れている。
 ココでロイドが何を言っても、二倍三倍で文句が出てきそうだ。
「イエ、ナンデモアリマセン」
 切れたときの女性の恐ろしさをセシルで体験しているロイドは、それ以上言うことは出来なっかった。
「もしかして限定濃厚プリンを買いに来たんですか?」
 ルルーシュがいやな予感に聞いてみれば、
「そうなんだよ~。なのに売り切れって言われて~~」
 言いながらも視線はルルーシュの持つ限定濃厚プリンから外れない。
「そうですか、良かったら半分いりますか?」
 余りにも強い視線に居た堪れなくなったルルーシュが提案してみると。
「良いのv嬉しいなv」
 本気で嬉しそうな大人に、ルルーシュも仕方ないかと諦めてしまった。
「でも、それはお客様が買った分なんですよ。お金だって頂いていますのに」
「お金なら~払うよ~~」
 ロイドとて、そこまで非人間ではない。
「だ、そうです。申し訳ありませんが、半分づつに分け直してもらえますか?」
 受け取ったばかりの包みを店員に渡して、二つに分けて貰った。


「ありがとね~」
 わ~い。僕の限定濃厚プリンだ。
 無いと言われただけに、余計に嬉しい。
「どういたしまして」
 プリンでココまで喜んで貰えると、同じプリン好きとしては冥利に尽きる。
「あ、これお金ね」
「え?こんなに貰えません」
 渡されたのは、購入価格の倍以上ある。
「感謝の気持ちも入ってるだけだよ。遠慮なく貰ってよ~」
「でも」
 金額が多すぎる。
「大丈夫。それに僕ねぇ~。高収入者だから遠慮しなくていいよ」
 収入の割りに欲しいものがプリンしかないから余るんだよね。
「失礼ですが、ご職業を聞いても良いですか?」
 こんな男に勤まる職業なんてあるのか?
「一応軍人で~す。特別派遣嚮導技術部の主任をしてます」
「特派?」
 つまりスザクの上司?
「そうですよ。よく特派という名称を知っていましたね」
 ヘー。ちょっと興味が沸いてきたかも。
「スザクは友人です。彼から聞きました」
 嘘ではない。
「へー、スザク君の。名前を聞いて良い」
「それは強制ですか?」
「いんや、僕の好奇心だよ」
「なら、構いません。ルルーシュ・ランペルージです」
 軍人相手に名乗るのは不味いと思うが、この男に嘘は通じないような気がした。
 なら、ちゃんと名乗るまでだ。
「僕はロイドだよ。ロイド・アスプルンド」
「ロイドさんですか」
「そうです。覚えておいてね」
 また会える気がする。
 いや、また会う。
 そう決めた!
「分かりました」
 こんな出会い方、多分二度とない。
 忘れたくても忘れられないだろう。
「じゃあね~~v」
「はい」


 これが二人の出会い。 

 

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