諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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綺麗な瞳【後編】
あの後、分かれたきり朝比奈とは会っていない。
ただ、指名手配中の戦犯の名前に朝比奈の名前が載っていた。
彼は軍人だったのだ。
その瞬間に、約束が果たされる事はないのだと諦めたが、胸がチクリと痛んだのは内緒だ。
「さて、ナナリーと朝食を取るか」
ルルーシュは手早く身支度を整えると、ダイニングに向かった。
そこには既にナナリーの姿がある。
「待たせたかい?」
ナナリーを待たせるなど問題外だ。
「いいえ、私も今来た所です」
「良かった」
どうもナナリーを待たせていなかったようだ。
「あの、お兄様」
「どうした?」
「何か良い事でもありましたか?」
「どうしてだい?」
「いえ、声が弾んでいるように感じたから」
気のせいかもしれませんけど。
首を傾げながら言うナナリーに、ルルーシュは内心で感心してしまう。
「夢見が良かったんだ」
懐かしい夢。
「夢見ですか?」
「そうだよ」
優しい夢は優しい気持ちにさせてくれた。
「では、知っていますか?」
「何をだい?」
「朝方に見る夢は、正夢になるんですって」
「え?」
正夢?
それは、
「お兄様の素敵な夢も、正夢になると良いですね」
「そうだね」
そうなったら素敵だろう。
現実になる事はないと思っていても、考えてしまう。
それは素敵な夢だ。
今日の予定はリヴァルと生徒会用の買出しだった。
「これで全部か?」
ルルーシュの担当の分は買い終わっている。
残るはリヴァルの方だけだった。
「ああ。これで全部・・・・のはず?」
弱気な声に、ルルーシュがメモと内容の確認をした。
「大丈夫のようだ」
中身とメモが一致している。
これで買い残しはないだろう。
「良かった」
「後は頼んだぞ」
「おう」
膨れ上がってしまった買い物の量に、サイドカーの定位置は荷物に譲り、ルルーシュは1人で戻る事になっている。
「さて、帰るか」
リヴァルを送り返したら、今度はルルーシュも戻らなくてはならない。
だが、ここまで出てきたのだから少しくらい物色するかと歩いていると、
「綺麗な目だね」
懐かしい言葉。
懐かしい声。
振り返った先には懐かしい人。
「何しているんですか?」
込み上げてきた嬉しさを無理やり押さえつけながら、ルルーシュが素っ気無く聞くと、
「ナンパ」
「じゃあ、声を掛ける相手が違いますよ」
「違わないよ」
子供の時に見た無邪気な笑顔で、ルルーシュを見詰める朝比奈。
「俺は女じゃない」
「知ってるよ」
残念だけどね。
「だったら」
「なら言い換えるよ。約束を守りに来ました」
これなら良いでしょ。
ニコニコと何も変わらない笑顔。
「でも、俺は・・・・」
彼は知らないから言えるんだ。
知ってしまえば言えないだろう。
日本の軍人たる彼が、ブリタニアの皇族である自分を守るなどと。
「ねえ、ルルーシュ君」
「え?」
自分は彼に何と教えた?
確か言いよどんでしまったために、『ルル』としか教えていない。
なのに、
「知っているよ。知っていても関係ない。君を守りたいんだ」
だって決めてしまったから。
守ると決めてしまったから。
だから守る。
それ以外は、どうでも良い。
「あんた、バカでしょ」
それしか出てこない。
でも本当は、凄く嬉しかった。
知っていて、尚且つ守ると言ってくれた彼が。
「うん。ルルバカ?」
何か響が良いね。
自分で言って気に入っているようだ。
「本当にバカですね」
呆れるけど、凄く呆れるけど。
嬉しい。
「バカでも良いよ。ただルルーシュ君を守りたいだけだから」
そう決めたのだから。
「ありがとうございます」
嬉しさを、感謝の気持ちにして。
見詰め合う二人の瞳は、どちらも同じだけ綺麗に輝いていた。
終わり
☆これで終わりです。
矛盾は綺麗にスルーしてね。
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