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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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新しい世界

☆咲世子16歳・ルルーシュ6歳位のつもりで書いています。






『お前だけは、生き延びろ』
 裏の世界で生きる『篠崎』は、常に死と隣同士だった。
 裏切りは日常で、何時だって気を付けていたのに、
『おじ様!』
 まさか、身内から裏切り者が出るとは思ってもみなかった。
『子供だとて容赦はしない』
 叔父の魔の手が伸びる。
 無力な自分では、自分一人が逃げるので精一杯だった。
 父も母も救えない。
『何が篠崎流よ。何も役に立たない』
 こんな力などいらない。
 ただ家族が平和に暮らせれば良かったのに。
 
 
 逃げる時に負った傷から、ドクドクと血が流れ続ける。
「もう、ダメかもしれない」
 ここが何処だか分からないが、無事に逃げおおせたとしても、自分には行く宛てがない。
 叔父の背後にいる権力者の力は壮絶だ。
 自分の居場所は、この日本にはない。
「ゴメンなさい。お父さん、お母さん。咲世子も直ぐに参ります」
 止まらない血は、自分の最後を早めている。
 既に意識が朦朧としてきた。
 ああ、もうダメだ。
 閉じゆく瞳に映ったのは、小さな子供。
 子供なのに、何か惹き付けられるものを感じた。
「ああ、神様のお使いなのね」
 だったら納得できる。
 こんな綺麗な子供と行くのなら、死後の世界も良いかも。
「お姉さん?」
 聞こえてきた声も、天使らしく可愛いらしいものだった。
 黒い髪に紫の瞳が印象的な可愛いらしい天使。
「ありがとう」
 だから、口から出たのは感謝の気持ち。
 最後に、神様も粋な事をしてくれる。
 そこで、咲世子の意識は途切れた。
 
 
 次に咲世子が目覚めたのは、見知らぬ綺麗な部屋。
「ココは?」
 何処だろう?
 部屋をキョロキョロと見渡しているうちに、違和感を覚えた。
 自分の体を見てみれば、丁寧に怪我の手当てがしてある。
 つまり、自分は生きているという事なのだろう。
「死んでも良かったのに」
 あのまま死んでも良かったのに。
 生き延びてしまっても、咲世子には帰る場所がない。
「お姉さん。気が付いたの?」
 声を掛けられた事で、初めて部屋に自分以外に人がいた事が分かった。
「え?」
 何処にと思えば、自分が寝かされているベットに寄り添うように座っていたようだ。
 声を掛けると共に立ち上がったお陰で、初めて認識できた。
 怪我のせいで鈍っているとはいえ、篠崎流の後継者たる自分には有り得ないほどの失態だ。
「大丈夫?」
 心配そうに見詰めてくる紫の瞳。
 死に掛けていた時にも思ったが、何て澄んでいて綺麗なんだろう。
 一族の使命の為か、幼い頃から人の裏側を垣間見る事が多かったために、この子供の純粋な瞳が眩しい。 
「大丈夫よ」
 惹かれる。
 綺麗なだけではなく、大きな意思を秘めた瞳だ。
 こんな瞳を持つ者に仕えられたら素敵だろう。
 だが、篠崎はお金で自分達の能力を売る一族だ。
 守りたいと思う人間と、実際に使える人間は別な事が多い。
 もっとも、帰る場所の無くなった自分には関係ない事かもしれない。
「でも、泣いているよ」
「え?」
 何の事だと思っていると、子供の小さな手が咲世子の頬に触れた。
 そこで初めて自分が泣いている事に気が付いたのだ。
「傷が痛むの?」
 自分の事のように顔を歪めてくれる子供。
 人の気持ちを思いやる事のできる子供だ。
 ますます惹かれてしまう。
「本当に大丈夫よ。ただ……」
「ただ?」
「君に仕えたいと言ったら驚く?」
 何を言われたのか分からなかったのだろう、子供は一瞬キョトンとしたが、言葉を理解したのだろう次に綺麗に微笑んだ。
「良いよ。お姉さんなら」
 ちゃんと分かっているのか分からないが、綺麗な微笑だけで今までの事が癒される気がした。
「ふふふ、冗談です。だって、私は……」
 もう何もない。
「え?僕は本気だったんだけど」
 コテンと首を傾げる子供。
「え?」
 本気?
 何が?
「これでも、人を見る目はあるつもりだよ。だからお姉さんを助けたし、仕える話だって頷いたんだけど」
「・・・・・・・・・」
 どうしよう。
 冗談でも嬉しい。
「う~ん。どうしようかな」
「?????」
 何がだろう?
「まぁ良いか。あのね、お姉さん。じゃあ、僕の方から言うね」
「?」
「僕に仕えてよ。お姉さんになら守られたい。というか、お姉さんが良いな」
 ニコニコと綺麗な微笑を浮かべる、小さな子供。
 だけど、その瞳は何処までも真っ直ぐで真剣だ。
 これは王者の瞳。
 咲世子の体が嬉しさで震える。
「はい。この篠崎咲世子。一生お仕えいたします」
 この子供が自分の主。
 それは、たぶん幸せなことだろう。
「うん。宜しくお願いね。僕は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
「え?」
 ブリタニア?
 世界で最大の規模を誇る国。
「ねえ、お姉さん。コレは契約だよ」
 ふふっと笑う少年。いや、ルルーシュ様。
「はい」
 なんて幸せな束縛。
 
 
 後で知った話だが、ルルーシュ様は日本の桜が見たくて極秘で来日していたらしい。
 コッソリと一人で(大々的にするとSPが大量に付いてしまうから)花見を楽しんでいる最中に、倒れている咲世子を発見したようだ。
 皇帝や他の兄姉に可愛がられているルルーシュの頼みに、咲世子がルルーシュに仕える事はアッサリと決まった。
 
 
 新しい世界が始まった。





☆伊月の中ではプロローグ的な話として作ったのですが、多分続きません(オイ)
というか、連載を増やせない(汗)
気が向いたら書くかもしれないけど。
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