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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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片翼の天使 17

 奇抜な作戦は功を副うし、スザク達の圧勝で幕を下ろした。
「終わったね」
 今回、一番の功労者でもあるスザクは、疲れた顔を見せる事無く笑顔だ。
「そうだな」
 終わった。
 これを合図に、もう直ぐブリタニア本国で革命が起こる。
 それで、皇帝が変わるのだ。
 胸に走る痛みは、スザクと別れることに対するものだろう。
 ここまで深く自分の中に入ってきたスザク。本当なら離れたくなかった。
 
 それでも・・・・
 
 自分が自分であるためには、日本と言う国に居るわけには行かないのだ。
「ねえ、ルルーシュ」
「何だ?」
「約束を覚えている」
 スザクは、ニコニコと表情を崩さない。
「約束?」
 思いに耽っていたために、スザクの言葉が一瞬理解できなかった。
「だから、ご褒美の件だよ」
 もう。そう言いながら頬を膨らませている姿は、日本を取り戻す基盤となった英雄とは思えない。
「え?あ!」
 そうだ、スザクに自分の事を話さなくてはと思っていたために、すっかり忘れていた。
 ご褒美。
 スザクの希望は、ルルーシュからのキス。
 その事で思い出すのは、作戦前の濃厚な口付け。
 アレを俺からするのか?
 無理だ!
 恥ずかしすぎる!!
「思い出した?」
「ああ、だけど、その・・・・」
 今更無理は、いくらスザクでも傷付くだろう。
 だが!
「あのさ、ご褒美の件だけど、少しだけ内容変更して良い?」
 だってね。
 やっぱり。
「ああ、少しとは言わずに、大幅に変えても良いぞ」
 アレよりも恥ずかしい事にはならないだろう。
 安易な気持ちでルルーシュが口にすると、スザクが目を輝かせている。
 これは、不味いかも。
「良かったよ。アレから色々、それこそ戦闘中とかも考えたんだけど」
「集中しろよ」
 勝ったから良かったものの、これで負けていれば目も当てられない。
「大丈夫。ルルーシュが立てた作戦だよ。負けるはずないよ」
 キッパリと言い切るスザクに不安を覚えながらも、続きを促せば。
「男としては、されるよりも、する方が良いに決まっているよね」
「はぁ?」
 スザク、お前の思考回路が分からない。
 そんな事を戦闘中に考えていたのか。
 何も考えない男だと思っていたのは間違えのようだな。改めて思い知った、余分なことを考える男だと。
「だから、ルルーシュからのキスはまた今度で、僕からのキスでお願いね」
 うん。男なら自分から積極的に行かないとね。
「お前は!いったい」
 何を考えているんだ!
 そう叫びたかったのに、叫びだす前にスザクに腕を取られたと思ったら次の瞬間にはスザクに抱き締められていた。
「好きだよ、ルルーシュ」
 目の前には狂おしい程の情欲に駆られたスザクの顔。
「あ!」
 思ったときには、激しい口付けに変わっていた。
 息も出来ないほど激しく情熱的な口付け。
 口の中に感じるスザク舌が別の生き物のように縦横無尽に動き回る。
「好きだ。愛している」
 どれほどの時間が経っただろう、スザクが満足して離れる頃にはルルーシュはグッタリとしてしまった。
「スザク」
 言いたい事はあるのに、ボーっとし過ぎて言葉が出てこない。
 自分を抱き締めるスザクの手が優しく包み込む。
 この手を離したくないのに。
「ねえ、ルルーシュ。ずっと僕の傍に居て」
 お願い。
 どこにも行かないで。
「それは・・・・・」
 前にも無理だと言ったのに。
「どうしてもダメと言うなら、理由だけでも教えて」
 ルルーシュの傍に居られるなら、どんな事でもできるのに。
「理由か。そうだな、話さなくてはな」
 傍に居られない理由を。
 俺の本当の名前を。
 元々この作戦が成功すれば話すつもりだった。スザクの方から切欠を与えられたことは幸いだったのかもしれない。
「うん。それを聞いて僕が納得するかは分からないけどね」
「納得するさ。嫌でもな」
「ルルーシュ?」
 皮肉げに歪められた顔が、スザクの脳裏に焼きついた。
 聞かない方が良いのかも知れない。でも、聞かずには居られないのだ。
 ルルーシュの傍に居るための資格を得るために。



 

☆順調に行けば、20話位で終わりそうです。
 

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