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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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仮面の下の真実

☆ゼロルル「愛しき姫君シリーズ」で、双子バレIF話。
あくまでもIFなので、本編とは繋がりません。
先に、「愛しき姫君シリーズ」をお読みください。




仮面の下の真実




 新たに出発した日本は、諸外国の思惑から大きく外れて順調にいっている。
 ブリタニアから独立したとはいえ、所詮島国と侮っていた面々は悔しがっていた。
 もっとも、一部の日本人達は上手く行くと信じていた。
 なぜなら、
 執務室の中を忙しそうに動き回る一組の男女。
 その2人が、日本という国を動かしている。
 一人は、元黒の騎士団のリーダーであるゼロ。
 そして、もう一人は元皇族でありながら今はゼロの奥方であるルルーシュ。
 2人が相思相愛&ツーカーの中なのは、見ている誰もが思うことだ。
 なぜなら、
「ゼロ、例の件ですが?」
「ああ、それならヤツとヤツを使え。それでダメなようならば、ブランBの方を使えば良い」
「はい。では、あの件は?」
「そうだな。プランDで」
「分かりましたわ」
 これが何気ない会話なのだが、一番恐ろしいことは、2人が自分たちの手元にある書類から目を離していないことだ。
 つまり、主語が無くても通じている。
 まさに熟年夫婦の会話に近い。


 もっとも、これで視線が合ってしまったら仕事にならなくなるのは分かっている。
 一瞬でも視線が合えば、見つめあったまま動かなくなってしまうのだ。
 ゼロの仮面が無かったら、そのままキスシーンに突入しそうなくらいの甘い雰囲気が繰り広げられる。
 思い出しただけでカレンは大きな溜息が出てしまった。


 そして、
「あ」
 その小さな声を拾ったのは偶然だったが、嫌な予感にゼロとルルーシュの方を見れば、
「やっぱり」
 見詰め合っている。
 夫婦なんだから一緒に居る時間は長いだろうに、それでもウットリとゼロの事を見詰めるルルーシュは初々しい。
「はいはい。ルルーシュ、旦那様に見惚れるのは構わないけど、先に仕事をしましょう」
「そ、そんな。見惚れるなんて。ただ、ゼロは格好良いなと思っただけで」
 照れながらも、どこか嬉しそうだ。
「そうよね、自慢の旦那様ですものね」
「はい」
 うふふふと、本当に嬉しそうだ。
 だが、カレンからしてみれば『ご馳走様。お願いだから惚気るのは2人だけのときにして』だった。
 ルルーシュやゼロの惚気を聞かされると、再起不能に陥る者達が続出するのだ。
「悪かったな、カレン。だが、ルルーシュを見ていると時間を忘れてしまう」
「はいはい。分かりましたから、仕事をしましょうよ」
 このままでは時間だけが過ぎていく。
「あ!ゴメンなさい」
「すまなかった」
 2人が大人しく自分たちの仕事を片付けようとしたとき、
「ニャー」
 窓から入ってきたのは、一匹の黒猫。
「猫?」
 可愛らしい姿に、ルルーシュがフラフラと近付くが、
「危ないよルルーシュ。野生の猫なら、どんな菌を持っているか分からない」
 近付こうとするルルーシュを止めたのはゼロ。
 代わりにゼロが黒猫に近付く。
「ゼロ?」
「大丈夫だ、私の服装は肌が出ている部分が無いからな。怪我をすることは無い」
 万が一のことも考えて、ゼロのスーツや手袋の生地は特別せいの物なのだ。
「こい」
「ニャー」
 ゼロの言い方が気に入らなかったのだろうか、1鳴きするとゼロの仮面目掛けて飛びついた。
「「ゼロ」」
 勢い良く飛びついたせいか、猫が着地するのと同じ頃、カランという音がシーンと静まり返った執務室に響いた。
「うそ!」
 仮面の下から出てきたのは、見目麗しい顔。
 ついでに言えば、ルルーシュと瓜二つだった。
「ゼロ」
 ルルーシュが慌ててゼロの仮面を拾って渡そうとするが、カレンによって止められてしまった。
「カレン!」
 皆が見ているのに!
 大人数での仕事を好まないゼロとルルーシュの為に、執務室には必要最低限の人間しかいない。
 現に今も、ゼロ、ルルーシュ、カレンの他には扇と南という初期からのメンバーしかいない。
「綺麗」
「「え?」」
 カレンがなぜ止めたか理解できなかったゼロとルルーシュだが、その言葉に疑問を覚えた。
 どう見てもカレンの目がキラキラと輝いているように思える。
「うそ、やだ、どうしましょう」
「カ、カレン?」
 先に立ち直ったゼロが問いかけても、カレンの目の輝きは増すばかりだった。
「もう、信じられない。綺麗な顔が二乗よ」
「「はあ?」」
 何を言っているんだろう?
 カレンの言葉に着いていけないゼロとルルーシュだが、部屋の隅で成り行きを見守っていた扇と南など、一言も発する事無く固まっている。
「もう最高!綺麗な顔が二つよ。目の保養が二倍よ。これで喜ばない女は居ないわよ!」
 そこまで一気に喋ると、あとはウットリとゼロとルルーシュを眺めている。
 そうなると、今度は扇たちが気になりだした。
「お前達は、その・・・」
 日本人ではないことはバラしてある。だが、ココまで同じ顔を見せてしまえば、
「君達は、その、兄妹か何かか」
 言いずらそうに扇が聞いてくる。
 それもそうだろ、冷静に考えればココまで似ていて他に思いつかないはずは無い。
 赤の他人で通すにはソックリなのだ。
「そうだ。軽蔑するか?」
 兄妹での結婚だ。
 軽蔑されても無理は無い。
「それは・・・・・」
 扇が言いよどんでいると、
「するわけ無いでしょ!」
 キッパリと言い切ったのはカレンだ。
「「「カレン?」」」
「こんなに綺麗なのに、今まで隠していたことには怒るけど、軽蔑なんてしない」
「・・・・・・・」
「だって、ゼロがどれだけルルーシュの事を大事にしているか知っているし、ルルーシュにもゼロが必要だって知っている。それなのに軽蔑なんでできるわけが無い!」
「「カレン」」
 キッパリとしたカレンの言葉に、ゼロとルルーシュは同じ笑みを浮かべた。
 それは嬉しそうに、そして鮮やかな笑み。
「ゼロ!」
 それを見てしまったカレンは、黙っては居られない。
「な、なんだ?」
「私とルルーシュしか居ないときは仮面を取ってください」
「え?」
「ほえ?」
 驚く顔までもが同じだ。
 驚いたときの声が違うくらいだろうか?
「ああ、もう、本当に目の保養だわ」
 こんなに綺麗なモノを近くで見られるなんて最高!
 我が人生に悔いは無い!
「良いのか?」
「良いの?」
「勿論です!」
「そうか」
 ホッとするゼロ。
「はい」
 そんなゼロもルルーシュと同じくらいに良いかもと密かに思っていると、
「それで、扇と南はどうする?」
 ばらされる危険性があるのなら、使いたくないがギアスという事も考慮しなくてはならない。
「誰にも言わない」
「扇?」
「そうだな、これは秘密にしておいた方が良いな」
「南?」
「ゼロ。これで問題はありません。遠慮なくイチャついて下さい」
「それは、違うと思うが」
 それに、今まで遠慮したことは無いのだが。
「でも、私とゼロの事を認めてくれたということでしょ。嬉しい」
 今まで成り行きを見守っていたルルーシュは、素直に喜んでいる。
「そうだな。良かったんだろう」
「ゼロ」
「ルルーシュ」
 仕事中は邪魔になっている仮面が無い。
 それだけでルルーシュは本当に嬉しかった。
 仮面姿のゼロも格好良いのだが、素顔のゼロは素敵だった。
 自分と同じ顔のはずなのに、自分よりも綺麗だと思う。
「愛しています、ゼロ」
 私だけの大切な人。
「愛してる、ルルーシュ」
 私の愛しい姫君。
 そっと重なり合う唇。


「これは当分、仕事にならないな」
「そうですね」
 小声で話しているのは扇と南。
 カレンは、そんな2人を無視してゼロとルルーシュに見入っていた。
「やっぱり絵になるわ」
 ウットリと眺めているカレンに声を掛けるものは居なかった。





☆あくまでもifです。本編の方では、双子バレの予定は無いです。
本編で双子だと知っているのは、シュナ兄様とナオトさんの二人だけ。

 

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