諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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籠の中の鳥 【前編】
☆ロイ子ルルです。ロイドさんは18歳、ルルーシュ6歳です。
でも「前編」なんです。ゴメンなさい。
今度こそ「後編」で終わります。多分・・・・・・
籠の中の鳥 【前編】
『僕は元から壊れているからね。それくらいの自覚はあるんだよ』
ニーナに語った事は嘘ではない。
生まれつき人とは違う目線で生きてきた。
そんな僕でも人間らし期間があったが、それも奪われて久しい。
その時に、完璧に心を棄てた。
心を殺して科学に殉じる覚悟ができた。
「ロイドさん」
過去の懐かしい記憶を思い出していたが、セシルの言葉に現実世界に戻されてしまった。
「はいはい。何ですか~?」
「シュナイゼル殿下がお呼びです」
「え~行かなくちゃダメ~?」
「当たり前です!」
「今は会いたくないんだけどな~」
過去を思い出していた分、今会うのは辛い。
似ていないのに、似ているところを探してしまう。
兄弟なのだから、どこか似ているだろうと。
「ダメです。早く行って下さい」
「は~い」
やれやれと思いながらも、ロイドが思い出すのは8年前の幸せだった頃。
自分が人間で居られた僅かな時。
ブリタニアの貴族や皇族の通う学校に通っていながらも、授業の内容は頭に入ってこない。
聞こうとしていないからだ。
もっとも、教師が必死になって教えている内容は、既にロイドの知識の一部だ。
今更聞く必要が無いとも言える。
「退屈~」
授業中にも関わらず、ナイトメアに関する書籍を読みつつも、内容は既に頭の中に入っている。
「なら私の所にでも来るか?」
「え~シュナイゼルのとこ~」
相手はブリタニアの第二皇子。
ロイドの発言は皇族に対してのものではない。
だが、シュナイゼルは慣れているのか咎める様子は無い。
「新しい書籍が届いたんだが、殆どナイトメア関係だ。私はそれほど興味が無いが、ロイドなら見たいだろう」
「へぇ~ナイトメアねぇ」
それは確かに興味深い。
シュナイゼルの所にあるのは貴重な本ばかり。
新しく入ったと言うナイトメアの本も期待できる。
「どうする」
断られるとは思ってもいないのだろう、上から見下した声。
「行く」
反抗してみたい気もするが、本能が欲望に忠実に答えてしまう。
「では、行こうか」
こちらも授業中ということは頭に無いのか、勝手に席を立って教室から出ていてしまった。
「はいはい。付いていきます」
シュナイゼルに続けとばかりに教室から出て行ってしまったロイドにクラスメイトや教師が唖然としていたが、2人が居なくなってしまうと元の静けさが教室に戻った。
この2人の奇想天外な行動には慣れているからだ。
教室を出た二人が向かった先は、シュナイゼル住む宮殿。
「相変わらず無駄に豪華だね~」
「私の趣味ではないが」
豪華な宮殿だが、装飾が華美になりすぎていてロイドにしてみれば悪趣味の粋に達している。
「お母上様の趣味だったよね~」
自分の家がココまで悪趣味ならば帰りたくなくなるだろうが、所詮は人様のお宅だ。
たまに来る分には我慢できる。
「それよりも、さっさと行け」
「は~い。シュナイゼルは?」
「私は部屋に居る。帰り際に声を掛けてくれればいいさ」
「ほ~い」
勝手知ったる他人の家。
何度も来た事のあるロイドにとって書斎の場所は手に取るように分かりやすい。
「は~い。到着!」
ギギギという濃厚な音と共に開かれた扉の向こう側には、所狭しと並べられている本の山。
多いがジャンルごとに分けられているので、目的の本を探すのは容易い。
そう思いつつ、ナイトメア関連の書籍の場所に行けば、そこには先客が居た。
「え?」
小さな子供。
自分の半分くらいしかない子供が、ナイトメアに関する専門書を読んでいた。
「へぇー」
読んでいる本はナイトメアの入門書的なもの。
ロイドも初めに何度も読み返した本。
趣味が良い。
ジーっと子供を観察していると、3ページに一度くらいの割合で首を傾げている。
どうやら分からないことがあるようだ。
「教えてあげよっか」
親切心からの言葉ではなかった。
ただ興味が沸いただけ。
だが、
「ほえぇ?」
可愛らしい声で振り返った子供は、声以上に可愛らしい子供だった。
「・・・・・・・・・」
子供に見詰められて、ありえないことにロイドの心臓がドキドキと高鳴りだしたのだ。
「お前は誰だ!」
精一杯強がってはいるものの、目が怯えている。
そんな姿すら可愛らしい。
「僕は、ロイド・アスプルンドです。僕の紹介は終わったんだから、次は君だね」
ニッコリとロイドが笑っていえば、
「ルルーシュ。・・・・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
小さな小さな声。
下手すると聞き逃してしまいそうな小さな声での紹介だったが、ロイドは気にすることは無かった。
「ルルーシュ殿~下。宜しければ、ご説明しましょうか?」
「え?」
本を指して言えば、キョトンとルルーシュの目が見開いた。
「その本でしたら何度も読みましたからねぇ。分かりやすく説明できると思いますよ~」
「ほ、本当?」
オドオドしながらも期待に満ちた眼差し。
全てが愛しかった。
「ええ、本当で~す」
「でも・・・・・」
説明はして欲しいのだろう、だが躊躇するのは、
「僕にとっては、シュナイゼルもルルーシュ殿下も同じ皇子様ですよ。周りの言葉なんて気にしない方が良いですよ~」
「あ!うん。ありがとう」
母親の身分の低さから、陰口を叩かれるのは日常的な事だった。
特に貴族階級の人間に多いから、ロイドにも遠慮していたのだが気にしない方が良いと言ってくれた。
それはルルーシュにとって驚きの言葉。
今まで誰も言ってくれなかった。それだけにロイドの言葉が嬉しい。
無意識のうちに笑顔になっていたが、当のルルーシュは気が付いていない。
初めてフワリと笑ったルルーシュの顔に見とれたロイドは、イケナイ道に迷い込んだ気分だった。
「いえいえ」
本気でヤバイかも。
流石に犯罪者にはなりたくない。
「えっと、その、よかっららココを教えて欲しい」
先ほどから何度読んでも分からなかった所を指差した。
「ああ、ココですか。ココなら・・・・」
ロイドの分かりやすい説明に驚きながらも、ルルーシュは次から次へと質問を繰り返す。
「ロイドの説明は分かりやすい」
ニコニコとルルーシュはご機嫌だ。
誰に聞いても答えられなかった質問ですら、ロイドは難なく答えるのだ。
「ルルーシュ殿下の飲み込みが早いんですよ」
「///////ロイドのおかげだ///////」
顔を赤らめて照れているルルーシュが愛おしい。
自分にもこんな人間らしい感情が残っていたとは驚きだ。
「ねぇ、ルルーシュ殿下」
「なんだ?」
「ルルーシュ殿下が傍に居てくれたら、僕は人間で居られそうなんです」
「??????」
「だから、僕より先に死なないで下さいね」
皇族である以上、命を狙われることは日常茶飯事だろ。
だが、ルルーシュだけは死んで欲しくない。
やっと芽生えた人間らしい感情。
それもルルーシュが傍に居てこそだった。
「ロイド・・・・・」
「死なないで下さい」
「ゴメンなさい」
本来ならば『死なない』と言えれば良かったのだが、ルルーシュには言えなかった。
聡明すぎるルルーシュには、嫌と言うほど現実が見えてしまっているのだ。
「ルルーシュ殿下が死んでしまったら、僕は壊れてしまう」
「ロイド」
「だから死なないで」
「ゴメン。やっぱり言えない」
「あははは、ゴメンね~。変なこと言って、忘れてくださって良いですよ」
「ロイド!」
「さぁてと、僕は先に帰りますね~」
情けない顔を見られたくなくて、ロイドはさっさと書斎を後にしてしまった。
「僕だって死にたくない」
ルルーシュの小さな呟きは、ロイドの耳には届かなかった。
【後編】
☆本編のロイドさんのセリフに過去を見た伊月の、過去捏造ネタ。
でも、終わらなかった。
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