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籠の中の鳥 【後編】

☆ロイルルの「籠の中の鳥」後編です。





籠の中の鳥【後編】





 コンコン
「どうぞ」
「入るよ」
「珍しいな、ロイドが事前に声を掛けるなんて」
 いつもならノックすることもなく入ってくる男だ。
「たまにはね。それより書斎に小さな弟君が居たよ」
「ああ、ルルーシュか。ここの所通っているようだね」
 目を細めて言うシュナイゼルの表情は、弟を思う兄そのものだった。
「可愛がっているんだ」
 珍しい。
「ああ、あの子は聡い子だ。役に立つだろうからね」
 そう言いながらも、シュナイゼルは可愛くて仕方ないという顔をしている。
「兄バカ?」
 あの子が相手ならばそうなるかもしれないが、
「そうかもしれないね。あの子は大切だよ」
 他の兄弟たち以上に大切な弟。
「あのさ~。推薦状が欲しいんだけど」
「どこのだ?」
 私の推薦状が必要な所?
「士官学校のさ」
「・・・・・科学者になるんじゃなかったのか?」
「う~ん。それも棄てがたいんだけどね~。小さな皇子様の騎士でも目指そうかな~って」
 幸薄そうな皇子様。
 だったら僕が守れば良いだけの話だ。
「ルルーシュのか?」
「そうそう。僕じゃ不満?」
 意外と言われるが、これでも体力には自信がある。
 軍に入っても出世する自信もある。
「いや、心強い」
 これ以上ないほどの騎士になるだろう。
 性格を含まなければだが。
「僕が守るよ。やっと見つけたんだから」
「そうだな」


 それから4年という歳月が流れ、ロイドは最短で士官学校を卒業すると着実に出世していった。
「ルルーシュ様v」
 初めのうちこそ遠慮がちだったが、回数を重ねる毎にロイドの態度が大きくなってきている。
 今もガバリと小さなルルーシュに抱きついて離れない。
「ロイド。毎回毎回抱きつくなと言っているだろう!」
「え~。一ヶ月ぶりのルルーシュ様なんですよ。これくらいじゃ足りないです」
「いい大人が情けない」
 10歳児に諌められる22歳の青年。
 傍から見ていれば滑稽だが、微笑ましい限りだった。
「情けなくて結構です。ルルーシュ様の傍に居られるのなら」
「ロイド!」
 変わり者で有名なロイドだが、同じ年代の者達に比べて軍の中の地位は高い。
 それだけ頑張ってきたのだ。
「ねぇ、もうそろそろ僕を騎士にしてくれませんか?」
「それは・・・・・」
 会えば必ず聞いてくる。
 これだけ優秀なら、もっと高位の継承権を持つものの騎士にすらなれるのに。
「僕はルルーシュ様の騎士になりたいんです」
 それまでのふざけた態度が嘘のように真剣な眼差し。
「今はダメだよ、ロイド」
 ロイドの申し出は嬉しいが、今の自分が騎士を持つことはできない。
 ルルーシュが騎士を持つことで、他の高位継承権を持つ兄弟たちを刺激したくないのだ。
「なら、いつなら良いのですか?」
 今直ぐでなくても構わない。
 最終的にでもルルーシュ様の騎士になれれば良いのだから。
「それは・・・・いつだろうな」
 自分でだって分からない。
 本当は早くロイドを自分の騎士にしたかった。
 他の兄弟たちに取られる前に。
「もう、そんな顔しないで下さい。ルルーシュ様は笑っている顔が一番可愛いのだから」
「///////か、可愛いって///////」
「本当に可愛いですよ」
「///////ロイド!///////」
 やっぱり可愛い。
「なんですか?」
「次の誕生日だとまだ早いが、その次くらいには騎士にできるように努力する。だから・・・・・」
 それまで待てくれるだろうか?
「え?無理しなくて良いですよ」
 ゆっくりで良いのに。
 今欲しいのは確約。
「でも、あまり遅いとロイドが・・・・」
 他の兄弟に取られそうで怖い。
「大丈夫です。僕だけは何があってもルルーシュ様を裏切りません」
「本当?」
「ええ、本当です。だから僕をルルーシュ様の騎士にして下さいね」
 この可愛らしい人を、どうして裏切れるだろう。
「うん。約束する。今は無理でも、いつか必ずロイドを僕の騎士にする」
「はい。期待して待ってます」
 小さな主との大切な約束。
 それはアリエスの悲劇の起きる前のできごと。


 アリエスの惨劇は、直ぐにロイドの耳にも届いた。
 日本という小国に追いやられた主。
 それでも、約束を胸に生きてきたのに、
「嘘だ死んだなんて」
 悪友から伝えられた内容は、ロイドにとってこれ以上ないほど衝撃だった。
「残念だが事実だ」
「嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。ルルーシュ様が死んだなんて」
「認めるんだ、ロイド」
「認めない。認めたら・・・・」
 認めたら受け入れるしかない。
 ルルーシュ様の死を。
 それはできない。
「私から伝えることはもうない。後は好きに考えるのだな」
 それだけ言うとシュナイゼルはロイドの元から去っていった。
「嘘だ。嘘に決まっている」
 だがシュナイゼルが嘘を付くことはない。
 長く悪友をやっているロイドには分かっていた。
 ただ、受け入れられないのだ。
 唯1人の主と決めたルルーシュの死を。
「ああ、音を立てて壊れていく」
 自分の中の人間らしい感情が壊れていく。
「もう心なんていらない」
 ルルーシュ様がいないのだから。






☆この話は、19話のロイドのセリフが元で書きました。
元がシリアスだったために暗いです。多分今まで一番暗い話かもしれない。ハッキリ言って、自分でこの暗さが耐えられない。
なので近いうちに「おまけ」を書きます。
 

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