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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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両手に花を【後編】

「ナナリーに拒まれた」
 ゼロとしてだったのだが、自分の手を拒んだナナリー。
 世界の綺麗な面しか見せてはこなかったが、自分の事だけは分かってくれると思っていた。
「フッ。自業自得か」
 この先、ナナリーに拒まれたルルーシュには未来が見えない。
 いや、考えたくないのかもしれない。
「幸福な夢か」
 リフレイン。
 悪魔の薬は、甘い誘惑としてルルーシュの目に映る。
 これさえ打てば、幸せだった頃に心だけでも戻れるのだ。
 希望のあった頃なら見向きもしなかっただろう。だが、今のルルーシュには魅力的な薬に写った。
「これで」
 過去に戻れるなら。
 そう、戻りたい。
 幸せだった子供の時に。
 そこには笑っているナナリーとユーフェミア。
 そして、自分の騎士候補達。
 まだ打っていないのに、懐かしい声が聞こえてきそうだ。
「ルル様」
「ルルーシュ様」
 そう、こういう風に・・・・・
 あれ?
 幻聴か?
 考えていたせいなのか、本当に聞こえた気がした。
 あれれ?
 ルルーシュが首を傾げていると、
 ガバリと大きな衝撃。
 視界を覆うのは金とピンクの髪。
 後ろから抱き着いている女性に、腰に抱きついている少女。
 デジャヴ?
 にしては、衝撃は本物だし、さらには、
「見つけた」
「もう、離しません」
 抱きついている女性と少女には見覚えがある。
「アーニャにモニカ?」
 自分の騎士候補達。
「ルル様」
「ルルーシュ様」
 8年振りに主に呼ばれた名に、アーニャとモニカは感極まっている。
 生きていてくれた。
 それが、どんなに嬉しいか。
「本当に、お前達なのか?」
 偽者という考えも浮かんだが、確かにこの抱きつきかたは二人のものだ。
 ただ一つ違うとすれば、昔は覆いかぶさるように抱きついてきたモニカが、今では普通に抱きついている事だろう。
昔は何度潰されるかもしれないと恐怖したのだが、今では身長差も殆どなく、どちらかといえばルルーシュの方が高い。 そのせいか、この年になってまで押しつぶされるという経験はしなくてすみそうだ。
「うん」
 嬉しそうに頷くアーニャに、
「勿論ですわ」
 嬉しそうに微笑むモニカ。
 変わらない二人の姿に、ホロリとルルーシュの目から涙が流れた。
「あ!」
「まあ」
 そんなルルーシュの姿に驚きながらも、2人は優しく見詰めている。
「/////これは、違うぞ。ただ嬉しくて。その/////」
 真っ赤になりながらもアタフタとしている姿は可愛らしい。
「ルル様可愛い」
「男に「可愛い」とはなんだ!」
「だって、ルルーシュ様は子供の頃から涙もろくて、可愛らしくて。でも今は美人で綺麗ですわ」
 ニコニコとまったく悪気はないモニカなのだろうが、一言一言がルルーシュのプライドを傷付けていく。
 くそー。この2人は、何も変わらない。
 8年前と何も変わらない事に安堵したルルーシュは、持っていたリフレインを地面に落とした。
 ルルーシュの手から落ちたものが気になった2人は、気付かれないようにソット見た途端に、それが何であるか理解してしまった。
 そこまで追い詰められていたのだろう。
 今度は自分達が守ってみせる。
 アイコンタクトで会話したアーニャとモニカは、抱き締める力を強めた。
 が、
「痛いぞ」
 二人とも軍人。
 それも、トップレベルの軍人なのだ。
 いかに見掛けはか弱そう?に見えたとしても、その力はルルーシュよりも断然的に強い。
「ゴメンなさい」
「だって、凄く嬉しかったから、つい夢中になってしまいましたわ」
「どいてくれ」
 ここでクドクドと言っても、どうせ2人には通じないのだ。
 だったら深く言うだけ無駄なのだ。
「モニカが退く」
「何を言っているのかしら。アーニャがどけば問題は解決ですわ」
 2人の力が強いのがいけないのならば、1人ならば良い。
 単純に考えてしまった二人は、お互いがお互いをルルーシュから引き離そうとしている。
「モニカ」
「アーニャです」
 バチバチと火花すら見えそうな視線と視線の応酬。
「ルル様に迷惑」
「アーニャこそ、ルルーシュ様が迷惑していますわ」
 バチバチどころか、2人の背後に稲妻すら見えそうだ。
「いい加減にしろ!」
 とうとう見かねたルルーシュが口を挟む。
「ルル様」
「ルルーシュ様」
 唯一の主であるルルーシュの厳しい声に、2人はシュンとしながら腕の力を抜いていた。
「別に抱きつくなとは言わない。ただ、力加減だけは忘れるな」
 あのままでは骨が折れただろう。
 抱きつかれて折れるなど、恥ずかしすぎる。
「はい」
「分かりました」
 素直に謝れる。
 だって、それはこれからも抱きついて良いというお墨付きをもらったのだから。
「これから宜しくな」
 笑顔と共に差し出されたルルーシュの綺麗な手。
「「はい」」
 2人は嬉しさを隠す事無く、ルルーシュの手を掴んだ。
 

 重ねられた3人の手。
 二度と離れる事はない。
 これからは『私達』がルルーシュ様を守る。
 アーニャとモニカの固い決意と共に。
 



☆終わり?
本当はモニカさんがもっと黒くなる予定でしたが、良心が邪魔をして掛けなかった。
8年前の3人のやり取りを書きたいかも。そしてら、黒いモニカさんが書けるv
前編で書いていたスザクさんへのお仕置きは、まったく何も考えていなかったので今回は書きません。・・・・・・多分?(気が向いたら書くかもという事で)
でもって、矛盾は全部IFという事で許して下さい。

 
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