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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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漆黒の闇【後編】

『姉上は、何でも知っているのですね』
 幼い自分は、興奮気味に目を輝かせながらキラキラと尊敬の眼差しを姉に向けていた。
『そうね。だって、ルルーシュの為に必要だから』
 ウフフフと妖艶に笑いながらも瞳は優しい。
『姉上』
 そんな姉の言葉が、ルルーシュは何よりも好きだった。
『可愛い私のルルーシュ。貴方の為なら、私は何だってして見せるわ』
 小さな弟を抱き上げると、そのまろやかな頬に唇を寄せる。
『くすぐったいです』
 頬に触れる感触がくすぐったいのだろう、クスクスと笑うルルーシュ。
『本当に可愛い。可愛い、私のルル』
 一目で気に入ってしまった弟。
 他の数多くいる兄弟など、塵にも等しい。
 この子さえ居てくれれば良いのだ。
 

 あれから何年が過ぎただろう。
それでも、ギネヴィアのルルーシュへの想いは変わらない。
いや、それどころか増してさえいる。
「私の顔を忘れてしまったのかしら」
クスクスと笑いながらも、差し出した手を戻す事はない。
「生憎と、資料でしか知りませんので」
内心を悟られないようにと思うのだが、相手が悪い。
宰相であるシュナイゼルよりも、厄介さでは上だろう。
シュナイゼルが失踪したという噂を手に入れていたが、まさかもっと厄介な人物が現れるとは思わなかった。
「嘘つきな子」
それでも愛しい子。
「嘘と言われましても、生憎と嘘を付いた記憶がありません」
シレット言うものの、この姉ならば全てを知っていてもおかしくない。
それどころか、多分此方の知らないことまで知っていそうだ。
「貴方の居場所を用意してきたわ」
「何処にと聞いてもよろしいですか?」
「勿論、ブリタニアによ」
テロリストに居場所。
本来ならばありえない。
だが、悠然と微笑んでいるギネヴィアの言葉には嘘が感じられない。
見守っている人々が固唾を呑んでいると。
「無理ですよ」
自分に居場所など。
それもブリタニアになど。
無理に決まっている。
「あら、居場所だけではないわ。貴方の望む世界すら与えてあげる」
「どうやって?」
どうやって与えてくれるというのだろう。
自分達には何もないのに。
「世界を貴方にプレゼントしてあげる」
ウフフフと笑う顔は、まるで玩具を与えるように気軽だ。だが、その内容は玩具とは比べられないくらい大きい。
「大きく出ましたね」
この姉に乞えば、何でも与えられた幼少時。
だが、今くれるというのは世界。
規模が違い過ぎる。
「お父様には、退位して頂いたわ」
「え?」
ギネヴィアの問題発言に、大きく動揺している動揺している場内。
特に、ラウンズの3人には寝耳に水だっだ。
「私が第99代のブリタニアの皇帝よ。いえ、女帝かしら」
ウフフフと笑っている姿は幼い頃と何一つ変わっていない。
「冗談ですか?」
 この姉が冗談を言わないのは知っているが。
「まさか、本当よ。そして、貴方が第100代の皇帝になるのよ」
 これで世界が手に入るでしょ。
 ウフフフと微笑みながらの言葉に、ルルーシュとて頷く事しかできない。
 なぜなら、ブリタニアの皇帝。確かに、その地位に着けば何の苦労もなく世界の半分が手に入るのだ。
 そして、自分や姉が手を組めば残りの半分も容易く手に入れられるだろう。
 だが、そんな2人に水を差す者がいた。
「恐れながら、このような事を勝手になさればシュナイゼル殿下が黙ってはおりません。それに、他の皇族の方々なども納得しなねると存じます」
 その男は、長くシュナイゼルに使えていた者だ。
「あら、それは問題ないわ。他の兄弟達は納得済みよ。納得いかない者達はシュナイゼルのように退場して貰ったしね」
 退場。
 その言葉が示すとことは、
「シュナイゼル殿下は・・・・・」
 蒼白になっている男に、
「お前も、直ぐに同じところへ送ってあげる」
 笑みを浮かべたままのギネヴィアの姿に、崩れ落ちる男。
 そんな男を一瞥すると、優しい笑みを浮かべてゼロの方へ近付く。
「もう、私の手を取ってくれるわよね。ルルーシュ」
 初めてルルーシュの名を呼んだ。
「姉上」
 抵抗しても無駄なのは分かる。
 だからこそ、ルルーシュはゼロの仮面を脱ぎ捨てた。
 仮面の下から出来た美貌に、会場の中のどよめきが増したが、当の本人達は気にも留めていない。
「ああ、思ったとおりだわ。綺麗になったわね」
 久しぶりに見た弟は、目の冷めるような美人になっていた。
 何もかもが嬉しい誤算だ。
「男に綺麗は、嬉しくないですよ」
 そこには姉弟の会話。
 テロリストと皇族の会話ではない。
「私の手を取ってくれるわよね」
 今度こそ確信を持ってギネヴィアは言う。
「そうですね。ここで取らなかったら、姉上の方から掴んできそうだから」
 取るのではなく掴む。
 姉の性格を正しく理解しているようだ。
「良い子だわ。私の可愛いルルーシュ。世界を貴方にプレゼントしてあげられるのね」
 それは何と甘美な事だろう。
 ウットリと光悦に浸っているギネヴィアの手に、ルルーシュの手が添えられた。
 
 
 この瞬間から、世界は2人のモノとなった。
 
 
 

終わり




☆ここで終わりですが、よく考えたら会場内には大好きなオデュ兄様や某騎士様がいます。
出さない訳にはいかないので、「おまけ」を後日アップします。
本編はココで終わりますので、別に読まなくても大丈夫な短い話になりそう。
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