諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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両手に花を【前編】
「見つけた」
アーニャは、その映像を見ながら嬉しそうに微笑んだ。
「どうした」
アーニャが微笑む事など珍しい。
気になってしまったジノが声を掛けるが、
「うふふふ。早くモニカにも知らせなくちゃ」
聞いていないのか、それとも聞こえない振りなのかアーニャがジノの方を向く事はなかった。
「アーニャ?」
アーニャと会話が続かない事など多い。
だが、ここまであからさまなのは初めてだった。
ジノが首を傾げていると、
「ジノ」
初めて気が付いたかのようにアーニャがジノを見ている。
「どうしたんだ?」
何時にないアーニャの反応。
なんだか警戒音すら聞こえてきそうだ。
「大切な人の敵は、私の敵」
「は?」
何のことだ?
アーニャの言いたい意味が分からないジノが、尚も問いかけようとしたのだが、あっという間にアーニャは走り去ってしまった。
後に残ったのは、アーニャが見ていた映像。
そこには見目麗しい少年の姿。
どうも盗撮に近い映像。
新しくセブンの地位に着いたスザクの極秘任務の映像らしいが、
「盗撮というか、観察?」
中心に映っているのは一人の少年。
その少年を写した観察映像だった。
「嫌だな」
日常生活の全てが写っている映像には、プライバシーというものがない。
嫌だと思いつつも、この映像の何がアーニャを捕らえたのか分からない。
結局最後まで見ても分からなかった。
ただ、映像の中の少年の笑顔に心引かれるものがあるだけで。
一方、ジノの元から走り去ったアーニャは、一心不乱にモニカの元に向かっていた。
「早く知らせないと」
自分だけが知っているという優越感よりも、早く知らせて同じ喜びに浸りたい。
モニカは、たった一人の運命共同体なのだ。
あの日から、目的を奪われた日から、モニカとアーニャは、ひたすらに生きていた。
死んだと聞かされても、信じる事はなかった。
自分達の主が帰ってくる事だけを願って日々生きてきた。
その日々が終わりを告げる。
「モニカ!」
駆け寄る先には、同士たるモニカの姿。
「アーニャ?」
何時にないアーニャの歓喜に満ちた顔。
その顔をモニカは知っていた。
今でこそ喜怒哀楽が少ないと言われているアーニャだが、昔は違った。
誰よりも感情豊かな少女だった。
それが一変したのは、8年前の事。
アリエスの惨劇。
その時、モニカとアーニャの主は奪われてしまった。
それでも、またブリタニアに戻ってきてくれる事を信じていた。
だからこそ、アーニャも不器用しだが、まだ笑っていた。
あの時まで。
その知らせを聞いたとき、モニカもアーニャも信じなかった。
人伝に聞いただけの話など信じない。
そう思いつつも、アーニャからは表情がなくなり、モニカも生きる屍に成り果ててしまった。
それでも、一抹の希望を胸に、我武者羅に自分を鍛えながら上り詰めた。
主が帰ってきたときに、誇れる自分を見せたかったから。
その為だけに生きてきた。
だからこそ、アーニャの歓喜に満ちた表情に、『まさか』と思いつつも、嬉しさを隠せない。
だって、
「見つかったの」
ほら、望んだ言葉。
8年間待ち続けた言葉。
その間に一つだけ二人の中で変わった事がある。
「そう。そうなの」
モニカも嬉しくて仕方がない。
「行く」
「ええ。勿論よ」
待っているだけではダメなのだ。
だからこそ、二人で話し合った。
もし主が見つかったのなら、二人で迎えに行こうと。
「エリア11でスザクが監視していた」
「まあ、それはお仕置きが必要ね」
私達の主に対して監視など、不届き千万だ。
「手伝う」
アーニャにしても、見つける切欠を作ってくれたことには感謝しているが、主に対する監視は許せなかった。
「ええ、二人でヤリましょう」
「うん」
「でもその前に、迎えに行きましょう」
ニッコリと笑いながらモニカは、アーニャに手を伸ばした。
その手を取ると確信しながら。
「行く」
そしてアーニャは、躊躇う事無くモニカの手を掴んだ。
二人が向かう先はエリア11。
自分達の主の元。
☆次にルルがでます。
取り合いにまで発展すれば良いけど。
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プロフィール
HN:
伊月 優
性別:
女性
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