修羅道

☆咲世子さん復活！お祝いＳＳです。この人がルルーシュの元に来たからには無敵です！
タイトルが仰々しいのはゴメンなさい。他に思いつかない伊月の至らなさ。





　早く知らせなくては。
　体中の傷が痛みを訴えるが、咲世子は気にしてはいられなかった。
　ただ早く。
　伝えなくてはならない。
　自分はその為に急ぐのだ。
「クッ」
　それでも体中に受けた傷は生半可の数ではなく、この一ヶ月で多少完治したとはいえ完全には直りきっていない。
「ルルーシュ様」
　伝えたい。
　いや、早く会いたいのかもしれない。
　黒の騎士団に裏切られて傷ついているであろう人。
「命令違反かしら」
　自分の命はナナリー様の救出。
　それを放棄してルルーシュ様の元に向かっているのだ。
　それでも、
「会いたいです」
　お会いしたいのだ。
　ルルーシュ様に。

　ジェレミアの前までたどり着いた咲世子だが、そこで意識が途切れた。
　次に目が覚めたのはベットの上。
　治療された体に安堵の溜息が出る。
　傍に居たのはジェレミアだけ。
「ルルーシュ様の元にたどり着けた」
「ああ、ここに皇帝陛下がおられる。差し支えなければこれまでの事を話して聞かせてくれないか？」
「はい」
　ジェレミアの言葉に、咲世子はこれまでの事を語った。
　一気に語ると、今までの疲れが出たのか瞼が重い。
「今は休んでいると良い」
　察してくれたジェレミアの言葉に、
「ありがとうございます」
　それだけ言うと、意識がまたしても途切れていった。
　次に目が覚めたときには、そこには誰も居ない。
　だが、折りたたまれているメイド服が咲世子の居場所を示してくれている気がした。
「私の服」
　メイド服を見て自分の服と言えるのはおかしいかもしれないが、この服こそがルルーシュ様に仕えるための戦闘服なのだ。
　メイド服に着替えると、初めて帰ってきたという実感がでる。
「ルルーシュ様」
　向かうはルルーシュ様の元。
　誰に居場所を乞わなくてもたどり着ける自信があった。
　咲世子が本能のまま突き進むと、一枚の扉。
　コンコン
「どうぞ」
　中から聞こえてくるのはルルーシュ様の声。
　ああ、やっとここまで来れた。
　この一ヶ月間、待ち望んだ人。
「失礼します」
　部屋の中に入れば驚いた顔のルルーシュ様。
　ああ、この方は何も変わっていない。
　驚いた顔をみて、咲世子はクスリと笑ってしまった。
「笑うなんて酷いですよ」
「申し訳ありません。でも、ルルーシュ様はやはりルルーシュ様なんだと思ったら嬉しくて」
「嬉しくて笑うんですか？」
　酷いな。
　そう言いながらもルルーシュも柔らかな笑みを浮かべている。
「はい。本当に嬉しかったから」
「咲世子さん」
「初めに謝らねばなりません」
「え？」
「ナナリー様を連れて来れなくて申し訳ありません」
「それは・・・・」
　それは、仕方がない。
　シュナイゼルの切り札であるナナリーは重要な手駒だ。
　簡単には連れ出せないだろう。
　それよりも、黒の騎士団の一員であり日本人である咲世子が来てくれた方が驚きだ。
「ご命令を遂行できなくて申し訳ありません」
「いや、いい。それよりも・・・・」
　咲世子は・・・
　裏切らないだろうか？
　裏切りに慣れる者はいない。
　それば自分も同じだ。
「先に聞いていただきたいことがあります」
　ルルーシュの言葉を遮るように咲世子が言った。
　普段は最後まで話を聞く咲世子にしては珍しいことだ。
「何だ？」
「私はルルーシュ様に仕える女です」
「そうか」
「黒の騎士団でもなく、ゼロでもありません。ルルーシュ様に仕える女なんです」
「それは・・・」
　信じて良いと？
「ルルーシュ様の進むべき道が、私の進むべき道です」
　どこまでもお仕えしたい。
「・・・・・・・・」
「ルルーシュ様！」
「我が道は修羅道だ。同胞を手に掛ける覚悟があるか？」
　日本人を殺すことになる。
　そう言うルルーシュは気が付いているのだろうか？
　言いながら誰よりも傷付いている顔をしていることに。
　この人は、誰よりも優しい人なのだ。
　そのルルーシュ様が修羅道を行くというなれば、私はどこまでも一緒に突き進もう。
　この優しい人が、これ以上傷付かないように守ってみせる。
「それがルルーシュ様の進まれる道ならば、私は喜んで突き進みます」
　ルルーシュ様と共に。
「来い！咲世子」
　伸ばされた手。
「はい」
　咲世子は誰よりも綺麗なその手を取った。
　共に修羅の道を進むために。





☆最近思うのですが、咲世子さんて天然じゃなくて計算なんかじゃないかと。
そうすれば、シュナ兄様以上の黒い人？
黒咲世子さんの話か書きたい今日この頃（勿論、ルルーシュ以外にが大前提）