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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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時は来た 【後編】






「え?」
 そんな兄の言葉にルルーシュは驚いてしまう。
「そうしたら、信じてくれるかい?」
 信じて貰わないと話が進まないからね。
 あの素直だった弟が、ココまで人間不信になってしまった事は哀しいね。
 だけど、これからは私が傍に居るから大丈夫か。
「本当に?」
 信じて良いのだろうか?
 この兄の言葉を。
「ああ、信じてくれて構わないよ。そうだね、その後は私が皇帝になって世界を牛耳っても良いし、君が皇帝になって優しい世界を造っても良い」
 好きにして良いんだよ。
 オデュッセウスの言葉は、優しい響きを持っている。
「兄上の事を信じたい」
 初めてルルーシュはオデュッセウスの事を兄と呼んだ。
 その事に、見守っていた団員達がどよめいたが、オデュッセウスやルルーシュは気にならない。
 お互いしか目に入っていないのだ。
「信じてくれて良いよ。そして、その無粋な仮面を取っておくれ」
 綺麗に成長したであろうルルーシュの素顔が見たい。
「はい」
 その言葉に慌てたのはカレンだ。
 ルルーシュの兄と名乗るから、詳しく聞く前にアジトに連れてきてしまった。
 その結果、まさかこんな事態になるとは。
「ちょっと、ゼロ!」
 だが、カレンが止めるよりも早くルルーシュは仮面を脱ぎ去ってしまった。
 仮面の下から現れた美貌の少年。
 自分達は、こんな少年に全てを背負わせていたのか。
 それは、色んな意味で衝撃だった。
 
 団員達が困惑している中、オデュッセウスが団員達に向き直った。
「君達に問おう」
 それは、今までのニコニコした実害のない風貌の青年ではなかった。
 ゼロに等しい、いやもしかしたら、それ以上の王者の風格。
 逃げ出したくなる気持ちをグッと堪えて、進み出たのは藤堂だ。
 扇や玉城などは部屋の隅の方で怯えている。
「なんだ」
 藤堂にしても、この一言が精一杯だった。
 ココまで激しいプレッシャーは、戦闘中でも感じない。
「プライドを守って死ぬか、プライドを棄ててでも日本という国を取り戻すか」
「なんだと?」
 それは?
 どういう意味だ?
 意味を計りかねて藤堂が問えば、
「簡単な事さ。私が皇帝になれば、君達の死を条件に日本を返してあげよう」
「な!」
「だがルルーシュが皇帝になれば、簡単に日本の独立は認められるだろう」
「え?」
 そんな簡単に日本が戻るのか?
 団員達が喜んでいたのも束の間。
「ただし、黒の騎士団のリーダーがブリタニアの皇族だと知っていて手助けしていたという事になり、君達の名は地に落ちる」
 ブリタニアの手先というレッテルが貼られる事になるだろうね。
 嬉しそうに語りながらも、オデュッセウスの目は笑っていない。
「第三の選択はないのか?」
 どちらも、自分達には不利だ。
 そう思って藤堂が提案したのだが、
「やれやれ。君達の為にルルーシュはプライドを棄てたのに、君達には無理なんだね」
 残念だよ。
「・・・・・・・」
「さあ、ルルーシュ。行こうか」
「どこへ?」
 どこへ行くと?
「ブリタニアだよ」
 何でもないように言うのだが、
「無理だ」
 今のままでは行けない。
 今行けば、ナナリーにも危害が加わるかもしれないのに。
「大丈夫だよ。私が全て解決してみせる」
「本当に?」
「ああ。だから、ルルーシュは何も気にすることはない」
 私の手の中で守られれば良いのだよ。
 ブリタニアや黒の騎士団、そしてナナリーにすら渡す気はない。
 私の弟。
 誰よりも大事な弟なのだ。
「待ってよ。行かないで!」
 ここでルルーシュが行ってしまったら黒の騎士団は終わってしまう。
 カレンが必死に手を伸ばすが、あと少しでルルーシュに届きそうな時、オデュッセウスにより遮られた。
「君達はルルーシュに望むだけで、この子に何も返そうとはしない」
「違う!」
「違わないよ。この子は、君達のリーダーとして立つ為に色々な物を無くした」
 なのに、君達は何も差し出そうとはしない。
 どれだけの犠牲の上に自分達が立つのか、考えもしない。
 そんな輩達に、大切な弟は預けられないよ。
 オデュッセウスは終始笑顔なのだが、目は笑っていない。
「それでも、それでも必要なの」
 その為に連れ戻したのに!
「おやおや、赤いお嬢さんは本物のようだね。だけど、他の人達は違うようだよ」
「え?」
 オデュッセウスの言葉に周りを見回せば、何故か皆下を向いている。
「済まない」
 藤堂すらも謝るだけだ。
「どうして?」
 どうしてよ。
 たったこれだけの事で、どうしてゼロに尽くさないのよ。
「君以外は、ルルーシュが皇族だという事が許せないようだね」
「そんな・・・」
 だって、そんな事。
 些細な事だ。
 そう思おうとしても、カレンですら次の言葉に詰まってしまう。
 皇族という事は、予想以上に衝撃だったのだろう。
 ナナリーが皇族として戻って来たのに、ルルーシュが皇族だという事に気が付かなかった。
 いや、気が付きたくなかったのかもしれない。
「だから、返して貰うよ」
 私の弟を。
「「「「・・・・・・・」」」」
「後は、君達の好きにすると良い」
 私は君達の味方にならない代わりに、敵にもならないから。
「兄上」
 ジッと傍で聞いていたルルーシュの顔色は悪い。
 それも仕方がないだろう。
 今まで信用してきた黒の騎士団に、ただ自分がブリタニアの皇族だというだけで切り捨てられたのだから。
「大丈夫だよ。私は絶対にルルーシュを裏切らないからね」
「はい」 
 そう言ってオデュッセウスは優しくルルーシュを抱き締めた。
 だが、その顔に浮かんでいるのは狂気の笑み。





☆兄が黒い。
初めは微黒程度のつもりだったのに、終わってみれば純黒になってる(泣)
少し?中途半端ですが、ここで終わらせます。じゃないと、純黒オデュ兄様が暴走しそうで(汗)
というか、なんでこんなに長くなったんだろう?オデュ兄様の呪い?
 

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