忍者ブログ

諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

[297]  [296]  [295]  [294]  [293]  [292]  [291]  [290]  [289]  [288]  [287

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

手紙 6

 カレンの密かな決意から一週間。
 平穏な日々が続いていた。
「カレン」
 自分を呼ぶルルーシュ様の声は綺麗で、ウットリと聞き入ってしまう。
「カレン」
 何度でも聞いていたいが、それでは護衛失格だ。
「はい」
 ヤバイと思いつつ返事をすれば、クスリと笑っている。
 怒っていないのなら良かった。
「ボーっとして、どうかしましたか?」
「えっと、その」
 まさかルルーシュ様の声に聞き入っていましたとは言えない。
「もし気分が悪いなら言ってくださいね。無理に護衛などしなくても良いのですから」
 それは心配から出てきた言葉だろう。
 優しいルルーシュ様らしい。
 だが、
「ダメです。嫌です」
 ルルーシュ様の傍から離れるなど考えられない。
「そう。でも、無理だけはしないでね。貴女まで失ってしまったら私は・・・・あ!ゴメンなさい。何でもないの。気にしないで」
 そうは言うものの、ルルーシュの表情は硬い。
「ルルーシュ様?」
「ゴメンなさい。……あの、」
「何ですか?」
「お願いがあるの」
「何なりと」
 命令する事に慣れている皇族。ルルーシュ様だって皇族なのだから命令すれば良いのに、何時だって『お願い』しかしない。
 そして、ちゃんと断れる逃げ道を用意して下さる。
 そんなの必要ないのに。
 ルルーシュ様の命令なら、どんな事だってしてみせるのに。
 歯痒かった。
「抱き締めて良いですか?」
 泣きそうな顔。
 そんな顔をして欲しくない。
 何時だって微笑んでいて欲しいのに。
「それで、ルルーシュ様が笑顔になるのならば」
「え?」
「私はルルーシュ様の笑顔が好きです。微笑んで下さるだけで幸せなんです」
「あ!」
 カレンの言葉に、目を見開いて驚いている。
 それ程、変な事を言っただろうか?
「えっと。ダ、ダメですか?」
 何か失敗した?
「ゴメンなさい。違うの。前に同じ事を言った人がいたの」
「そうなんですか」
 ちょっとジェラシー。
 悔しい。もっと早くルルーシュ様にお会いしたかった。
 そして、一番初めに言いたかった。
「ええ。ありがとう。カレンに元気を分けて貰った気分よ」
 そう言いながら微笑む姿に、見惚れてしまう。
 何度見ても綺麗な微笑み。
 何度も見たい。いえ、一生見続けたい!
「あの。私も、その……」
 今なら言えそうだった。
 いや、今しかない。
 ルルーシュ様の騎士にして欲しい。
 簡単なのに、簡単な言葉なのに。
 重すぎて、中々口から出てこない。
「カレン?」
「私、私を!ルルーシュ様の」
 あと少しなのに。
「どうしたの?」
 首を傾げて聞いてくるルルーシュ様は綺麗だ。
 ヤバイ。
 大切な言葉を言わなくてはいけないのに、つい見惚れてしまいそうだ。
「えっと、その」
「????」
 えーい。女は度胸だ!
「私をルルーシュ様の騎……」
「カーレン。置いていくなんて酷いよ」
 あと少しという所をぶち壊したのは、KYスザク。
「スーザークー」
 人間、真剣に怒ると髪が自然に立つことを知った。
「ゲ!」
「あら」
 スザクの驚いた顔は見ものだったが、ルルーシュ様の驚いた顔には、穴があったら入りたいくらい惨めだ。
「覚えておきなさい」
 これも全部スザクのせいだ。
 本来なら、この場で成敗したいのだが、ルルーシュ様の目を汚すわけにはいかない。
「えっと、できれば直ぐに忘れて欲しいかもなんて。エヘ」
「無理よ」
 邪魔された恨み+ルルーシュ様を驚かせてしまった罪は重い。
 タイミングを逃してしまった。
 今日は諦めるけど、次こそは。
 カレンの希望は胸に秘めたままとなった。

 
 

PR

風邪引き天使【前編】 HOME 愛と忠誠を捧げたい【後編】

カウンター

プロフィール

HN:
伊月 優
性別:
女性

活力になります

管理用

アクセス解析


ジオターゲティング

検索避け

忍者ブログ [PR]
Template by repe