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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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愛と忠誠を捧げたい【後編】

 そして、フーフェミアの学園訪問の当日がやってきた。
 初めは皇族であることを隠して行きたがったユーフェミアだが、安全面の事を考慮して初めから皇族としての訪問となった。
「初めまして、ユーフェミア・リ・ブリタニアですわ」
 皇族としての完璧な立ち振る舞い。
「ようこそ、我がアッシュフォード学院へ。私は会長の、ミレイ・アッシュフォードです。今日は記憶に残る一日となると思いますわ」
 ニッコリと笑っているのだが、よく見るとミレイの表情は硬い。
 理由が分かるだけに、スザクとしても早くユーフェミアにはこの学園から帰ってもらいたかった。
「お心遣い、感謝しますわ。とても楽しみでしたのよ」
 スザクが嬉しそうに学園に通うのを見るたびに、どうしても行きたくなってしまったのだ。
「それでは、ご案内は私がさせてもらいます」
「ええ、お願いしますわ」
 ミレイが案内しようと生徒会室のドアを開けようとした時、それよりも早くドアが開いた。
「どうして!」
「なんで!」
 ミレイとスザクの悲鳴のような声が上がった。
 絶対に今日は居てはならない人物がいるのだ。
「ユフィに挨拶しようと思ってね」
 本来ならば皇族を愛称で呼ぶことは許されていない
 なのに、ルルーシュは当たり前のように『ユフィ』と呼ぶ。
「ルルちゃん!」
「ルルーシュ!」
 何とかショックから立ち直ったミレイとスザクがルルーシュを隠そうとするのだが、それよりも先にユーフェミアが動いた。
「まあ。もしかしてルルーシュですの?生きていらしたのね」
 嬉しそうにルルーシュに飛びつこうとしたユーフェミアを止めたのは、意外な人物だった。
「ロイドさん」
 普段はヨレヨレの白衣を着ているロイドが、立派な騎士服に身を包みユーフェミアの前に立ちはだかっている。
「これ以上、我が君に近付くことはユーフェミア様といえども阻止させて頂きます」
 真剣な表情。
 ロイドに、こんな表情が出来るなんて思っても見なかった。
「どうしてですの?」
 何で邪魔するのかと、ロイドの方を見つめても、ただ冷たい視線が帰ってくるだけだった。
「我が主は、貴女様とお話しすることは何もありません」
 冷たく言い放った。
「まあ、失礼な人ですわ。ルルーシュが私と話したがらない訳がありませんわ」
 プンプンと怒っている少女は、現状を正確に理解していない。
「ユフィ」
 それまで静かに見守っていたルルーシュが初めて口を開いた。
「ルルーシュ。ルルーシュだって、私と話したいですわよね」
 断られるとは思っても居ないのだろう。ユーフェミアの声は弾んでいる。
「君が現れさえしなければ、この箱庭に居られたんだがな。もうココもダメだろう。君が現れてしまった以上、ここは安全ではない。だから別の場世に行くことにしたよ」
「「そんな!」」
「ルル?」
「ルルーシュ」
「どういうことですの?」
 生徒会室に居たメンバーや何のことだか分からない。
「だか、こいつは返してもらう。俺の騎士だからな」
「はい。呼ばれるのをお待ちしていました」
 ユーフェミアの事が決まった夜、ナナリーには全て話した。
 そして、罪を犯させたのは自分のせいだと泣く妹を宥めて、これからは黒の騎士団に身を置くことを納得してくれた。
 そして、黒の騎士団に身を寄せる事に対するナナリーが出した条件が、ロイドを呼び戻すことだった。
 幼いルルーシュの騎士になりたいと毎日のようにアリエスの離宮に通っていた青年の事を覚えていたのだ。
 そして、その人物が兄の傍に居れば、少なくとも兄の身は安全だと思えたからの提案だった。
「騎士って、どうしてルルに?」
 それはもっともなシャーリーの疑問。
 一般市民でしかないルルーシュに、どうして騎士が存在するのだろう?
「それは、この方が、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア殿下だからです」
 誇らしそうに言い切るロイドは、どこから見てもルルーシュの騎士だった。
「え?ルルが皇族?」
「ここで言うって事は、二度と戻ってきては下さらないんでしょうね」
 この箱庭には、二度と戻らないのだろう。
「すまない、ミレイ。そして、今までありがとう」
「いいえ、最後まで力になれず申し訳ありませんでした」
 自分に力がなかったら守れなかった王子様。
 私の初恋の人。
「今までのこと、感謝する。行くぞ、我が騎士ロイド」
「はい。ルルーシュ様」
 ルルーシュが去って行く時、ミレイはロイドにだけ聞こえるように囁いた。
「               」
 その言葉にロイドは頷く事で肯定すると、誰よりも大切な主の下へと駆け寄って行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
おまけ
 
 
「ようやく、お傍に仕える事ができました」
 最後に別れてから七年の月日が経った。
「今更かもしれないが、本当に後悔はしないな」
 今から歩む道は修羅の道だ。
「まっさか。後悔は、七年前にしましたよ。だから、二度と後悔をしないためにルルーシュ様に付いて行くんです」
 ニッコリとロイドは嬉しそうに言い切った。
「そうか、そう言えばミレイは何と言ってたんだ?」
 別れ際にロイドに何か呟いていたように見えた。
「知りたいですか?」
 ニヤリと笑う顔は、どこか悪戯めいている。
「そうだな。申し訳なかったと思うし、知りたいかもしれない」
「大丈夫ですよ。ルルーシュ様が心配するような事は何もありませんよ。……ただ、」
「ただ?」
「愛されているなって」
「はぁ?」
 何だ、それは?
「内緒です。でも、僕だってルルーシュ様の事を愛していますからね」
 この気持ちは誰にも負けない。
 あの少女にもだ。
 別れ際のさい、かの少女は『ルルーシュ様をお願いします』そう呟いた。
「だから、何なんだ?」
「絶対にルルーシュ様の事は、僕が守りますから」
 七年間、僕の代わりに守ってきただろう少女から受け取った想い。
 その分もプラスして、この主を守り抜こう。
 ロイドは優しい笑みを浮かべた。
「良く分からないが、これからは頼むぞ。我が騎士ロイド」
「イエス、ユア ハイネス」
 二人分の愛と忠誠をルルーシュ様に捧げよう。 



☆ロイルルかミレルルとの事だったので、ロイルルの中に微妙にミレルルを入れてみました。
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