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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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愛と忠誠を捧げたい【中編】

「ねえ、スザク君」
「何ですか?」
 目の前の少年すら憎くて仕方がない。
 間接的とはいえ、この少年も加害者の一族になるのだから。
 僕からルルーシュ様を奪った、日本人の一族。
 彼らが、幼い兄妹にした仕打ちを知っている。
 悪友と称した男は、全てを知りながら放置していたのだ。
 タイミングを見計らい、日本を攻略するための駒として。
「大切な人の平和の為には、立ち上がった方が良いのかな?」
 この正義感に溢れた少年の答えなど分かっている。
 それでも聞いたのは、この少年に絶望を与えたかったのかもしれない。
「勿論です。大切な人は、どんな事をしても守らないと」
 そう言っているスザクの脳裏に浮かんでいるであろう人物は、多分自分と同じ人。
 だがこの少年の存在は、あの人の為にならない。
 ブリタニアから隠れている主にとって、ブリタニアの軍人であり、なおかつユーフェミア皇女の騎士である存在が傍に居ることは脅威だろう。
 そのことに、スザクは気が付いていない。
「そっか。おろかな人間を排除しても構わないよね」
 さあ、その答えを忘れてはいけないよ。
 反逆の時は近い。
 ルルーシュ様から連絡が来なくても、こちらから押しかけてしまおう。
 二度と後悔しないために。
「え?ロイドさん?」
「何でもないよ~。ただね、近いうちに世界が変わるよ」
 僕と君の世界がね。
「え?何の事ですか?」
「内緒だよ~」
 時が来るまでは内緒。
 そのときが着たら、ランスロットと共に主の下に走ろう。
 ニッコリと笑ったロイドの顔が、何時までもスザクの脳裏から離れなかった。
 
 
 
 それから数日後。
「え?もう一度言ってもらえませんか?」
 この姫君の言動は、何時だって唐突だった。
「だから、スザクの学校を見に行きたいんです」
 ね、良いでしょ?
 ニコニコと笑っている顔には悪意はない。
 ないのは分かっているが、来られても困ってしまう。
 学園には、ルルーシュやナナリーが生活しているのだ。
 万が一バレてしまえば、二度と会えなくなってしまうかもしれない。
「ですが、ユーフェミア様」
「ダメよ、スザク。ユフィです」
 プーっと、頬を膨らませて怒る姿は年相応の少女にしか見えない。
 だが、この人も立派な皇族なのだ。
「分かったよ、ユフィ。でも、やっぱり学園は危険だから反対だよ」
 ルルーシュ達の事もあるが、警備の面からも心配だ。
「あら、大丈夫よ。スザクが付いてきてくれるでしょ」
 だから大丈夫なの。
 そう無邪気に言い募るユーフェミアに、スザクは飽きれるしかない。
「分かったよ。でも、僕の傍から絶対に離れないでね」
「勿論ですわ」
 ニコニコと嬉しそうなフーフェミアを見て仕方がないと諦めるしかない。
 当日は、申し訳ないがルルーシュとナナリーには隠れていてもらおう。
 一日だけならば何とかなるだろうと、スザクは勝手に考えていた。
 
 
 ユーフェミアの訪問のことをルルーシュに伝えたとき、ルルーシュはとても悲しそうにしていた。
 その訳を聞きたくても、軍務で忙しいスザクには時間がない。
「えっと、ルルーシュ。その、一日だけの辛抱だから。その日だけで良いから隠れていてね」
「・・・・・・・・・」
「なるべく早くユフィには学園から去ってもらうから。ゴメンね」
 それだけ伝えると、スザクは急いで帰ってしまった。
「お兄様」
 背後で話を聞いていたナナリーの表情もさえない。
「ああ、分かっている」
「本当に一日だけなのでしょうか?」
 今回のユーフェミアの訪問は一日だけだ。
 だが、次回もないとは言い切れない。
「どうだろうな。アッシュフォードが俺たちを匿うにしても限界がある。ここら辺が潮時なのかもしれない」
「お兄様?」
「ナナリー。今から言うことを真剣に聞いて欲しい。もし、受け入れられないというのであれば、招待をばらしてユフィに保護してもらおう。ユフィはナナリーの事を気に入っていたからね」
「お兄様は?」
 まるで、自分一人だけ保護してもらうような言い方に、ナナリーは不安を覚えた。
「俺はダメだよ。俺は多くの罪を犯してしまった。今更表に出るわけにはいかない」
 実の兄を手に掛けたのだ、今更戻ることなど出来ない。
「お兄様と一緒で泣ければナナリーは何処にも行きません」
「ありがとう。だけど、今から言う話を聞いた後で、もう一度答えを聴きたい」
「・・・・・・はい」
 どんな話を聞いたところで、自分の意見が変わるわけがない。
 だって、自分にとって世界は兄なのだから。




☆という訳で中編終了。
ちゃんと後編で終わります。多分・・・・・
 
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