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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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イエス、ユア ハイネス

 日本とブリタニアの親交を深めるために大使として日本に遣って来たのは同い年の皇女さまだった。
 周りは大人しか居ないのに、その少女は臆することなく堂々と大人達と渡り合っている。
 親睦パーティーの中、スザクの視線はブリタニアの皇女に釘付けだった。


 自分は日本の首相の息子。
 相手はブリタニアの皇女。
 本来ならば同等の立場にあるはずなのに。

 
 上に立つ人間だけが持つことの許されるオーラ。

 
 あぁ、彼女に・・・ルルーシュに仕えたい。

 
 スザクがそう思ったのは、10歳の時だった。

 
 その後、1年間の大使期間中にスザクとルルーシュは親しくなった。
 家族とはなれて暮らすルルーシュを気遣って、スザクはルルーシュの友人として宛がわれたのだ。
 もともと同じ年ということで、急速に二人は仲良くなった。
 
 
 ルルーシュにとっては、初めて他国で出来た友達。
 スザクにとっては、何よりも大切な存在。

 
 お互いにお互いが特別な関係だった。

 
 だが、ルルーシュの大使期間が終われば、二人の間に接点はない。
 知らず知らずの内に疎遠になってしまった。


 それでも諦めきれない想い。



「で、家出までしたのよね」
 面白そうに目を細めている彼女は、7年前よりも綺麗に、
 そして、艶やかになって自分の前にいる。
 7年前は肩口までしかなかった見事な黒髪は、今では腰の辺りまで伸びている。
 全く癖の無いストレートの黒髪は、触ればサラサラとしている事をスザクは知っている。
「そうです。ルルーシュ様に仕えたくて家出したんです」
 自分がブリタニアに家出したことは、直ぐに両国の一大事となった。
 一国の首相の息子が他国へ家出してきたのだ。
 お家騒動だの、ブリタニアの日本侵略の布石だの、色々言われた。
 だが実際はスザクの我が侭だ。

 

 
 ルルーシュに仕えたい。
 その気持ちは、ルルーシュが1年の大使期間を終えて本国であるブリタニアに帰ったあとも消えなかった。
 それでも、子供過ぎる自分にルルーシュに仕える手立てが無いことは分かっていた。
 だから、体を鍛えつつ3年もの月日を我慢してきた。
 14歳になれば、一つだけ可能性があるのだ。
 ブルタニアの皇族に仕える騎士。
 たぶん、スザクの望みは騎士なれれば適うのだ。
 その騎士の養成学校がブルタニアにはあり、その入学条件の一つが14歳以上だった。


 だから、スザクは14歳の誕生日と共にブリタニアに家出してきてしまったのだ。
 目指す先は、騎士養成学校。
 家出のせいで外交問題にまで達したスザクの騎士養成学校の入学は、意外なところから助け舟が来た。


 ブリタニアの高官達に囲まれて散々国に帰れと容赦ない言葉が浴びせられる。
 そんな中、
「彼の身元は保証します」
 凛とした声でスザクを救ったのは、自分が仕えたいと思った少女だった。
「ルルーシュ!」
 最後に逢ったときから3年が経っている。
「私から枢木ゲンブには話を通します」
 ブリタニアという国にとって、皇族の言葉は絶対なのだ。
 高官達は、すごすごと消えていった。
 

 その言葉通り、それから3日後にはスザクの騎士養成学校への入学は認められた。


 そして、入学当日。
「今日から3年間は会う事ができない」
 徹底した教育を目指すため、一度入学したら手紙の遣り取りさえできないのだ。
「そうだね。でも、3年後には無事に卒業してルルーシュに仕えたい」
 その想いだけでココまで来たのだ。
「ダメ」
 だが、そんなスザクの思いは呆気なくルルーシュに切り捨てられた。
「え?」
 どうして?
「無事に卒業では認められない」
「なら、どうすれば・・・・・」
 弱気なスザクの様子に、ルルーシュは悪戯が成功したような顔で、
「トップで卒業しろ。それ以外は私の騎士とは認めません」
 キッパリと言い切るルルーシュに、スザクは泣きたくなったが、グッとこらえた。
 自信があるもの達が集まる騎士養成学校。
 そこをトップで卒業することは本当に難しい。
 

 だが、それしかルルーシュが認めないというのなら。


「分かった。絶対にトップで卒業してみせる」
 スザクの試練の時が始まった。


 それから3年。
 死に物狂いで猛勉強した(体力面や技術面は難なくクリアだった)結果、知識面でも及第点を取れたスザクは、総合で何とかトップで卒業となった。
 そして、卒業式の後にルルーシュの執務室へと入ることを許された。
「ルルーシュ様においても、お元気そうで何よりです」
 3年間の勉強の賜物か、スザクの礼儀作法は完璧だった。
「勿論、トップで卒業ですよね?」
 面白そうに聞いてくるルルーシュに見とれながらも、
「勿論です」
 その為に、血の吐くような努力をしたのだ。
「では、私の騎士になることを許そう」
 その言葉は、7年前からスザクが待ち望んだ言葉だった。
「イエス、ユアハイネス」


 スザクは希望に満ちた声で言い、ルルーシュは嬉しそうにそれを聞いていた。


 



☆お題の1つ目です。
 お題は全部で20個あります。一部は繋がりますが、バラバラの話としてとってもらった方が良いかも。
 それにしても、にょたが増える(汗)


 

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