諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
[118] [117] [116] [115] [114] [113] [112] [111] [110] [109] [108]
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ゆずれない願い 1
☆本編開始です。
初めの方は、色々な方を出すだけで終わりそうです。
ただ一つだけ言えるのは、皆がルルーシュの事が大好きだということです。
「ルルーシュ様、起きて下さい」
ルルーシュの朝は、メイドの咲世子の声で起こされる。
もっとも、寝起きが悪いので一度で起きた為しがないが。
「ルルーシュ様」
何度目かの呼びかけで、ようやくルルーシュの目が開いた。
「お早うございます。ルルーシュ様」
寝起きのルルーシュは艶かしい。
毎朝の事ながら咲世子はルルーシュに見惚れてしまう。
この7年間、毎日ルルーシュを起こすのは咲世子の役目だった。
初めて会ったときは、まだ小さな子供だった。
その小さな子供が背伸びをして抱きしめてくれた。
あの時から咲世子はルルーシュを守ると誓った。
「うぅぅ。咲世子さん?」
「はい」
ウットリと眺めながらも、起こすことに手抜きはない。
子供のときは可愛らしいとしか思えなかったルルーシュだが、今では綺麗という言葉が似合う。
そんなルルーシュを起こす至福の一時。
「もう・・・・」
「朝です。起きて下さい、ルルーシュ様」
もう一度言えば、ようやくルルーシュの目が完全に開いた。
「お早う、咲世子さん」
「はい。おはようございます」
起きるまでに時間が掛かるルルーシュだが、起きてしまえば寝起きは良い方だ。
「ナオト兄さんとロロは?」
毎朝の日課は、兄と弟の動向を聞くことから始まる。
「ナオト様はユリウス様の所でバイトの為に、もう出かけました。ロロ様はルルーシュ様が来るのをお待ちです」
「へー、ナオト兄さんが父さんの所でバイトなんて珍しい」
父の仕事はどちらか問えば、頭を使うことが多い。
基本が肉体労働専門の兄には不向きなのだ。
「今日は力仕事がメインらしいですわ」
「ああ、それなら納得」
力仕事ならば兄の十八番だ。
父も遠慮なく扱き使うだろう。
「納得していただいたところで着替えてください。ロロ様がお待ちです」
「そうだった。咲世子さんは、僕が起きたことをロロに伝えて下さい」
「畏まりました」
軽く会釈して部屋から出て行く咲世子。
ルルーシュから見れば、咲世子の仕事ぶりは完璧だ。
「もう7年か」
ブリタニアの日本侵略。
そしてエリア11となって、7年の月日が流れた。
「早いな」
7年という月日はルルーシュにとって忘れられないもだった。
ブリタニアの日本侵略の1ヶ月前に最愛の半身と母親、そして妹を失ったのだ。
決して忘れることなどできない。
「さてと、早く行かないとロロが心配するな」
自分が関わるときだけ、ロロは過剰に反応する。
「可愛いんだがな」
常に纏わり着いてくる弟は、可愛くて仕方がない。
血が繋がっていない事など、些細なことでしかないのかもしれない。
「お早うロロ」
ルルーシュがリビングに着くと、そこには朝食を目の前にしてロロが嬉しそうに待っていた。
「兄さん」
嬉しそうなロロの笑顔。
毎朝、自分がリビングへ現れるとロロは万遍の笑みを浮かべて迎えてくれる。
「待たせて悪かったな」
「そんなことないよ。僕が勝手に兄さんを待て居るだけだから」
ロロはルルーシュがどんなに遅くなっても、1人で先に食べることをしない。
「先に食べていれば良かったの」
毎回毎回遅れてくるルルーシュは、待たせて申し訳ないと思ってしまう。
だからこその、先ほどの言葉だったのに。
「兄さんは僕と食べるのは嫌?」
こう聞けば優しい兄が拒絶することなどないと知っている。
「そんなことはない!ロロと食べる朝御飯は格別に美味しいよ」
「良かった。僕も兄さんと食べると美味しく感じるんだ。だかた、これからも兄さんが来るまで待つね」
兄さん以外の人と食べても美味しくない。
兄さんだけが特別なんだ。
あの日から、僕の全ては兄さんと共にある。
「ロロ」
ルルーシュが困った顔をしても、ロロの方は全く気にしていなかった。
「早く食べようよ」
それよりも嬉しそうにルルーシュを席へ座らせようとしている。
「ああ、そうだな」
別にロロと食べるのは嫌ではない。
むしろ嬉しい。
もっともココにナオト兄さんが居ればもっと嬉しいのだが。
「ねえ、今日は一緒に帰れる?」
生徒会に属しているルルーシュは、遅くまで学園に残る事が多い。
「今日は用事があって、買い物に行こうかと思っているんだ」
今日中に買わないと間に合わないからな。
「僕も行く!」
兄さんを1人で歩かせるなんて危険すぎる。
「いや、その、今日は1人で買い物をしたいんだ」
「えー。どうしても?」
「ああ、今日は・・・・」
ルルーシュの哀しそうな顔にハッとする。
そういえば、もうそろそろだった。
ルルーシュの一番大切だった人達が亡くなった日。
「分かったよ兄さん。今日は諦める。その代わり、今度は一緒に買い物に行こう」
今日は諦めるけど、今度は。
「そうだな。今度は一緒に行こう」
「うん」
『今度』
この言葉がどんなに嬉しいか兄さんには分からないだろうな。
手を差し伸べてくれたあの日から、僕の特別は兄さんだけ。
他はいらない。
兄さんさえいてくれれば良い。
たとえ身代わりでも構わない。
今兄さんの目に映っているのは僕なのだから。
「ルルーシュ様、ロロ様。あまりゆっくりしていますと、授業に間に合わなくなりますよ」
食べ終わった食器を片付けながらの咲世子の言葉に、ルルーシュとロロは顔を見合わせると慌てて立ち上がった。
「行って来る」
「行って来ます」
慌てていながらも、咲世子に掛ける言葉は忘れない。
「はい。行ってらっしゃいませ」
そんな2人に、咲世子も笑顔で答えるのだった。
☆まずは咲世子さんとロロです。ナオト兄さんとユリウス父は追々出していきます。
色々と伏線がありあすが、それは番外編で書いていきます。
次はアッシュフォード学園の話です。
カウンター
プロフィール
検索避け