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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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あなただけの

☆アニャルル アンケート一位記念第二弾です。今回は騎士皇女。
アーニャがルルの騎士になりたいと思うまで。
アーニャもルルも子供です。






 アーニャの夢は幼い頃から唯一つ。
 行儀見習いで出されたアリエスの離宮で出会った優しい皇女様の騎士になること。
「やっと叶う」
 長年の夢が叶うのだ。


 アリエスに居た頃はモジモジとしてしまって、中々皇女様と話す機会がなかった。
 そんなとき、マリアンヌ皇妃のお使いで他の宮へ行った帰り、あと少しというところで盛大に転んでしまった。
「痛い」
 大きく擦りむいた膝小僧。
 ルルーシュ皇女様宛にと預かった箱もグチャグチャだ。
「どうしよう」
 痛いし、困った。
 知られたら怒られる。
 行儀見習いに出されるときに、父に言われた言葉。
『皇族の方だけは怒らせてはダメだ』
 皇族の権限は大きい。
 理不尽なこともまかり通ってしまう。
「嫌だ!」
 嫌だ嫌だ。
 痛くて苦しくて。
 アーニャは大泣きしてしまった。
「どうしたの?」
 それはとても優しい声。
「ッヒク。うぅぅ」
 泣いたまま見上げれば、そこには心配そうに見詰める皇女様。
「大丈夫?」
 ルルーシュは泣いている子供の膝の怪我を見ると、持っていたハンカチで流れている血を拭き取っていく。
「ダメー」
 そんなことしたら綺麗なハンカチが汚れてしまう。
「何が?」
 それでもニッコリと微笑むルルーシュに、アーニャはジーンとしてしまった。
「ハンカチが汚れる」
 だから拭かなくても良い。
 そう言いたかったのだが、
「ハンカチは拭くために存在するの。飾りではないわ」
 うふふと優しそうな笑みを浮かべながら、ルルーシュは流れていた血を綺麗に拭き取ってしまった。
 血が出た量の割りに怪我自体はたいしたことは無かったようだ。
 ルルーシュが拭き終る頃には新たな血が流れることはなかった。
「ルルーシュ殿下」
 家から出されるときに、皇子様や皇女様に対して殿下呼びすることは徹底的に叩き込まれている。
「なあに?」
「ありがとうございます」
 今までまともに話したことが無かったルルーシュ様。
 綺麗で優しそうで(実際に優しい)憧れていたルルーシュ様。
「どういたしまして」
 自分に向ける表情が優しい。
 数歳しか違わないのに、この皇女様は大人で私は子供だ。
 失敗したから泣いているだけの子供。
 恥ずかしい。
「あ、あの。コレ。ゴメンなさい」
 それに、ルルーシュ様宛の箱をグチャグチャにしてしまった。
 少し離れたところに落ちていた箱を手に持って、ルルーシュ様に差し出した。
 流石にこれは怒られる覚悟の上で。
「ああ、コレを取りに行ってくれたの?」
「はい。マリアンヌ皇妃様のお使いのついででしたので。でも・・・・・」
 満足にお使いすらできなかった。
「ありがとう」
「え?」
 どうして?
 箱はグチャグチャで、中だってもうダメに決まっている。
 なのにお礼の言葉?
「転びさえしなければ、アーニャはちゃんと届けてくれたでしょ?」
「勿論です・・・あれ、名前?」
 名前を呼ばれた?
 私の名前。
「アリエスで働いてくれる方の名前は全員覚えているの。だからアーニャの名前も知っているの」
 グチャグチャになった箱を大事そうに受け取ると、当たり前のようにルルーシュが言った。
 アリエスは他の宮殿に比べれば小さいほうだが、それでも働いている者の数は数十人はくだらない。
 その全ての名前を覚える。
 ルルーシュ様がそれだけ優秀だということだ。
「あの、その、えっと」
 この人に仕えたい。
 幼心に強く思ってしまった。
「どうしたのアーニャ?」
「私、私。ルルーシュ殿下の・・・」
 そっと、こういう場合は何て言うんだっけ?
 もっと真面目に勉強しておけば良かった。
 何も出てこない。
「何?」
「守りたい。そう、ルルーシュ殿下を守りたいです」
 何か違うような気がするけど、守りたいのも本当だから良いか。
「まぁ、騎士みたい」
 クスクスと笑うルルーシュの言葉に、アーニャの世界が変わった。
「騎士!」
「え?」
「騎士になりたい」
 分かった、自分のなりたかったことが。
 ルルーシュ様の騎士になりたいんだ!
「誰の?」
 キョトンと首を傾げる姿も可愛らしいが、
「ルルーシュ殿下のです」
 ルルーシュ殿下の騎士になりたい。
 いや、絶対になる!
「私の?」
「そうです!」
「あら、可愛らしい騎士様」
 本気にしていないのがわかるが、アーニャは仕方ないと思った。
 今の自分は非力なのだ。
 幼いルルーシュ様よりも子供で、無知で非力。
 でも、
「私は、あなただけの騎士になります」
 力強いアーニャの言葉。
 それが本気だということをルルーシュも理解してしまった。
「そうね。期待して待っています」
 アーニャが大人になるまで待つと言ってくれた。
 ならば、
「はい。絶対に騎士になってみせます」
 ルルーシュ様の。
 それで、私が、私だけがルルーシュ様を守るんだ。





☆最近、というか一ヶ月以上放置していた騎士皇女カテゴリー。
スザクだけでは終わらないので、色々な方を騎士にして更新していきます。 

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