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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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守りたい

☆咲世子ルルです。咲世子さんとルルーシュが子供のときに会っていたらという捏造ネタです。





 その日の咲世子は落ち込んでいた。
 修行が上手くいかなかった上に顔に傷まで負ってしまったからだ。
 頬にできた傷は、引っかき傷程度なので数日で消える。
 そんな事よりも、女の子である自分の顔に傷があるという事実が切ないのだ。
「もうやだ」
 普通の女の子に戻りたいのに。
 同じ中学校の友達の中でも自分は浮いていた。
 篠崎流の後継者として育てられている自分は、常に修行の毎日だった。
 生傷も絶えなくて、クラスの中で浮いている存在だ。


 ずっと道端で座り込んでいると、心配したのか小さな子供が寄ってきた。
「お姉さん大丈夫?」
 喋っている言葉は日本語だが、肌の白さや紫色の瞳が日本人ではないと物語っている。
 黒い髪と紫の瞳が印象的な綺麗な子供。
 咲世子が今まで見てきた中で、これほど綺麗な子供はいなかった。
「・・・・・・・」
「お姉さん?」
 日本人ではないが、とても綺麗な子供。
「・・・・・・・」
 ジッと子供を見つめていると、
「あ!」
 子供が驚いた声を出し、ポケットの中からハンカチを取り出した。
 そして、咲世子のほうに差し伸べられた。
「?????」
「良かったら使って」
「え?」
「顔に怪我してる」
 子供の顔が悲しそうだ。
「こんなの怪我のうちに入らない」
 怪我の絶えない生活なのだ。
 顔に負ったということは哀しいけど。
 いつまでも座り込んでいられないと、立ち上がりながら子供の方を観察すれば、
「君の方が傷だらけじゃない!」
 子供の方が傷だらけだった。
 喧嘩だろうか?
 もしそうだとしても傷が多い。
「慣れてるから大丈夫」
「慣れてるって・・・」
 傷や痛みに慣れるには長い時間が掛かる。
 現に毎日修行している佐世子ですら、まだ痛みには慣れないというのに。
 なのに、目の前の子供は慣れていると言う。
「毎日だから、もう気にしない」
 哀しそうに言う子供の姿に、咲世子の胸は締め付けられるような感覚を覚えた。
「私が守ってあげる」
 この子を守るのは自分しかいない。
 咲世子の頭の中に、そんな考えが浮かんだ。
「お姉さんが?」
 コテンと不思議そうに首を傾げる姿は強烈に可愛い。
「私ね今はそんなに強くないの。でも、将来的には優秀なSPになるの」
 篠崎流派は優秀なSPを出すことで有名だ。
 咲世子の回りも、皆優秀なSPとして活躍している。
 自分も将来的にはそうなるはず。
「僕よりも妹を守って欲しい」
 自分は痛みに慣れているけど、妹は慣れていないと言う少年の言葉に守らなくてはという気持ちが強くなった。。
「私は妹さんよりも君を守りたい」
 会った事のない子供よりも、目の前の子供を守りたい。
「でも・・・・・」
「だったら、一番は君だけど、君と一緒だったら妹さんも守る。それじゃダメ?」
 これが精一杯の譲歩なんだけどな。
「うん。ありがとうお姉さん」
 嬉しそうに笑う子供の姿に咲世子も嬉しくなった。
「うふふふ。どういたしまして。それよりも名前を教えて?」
 守る相手の名前くらい知らないと。
「ルルーシュ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
「そうルルーシュ君ね。覚えたわ」
 ブリタニアの姓を名乗るのならば、この子供はブリタニアの皇族だ。
 自分の目が確かだったことに自信を持った。
 そして、ちゃんと大義名分を得た瞬間でもある。
「私は篠崎咲世子よ」
「咲世子さん?」
「そうよ。忘れないでね私の名前。絶対に強くなって守りに行くから」
 目的を得たのだから、これからはもっと修行しよう。
 ルルーシュ様を守るために。 


 この約束を守るために咲世子は血の滲むような修行にも耐えた。
 そしてルルーシュがアッシュフォード家に匿われているのを知ると、自分の能力と優秀さを売り込みメイドとして傍に仕えることにまで成功した。
「ルルーシュ様を守るために参りました」
 ニッコリと笑いながら言えば、目の前にルルーシュの驚いた顔。
 この時のルルーシュの驚いた顔は、咲世子の一生の思い出。
「一生お仕えします」
 キッパリと言い切れば、
「ありがとう」
 嬉しそうなルルーシュの笑顔は、自分の努力が報われた瞬間でもある。

 

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