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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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小鳥達のペット【後編】

「何って、頭の悪い犬を矯正していたんだよ」
 今まさに踏みつけようとしている体制で見られてしまっているのだから、言い訳などいらないだろう。
 開き直ったスザクが言えば、
「ロロは頭の良い犬だがな」
 冷ややかなゼロの視線。
「そうだよ。ロロは頭が良くて優しい子なんだ。それなのに、どうしてこんな事をするんだ」
「キュイーン」
 力なく弱った顔で主人達を見つめるロロは、どこからどう見てもか弱い犬だった。
「はっ!どこがだよ。人に噛み付くような犬だよ」
 こんな犬が優しい?
 ルルーシュの言葉だが、信じられない。
「ロロが人に噛み付いた事など一度もないが」
 ゼロの視線は、これ以上ない程に冷たい。
 ルルーシュが可愛がっているロロを傷付けられたのだから仕方がないだろう。
「そうだよ。ロロが一体誰に噛み付いたというんだ」
 この子が、そんな事をするとは思えない。
 理不尽なスザクの言葉だけがルルーシュの中で木霊する。
「僕にだよ。この犬は、僕に噛み付いたんだ」
 その言葉に、ゼロは密かに納得してしまったというか、内心でよくやったと褒めたい位なのだが、ルルーシュの手前顔に出すわけにはいかない。
「どこを噛まれたんだ」
 悲壮なルルーシュの言葉に、スザクはどうしたら良いのか分からない。
「えっと、その。どこって」
 お尻ですとは言えない。
 ルルーシュに知られるのが恥ずかしい。
「ロロが噛んだという証拠を見せろ。今すぐにだ!」
 言いよどんだスザクに、ルルーシュに見せるのが恥ずかしいからだと悟ったゼロは、あえて見せろと要求した。
 上手く誘導すれば、ロロの件はなかったことにできるかもしれない。
「え?見せるって!」
 見せるって、お尻を?
 ルルーシュに見せるの?
 ハッキリ言って、物凄く嫌だ。というか恥ずかしいから嫌だ。
「そうだ、ロロが噛み付いたという跡を見せろ。この場でだ!」
 畳み掛けるようなゼロの言葉に、スザクが戸惑っていると。
「見せられないって事は、ロロは噛み付いていないのか?」
 涙目でルルーシュに見つめられて、スザクはウッとしてしまった。
 昔からルルーシュの涙には弱いのだ。
「いや、それは・・・・・・その・・・・・・噛み付いたんだけど」
 場所がお尻なんです。
 ルルーシュに見せたくないんです。
 スザクは弱り果ててしまう。
 見せなくては信じて貰えない事は分かるが、ハッキリ言って見せたくない。
「ああ、可愛そうにロロ。噛み付いてもいないのに人の言葉が喋れないからと無実の罪を着せられたんだな」
 大げさなゼロの言葉に。
「キュイーン」
 ロロの方も、待ってましたとばかりに哀しそうに鳴いた。
「ちょっと、待ってよ。本当に噛み付かれただから」
 焦って説明しようとするものの。
「ああ、お前は私の事が嫌いだったな。だからといってロロに八つ当たりをするのは間違っているぞ」
 ワザとらしいゼロの言葉に。
「キュイーン」
 ロロの哀しげな泣き声が拍車を掛ける。
「そうなのかスザク?」
 ワザとらしい1人と一匹の演技だが、ルルーシュは完全に信じてしまった。
「ち、違うからね。そんなことないから。確かにゼロの事は好きではないけど、だからって八つ当たりなんてするわけない」
 というか、ゼロの犬というよりもルルーシュの犬という意識が強いのに、八つ当たりなんかする訳けない。
「ゼロの事が好きじゃあないって、そんな……」
 ガーンとショックを受けているルルーシュに、スザクは今更ながら失敗したと思う。
 ゼロに対する憎悪は未だに根深い。
 だが、何も知らないルルーシュの事は愛しい。だからこそ、もう一度最初からやり直せると思っていた。
 なのに、今の一言でルルーシュに不信感を与えてしまっただろう。
「えっと、ルルーシュ。その、あの」
「愚かな。さあ、ルルーシュ。こんな男に時間を取られているよりも、ロロを早く医者に見せよう」
「キューン」
 ゼロの言葉に、ロロまでも賛成するかのように弱々しく鳴いたので、ルルーシュの意識は一瞬でスザクから離れた。
「そうだ、ロロだ。大丈夫なのか?」
 滅多に鳴かないロロの、弱々しい鳴き声。
「ああ、医者に見せれば大丈夫だろう」
「そっか。ロロ」
 よく見ればプルプルと震えている。
 よほど怖かったのだろう。
「ルルーシュが抱いて行くと良い」
 素早くスザクの元からロロを救出すると、ゼロは当たり前のようにルルーシュに手渡した。
「うん。そうする」
 受け取ったロロは、見た目以上にプルプルと震えており、縋るような目でルルーシュを見詰めている。
「キューン」
「大丈夫だよ。俺が守ってあげるからね」
「クゥーン」
 ルルーシュの言葉に、ロロは嬉しそうに鳴いた。
「ロロ!」
「クゥーン」
 それは美しい主従に光景。
「さあ、早く医者に見せないと」
「そうだな」
 完全にスザクは蚊帳の外だ。
 スタスタと離れて行く二人と一匹。
 離れて行く姿を悔しそうに見詰めている時、それは起こった。
 ルルーシュに気が付かれないようにニヤリと笑う一人と一匹。
「な!?」
 すかさずルルーシュに手を伸ばすものの届く事はなかった。
 
 
こうして、ロロVSスザクの戦いの日々が始まったのである。





☆こうして、お尻ガブは日常となります。
でも、ロロは頭の良い犬なので、絶対にルルーシュの前では噛み付かないのだ。

★追記・ゼロの記憶は戻っていません。ただ、自分を嫌っているらしいスザクの事が気に入らないし、ルル狙いなのが分かってからは、真剣に嫌っております。
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