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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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ゆずれない願い 4

 生徒会の仕事を終えたルルーシュは、久しぶりに1人で町へ出掛けた。
 一人歩きは危険だからと、常に誰かがルルーシュと共に行動することが多い。
 それは、穏便な形でエリア11と名前を変えた日本だが、名前が奪われたことには違いなく、小規模ながらもテロが起こっているからだ。
 もっとも、元日本人達の多くはブリタニアに対して好意的なのでテロに対する批判は大きい。
「それでも」
 同じ日本人達に批判されてもテロを続ける人たちには、日本人としてのプライドが高いのだろう。
 そんな日本人達がルルーシュには羨ましかった。
 同じような思いを抱いているのに、ルルーシュは何もすることができない。
 ただ、流れ行く歴史を眺めているだけだった。
「母上、ルル、ナナリー」
 何よりも大切で、守れなかった人達。
 そんな彼等のための買い物だったが、良い物が中々見つからない。
 毎年のように買うプレゼントは、同じような物ばかりになってしまう。
 それは、最後に逢ったときにルルやナナリーが欲しがっていた物ばかりなのだ。
 止まってしまった時間が、他の物を買う選択肢を奪ってしまったのだ。
 自嘲気味に町中を歩いていると、目に付いたのは一軒の花屋。
 色取り取りの花々が咲き誇っている。
 中でも目に付いたのがヒマワリの花だった。
 大きくて鮮やかなヒマワリの花。
 頭の中に浮かんだのは、一面のヒマワリ畑。
「何処で見た?」
 浮かびはしたが、記憶には無い。
 鮮やかな黄色が眩しいヒマワリ畑。
 懐かしいのに、自分の記憶には無い。
「どうして」
 どうして記憶が無い・・・・
「何が?」
 ルルーシュが物思いに耽っていると、背後からの声。
 ビクンと驚きながら振り返ると、そこに居たのは
「スザク?」
 そこには私服姿のスザクが立っていた。
「ゴメン。驚かしちゃったみたいだね」
「いや、ちょっと考え事をしていただけだ。それよりも、軍の方は大丈夫なのか?
「大丈夫だよ。中途半端な時間に終わったから、久しぶりに町でもぶらつこうかと思ったら、ルルーシュが1人でいるからビックリしちゃった」
「ああ、ちょっと買い物に来たんだ」
「そっか、もしかして迷惑だった?真剣に見ていたようだし」
「いや。そんなことは無いが、」
 真剣に見ていたか。
 真剣に見るほどに大切な記憶だったのか?
 思いだけない記憶なのに。
「何を見ていたの?」
 スザクはルルーシュの隣に立つと、先ほど見たルルーシュの視線の先を追ってみた。
 そこには、
「花屋?」
 何処にでもあるような花屋。
 そんな花屋の何がルルーシュの気を惹いたのだろうと、ジックリと見ていると目に付いたのはヒマワリの花。
 スザクにとっては特別な思い出のある花だった。
 スザクの人生を大きく変えた花。
「ねぇ、ルルーシュ」
「なんだ?」
 スザクの視線は、花屋から動かない。
「僕ね、ヒマワリの花が大好きなんだ」
「え?」
 ヒマワリ?
 それは、自分が気になっていた花。
 これは偶然なのか?
「大切な思い出の花なんだ」
「そ、そうか」
「うん。大事な約束をしたんだ」
 懐かしい思い出。
 スザクにとっては、何よりも大切で大事な思い出だった。
「約束は大切だな」
 頷きながらスザクの方を見れば、
「本当に、そう思う?」
 泣きそうな顔でルルーシュの事を見ていた。
「あ、当たり前だろう・・・」
 語尾が小さくなってしまうのは、こんなスザクの顔を見たことが無いからだ。
「そっか。えへへへ。ルルーシュに言って貰えて嬉しいや」
 それでも浮かべるのは泣き笑いのような顔。
 スザクにそんな表情をさせているのが自分だと思うと情けない。
「スザク、あのな、その・・・・」
 なんと言って良いのか分からない。
「ねぇ、ルルーシュ」
「なんだ」
「大好きだよ」
「へぇ?」
「ルルーシュの事が大好き」
「俺も好きだぞ」
「うん、知ってる」
 ルルーシュの好きが友人としての好きだということを。
 でも僕は・・・・・
「そうか」
「でもね、覚えておいて」
「何をだ?」
「ヒマワリ畑で誓ったことは絶対に守るよ」
「え?」
 ヒマワリ畑?
 またしても一面のヒマワリ畑が頭に浮かんだ。
 そして、そこには誰かが居た。
 小さな男の子だ。
 何かを言っている。
 だがルルーシュは、それ以上思い出すことができない。
 どうして?
「ヒマワリの花を買ってくるね」
「え?」
 思いに耽っていたら、スザクが花屋に買いに行ってしまった。
 そして、数分後には店中のヒマワリの花を買ってきてしまった。
「はい。プレゼント」
「なっ!」
 差し出されたのは大きなヒマワリの花束。
「どうしても、ルルーシュにあげたかったんだ」
「だが、」
 こんな大きな花束を持って買い物などできない。
 返そうとしたら、スザクの哀しそうな顔を見てしまった。
「どうしても、僕がルルーシュにあげたかったんだ。ヒマワリの花を」
 大切な思いでだからこそ、どうしてもルルーシュに渡したかった。
「分かった。貰う」
 返しても悲しむだろう。
 だったら、素直に貰っておいた方が良いのかも知れない。
 それに、なぜかヒマワリの花に惹かれるのだ。
 もっと見ていたい。
 そう感じるから。
「良かった」
 今日初めてスザクは嬉しそうに笑った。
 その笑顔に、ルルーシュはヒマワリの花束を貰って良かったと思うのだった。



 

☆これで残すのはナオト兄さんと、ユリウス父のみ。
次回は、どちらを出そうか検討中です。
もうそろそろ番外編的な話を書こうかと考えています。
 

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