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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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パンドラの箱 4

パンドラの箱 4





 ジノが報告のために行ってしまうと、部屋に残されたのはアーニャとスザクの2人。
「大丈夫、アーニャ?」
 戻ってきてからのアーニャの様子がおかし。
 モルドレッドから降りた様子はないし、通信画面でのゼロと接触した形跡も無いからギアスに掛けられた可能性は無いと思うが。
「アーニャ?」
 尚もスザクが心配して問いかけると、
「聞きたいことがある」
 ようやくアーニャが口を開いた。
「何?」
 いつもと同じ無表情だが、いつも以上に瞳が鋭い。
「どうしてスザクはセブンの地位に就いたの?」
「え?」
「ゼロを売ったから?」
 あの人を売ったの?
 誰よりも大切なあの人を。
「それは違うよ。ゼロを売ったわけでなく、捕まえた功績でだよ」
 ゆっくりとアーニャに聞かせるというよりは、自分を納得させるように言っているように聞こえる。
「嘘つき」
 嘘ばっかり。
「アーニャ?」
 どうしたんだろう、やっぱりアーニャの様子が変だ。
「昔話?」
「え?」
「してあげる」
 私の思い出。
「アーニャの?」
 その問いかけにアーニャは、ただスザクを無表情に見つめるだけだった。
「双子の姉妹がいた。姉妹が一番好きだったのは実の兄。兄だけが姉妹にとって一番大切な存在だった」
「それは誰の話?」
 唐突に話し出したことに戸惑いを隠しきれないが、スザクの問いにアーニャは答える気がないようだ。
「姉の方は無口で大人しく、妹の方は活発で明るかった。そんな姉妹を兄は分け隔てなく愛してくれた。だから姉妹にとって本当に大切なのは兄だけだった」
「・・・・・・」
「姉は妹が羨ましかった。素直に甘えることのできる妹が。ずっと我慢していた姉は、ある日とうとう兄に泣きついた。自分が兄の一番の特別になりたいと」
 そこで区切ると、アーニャは遠くを見つめて微かに微笑んだ
「兄が言った。2人だけのときの特別な言い方を決めようよ。姉の方にだけ言う特別な言い方。分かるスザク」
 それまでスザクの方を見ようともしなかったアーニャが初めてスザクの方を見た。
「分からないよ」
 スザクは誰の話をしているのかさえ分からないのだ。
「私のアーニャ」
 何度思い出しても嬉しい。
 特別な呼び名。
「え?それって」
 今まで話していたのはアーニャのことだったのだろうか?
 だが、アーニャに兄妹が居るなど聞いたことが無い。
「兄が2人きりの時には、私をそう呼ぶ」
「へー。お兄さんと妹さんが居たんだね」
 知らなかったよと言うスザクに対して沸くのは殺意。
 知らないでは済まされない。
「ゼロを売ったの?」
「え?」
 どうしてそこに話が戻るのだろう?
「ゼロの正体を知ってる?」
「・・・・・・知らない」
 言える訳が無い。
「私は知ってる」
「え?どうして?」
 どうして知ってるの?
 ゼロとアーニャの接点は無い。
 知るはずがない。
「私のアーニャ。ゼロが私の事を、そう呼んだ」
「え?でも?」
 アーニャの兄がゼロ?
 でもゼロはルルーシュで・・・・
 アレ?
「スザクがあの人を売った。だからスザクはいらない」
 誰よりも大切な兄を売った男。
 そんな男などいらない。
「アーニャ?」
「ゼロの正体は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
「・・・・・・・・・」
 そうルルーシュだ。
「私の失われていた名は、アーニャ・ヴィ・ブリタニア」
「え?」
「ルル兄様の妹。ナナリーの姉。それが私」
「アーニャが皇族?」
 いや、それだけではない。
 ルルーシュやナナリーと兄妹。
「ずっと忘れていたけど、思い出した」
「・・・・・ギアスか」
 皇帝のギアスか。
 まさかアーニャの書き換えられた記憶がルルーシュやナナリーに関係しているとは。
「枢木スザク。ルル兄様を売った男。お前は邪魔」
 ルル兄様の敵は私の敵。
 スザクを殺したらルル兄様は喜んでくれるかな?
「アーニャ、落ち着け」
「死んで」
 ルル兄様の為に。
 スザクに向けられた銃口。
 アーニャの腕からすれば、それは決して外れることは無いだろう。
「そこまでだアーニャ」
 だが割って入った第三者により、撃つ事ができなかった。
「ジノ。邪魔をしないで」
 あと少しだったのに。
「ラウンズ同士の殺生は禁止されている。アーニャだって知っているだろう?」
「知らない。それにラウンズの地位など要らない」
「アーニャ。ゼロは間違っているんだ」
 アーニャを思いとどまらせようと必死のスザクだが、
「間違ってない。間違っているのはスザク」
 ルル兄様を売ったスザク。
「僕は正しいことをしただけだ!」
「それは違う。私にとって正しいのはルル兄様。ナナリーにとってもルル兄様の方が正しいと言うに決まってる」
「そんなこと間違ってる。現にナナリーだってゼロの手を取らなかった」
「それはゼロがルル兄様だと知らなかったから。スザクが騙して教えなかったから。悪いのはスザク」
 全部スザクが悪い。
「僕は・・・・・」
 僕が間違っているなんてありえない。
 間違っているのはゼロだ。
「アーニャはラウンズを抜けるのかい」
 スザクとアーニャの会話を見守っていたジノだが、このままでは埒が明かないと思い割った入った。
「ジノ」
「抜ける。元々ラウンズには興味なかった。ただナイトメアに乗りたかった」
「そうか、止めはしない」
「ジノ!何を言っているんだ!!」
 スザクの叫びもジノやアーニャには関係なかった。
「次に会ったときは敵になる。分かっているのかい」
「分かっている」
 ラウンズは皇帝の騎士。
 ルル兄様の敵。
 私の敵になる。
「なら行け」
「何を言っているんだい、ジノ!」
「行く」
「アーニャも」
「次に会ったときは敵だ。私もスザクもアーニャを殺しに行くよ」
「分かってる」
 それだけ言うとアーニャは振り返る事無く去っていった。
 向かう先は最愛の兄の元。
 今までの無表情が嘘のように、浮かんでいるのは優しい微笑。





☆最近のスザクの扱いがこんなのばかりです。
本編はアレですが、スザクの設定は好きです。
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