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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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パンドラの箱 3

☆終わらなかったので、連載に格上げされました。
いつもの事ながら計画性が無い(泣)




パンドラの箱 3





 作戦は簡単だった。
 ルルーシュと同じように皇帝のギアスにより記憶改竄されている可能性の高いアーニャに、ジェレミアがギアスキャンセラーの力を使うというものだった。
 その後はアーニャの出方を見る。
 ここで一番大切なことは、決してアーニャを傷付けてはいけないということだった。
 敵として居た時は仕方ないとしても、妹だと思い出した以上傷付けることは本意ではない。
 そして、慎重に立てられた作戦が決行された。


 事前に流した偽の情報により、帝国側から出てきた機体はモルドレッドとトリスタンの2機。
 ランスロットは偽の情報により別の場所だろう。
「予定通りだな」
「そうですね」
 あとはトリスタンをカレンに任せて、モルドレッドから引き離せれば完璧だ。
「行くぞジェレミア」
「イエス、ユア ハイネス」
 蜃気楼によってモルドレッドの動きを止めればルルーシュの作戦は成功する。
 だが、流石にラウンズの地位に居るアーニャの動きは完璧だった。
 幼い頃から母の血を色濃く受け継いでいた妹達の運動神経はルルーシュよりも上だ。
 寡黙で大人しいアーニャも、見た目と裏腹に運動神経は抜群だった。
「くそ」
 作戦としては間違っていないが、モルドレッドの動きが予想以上に良い。
「流石はアーニャだ」
 こんな時でなければ、もっと褒め称えたかったが。
「だが、取り返してみせる」
 その想いがルルーシュには強かった。
 不利な体制だったにも関わらず、ルルーシュは渾身の力を込めてモルドレッドを羽交い絞めにして動きを封じることに成功した。
「ジェレミア」
 それは合図。
 今しかなかった。
「はい。ルルーシュ様」
 ルルーシュの言葉と共に、薄っすらと赤い光がモルドレッドを覆った。
「アーニャ!」
 それに慌てたのは、カレンと交戦中だったジノ。
「アンタの相手は私よ。余所見なんてしてるんじゃない」
 今回の作戦の内容を、カレンは詳しく聞いていない。
 だが、初めてルルーシュが頭を下げたのだ。
 『どうしても取り返したい人物が居る。だから協力して欲しい』と。 
 その言葉と態度だけでカレンは充分だった。
 それどころか、あのルルーシュが頼ってきたのだ。ならば、全力で力になるまでだ。
「くそ!アーニャ。聞こえているか?返事をしてくれ」
 あせりながら通信を続けるが、アーニャからの返事はない。
 そこに割り込んできたゼロの通信。
「アーニャ」
 その声は、妹にだけに向かった優しい声。
「「?」」
 初めて聞いたジノや、今回の内容を知らされていなかったカレンには驚きでしかない。
「・・・・・・・・」
 それに対するアーニャの返事は無言だった。
「聞こえているだろう、私のアーニャ」
 どこまでも優しい声。
 ココが戦場だと言うことすら忘れてしまいそうだった。
「わ、私は・・・・・」
 そしてようやく聞こえてきたアーニャの声は、とても弱々しいものだった。
「アーニャ。無事だったのか」
 弱々しいながらも聞こえてきた声に、ジノが近寄ろうとするが、
「アンタの相手は私よ」
 カレンが全力で阻む。
「聞こえるかい。私のアーニャ」
 ゼロの呼びかけはどこまでも甘くて優しい。
 それは大切な者に向けるときの声だ。
 カレンがそう思っていると、
「ゼロ?」
「違うよ。私が誰だか分からないかい。私のアーニャ」
 私のアーニャ。
 そのゼロの言葉を、アーニャは知っていた。
 いや、思い出したのだ。
「ゼロ。いえ、ルル・・・」
 そこまで言いかけたとき、恐ろしい速度で迫ってくる機体があった。
「くそ、ランスロットか」
 予定では、後30分は来れないと見越していたのだが。
「アーニャを放せ、ゼロ!」
 ランスロットの機体が、蜃気楼とモルドレッドを切り離した。
「スザク?」
「そうだよアーニャ。無事で良かった」
 切り離したときに倒れたモルドレッドを起こしながらも背後にいるゼロから意識を離す事はない。
「邪魔をするなスザク!」
 後一歩だったのだ。
 いや、アーニャの記憶は戻っているかもしれない。
 だが確かめていないのだ。
「ゼロ。君は僕が殺す」
 それが自分の役目なのだから。
 ランスロットと蜃気楼が向かい合ったところで、ジノが割って入った。
「スザク、ここは引くぞ」
「ジノ?」
 なんで?
 目の前にゼロが居るのに。
「アーニャが心配だ」
「・・・・・・そうだね」
 そう言われてしまえばスザクとて引き返すしかなかった。
「行こうアーニャ」
「・・・・・・・・」
「アーニャ?」
 アーニャからの返事は無い。
 その事に苛立ちを覚えながらも、スザクはモルドレッドの機体を抱き込むとジノと共に戦線を離脱した。
「ゼロ、追わなくても良いのですか?」
 余りにもアッサリと見逃してしまうことに不満だが、それよりもルルーシュの方が気になった。
 アーニャと呼ばれていた者に対するルルーシュの優しい言葉は、ナナリーに対しての物と同じだった。
「構わない。今回の作戦は成功した」
 もしアーニャに皇帝のギアスが掛かっていたのならば、もう解かれているだろう。
 過去を、俺やナナリーの事を思い出しただろう。
 後はアーニャの出方を待つばかりだった。




☆書いていて自分で思ったことですが、ジャレミアは何処にいるんだろう?
色々考えたのですが、多分無理やり蜃気楼の中に居た事にします。

連載に昇格しましたが、後1、2話で終わると思います。
 

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