忍者ブログ

諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

[35]  [34]  [33]  [32]  [31]  [30]  [29]  [28]  [27]  [26]  [25

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

愛しき姫君 4

愛しき姫君 4「あの人はダレ?」


 そこにいたのは、とても美しい少女。
 美形を見慣れている筈のクロヴィスが一目惚れした程の美しさ。
 それ以上に、ナナリーとスザクには分かってしまった。
「「ル・・」」
 二人が名前を呼ぼうとした時、遮る用に先に言葉を発したのはクロヴィスだった。
「ナナリー」
 嬉しそうなクロヴィスの言葉に、ナナリーとスザクは名目上の目的を思い出した。
 目の前の女性に審議を問いたいのだが、それよりも
「クロヴィスお兄様、お加減はいかがですか?」
 軽傷だと聞いているが、顔色で見る限りは健康そうだった。
「大丈夫だよ。ナナリーがお見舞いに来てくれるなんて嬉しいよ」
 気に入っている妹の登場に、クロヴィスは嬉しくなってしまう。
 気に入っている女性に、気に入っている妹が同じ部屋にいるのだ。
 他の兄弟たちも来てくれれば、もっと嬉しいが贅沢は言えないだろう。
「あ、あのそちらの女性を紹介して頂けませんか?」
 お兄様だ。
 間違いないと何かが告げている。
 でも、
「ああ、良いよ。彼女はルルーシュ・ランペルージ嬢だよ」
「始めまして、ナナリー殿下」
 クロヴィスの言葉に、ルルーシュと呼ばれた少女は初めて口を開いた。
「お兄様」
 ナナリーの呟きに、ルルーシュは下を向いてしまった。
 そして、
「なんだい?」
 返事を返したのはクロヴィスの方だ。
 確かに、この場にいるナナリーの兄はクロヴィスだけなのだ。

『お兄様』

 今度は小さく口元を動かした程度なのだが、下を向いているルルーシュには見えなかった。
「あ、あの」
 それでも、ここで引き下がってしまえば二度と会えなくなってしまうかもしれない。
 それだけは嫌だ!
「何か?」
 ルルーシュはどこかぎこちない。
 それは後ろめたさからくるものなのだが、ここでばれる訳にはいかない。

 手の届く所にナナリーがいるのに。

「お話がしたいです」
 何と言えば良いのだろう。
「恐れ多いことです。私は庶民の出、これ以上殿下方と懇意にするには身分が違いすぎます」
 やんわりと断られたのは分かるが、
「どうしてもダメですか?」
 話したい。
 今までのこと、これからのこと。
 ルルーシュお兄様の傍に居られるのなら、皇族の立場だって棄てても構わない。
「・・・・・・・・・」
 ルルーシュとてナナリーと話したいのだ。
 だが、自分の行動でゼロの立場を悪くするつもりはない。
「あの、あの」
 返事をしないルルーシュに、ナナリーも必死だった。
「申し訳ありません。気分が優れないので退席しても宜しいでしょうか?」
 それは、クロヴィスに向けられた言葉。
 追い詰められているルルーシュは、ナナリーの顔が見れない。
「おや、顔色が悪いね。無理をしてはいけないよ」
 ルルーシュの顔色は蒼白に近い。
 自分を追い詰めてしまったせいだ。
「はい。本当に申し訳ありません」
「いや、私が無理にお見舞いを頼んだのがいけないのだろう。今日はゆっくりと休みなさい」
 今回の訪問は、どうしてもルルーシュに会いたくなったクロヴィスのたっての望だった。
 皇族の、ましてや総裁の言葉を無下にするわけにもいかず、ルルーシュは軍人達に強引に連れてこられたのだ。
「では、申し訳ありませんがお先に失礼させていただきます」
 クロヴィスとナナリーに軽く頭を下げると、ルルーシュは部屋から出て行こうとした。
 そしてナナリーの傍に来たとき『ごめんなさい』それは、本当に小さな呟き。
 でも、ナナリーには十分だだった。
 その一言が全ても物語っている。

『間違いなくお兄様だ』

 その少女こそ兄のルルーシュだと証明している。
「お元気になられましたら、尋ねて行ってもの構いませんか?」
 また断られるだろうか?
 でも、
「はい」
 帰ってきたのは小さな頷き。
 認めたのだ。

 ルルーシュが病室から去ると、
「ナナリー」
「何ですかクロヴィスお兄様」
 どこか困った顔のクロヴィスがいた。
「余り彼女を困らせてはいけないよ」
 出会った当初は、自分も散々困らせたのだ。
 妹にまで同じ事をされたら可哀想だろう。
「分かっていますわ。ただ、確かめたいだけ」
 いえ、もう確かめることはない。
 ただ今までの事を話したいだけだ。
「彼女は、ナナリーの思っているルルーシュとは別人だよ」
 ナナリーが何を確かめたいのか思い当たったクロヴィスは、先に告げておくげきかと考えた。
「・・・・・・・・・」
 別人?
 そんなはずない。
 クロヴィスお兄様は、ルルーシュお兄様が女性だったことを知らないから言うのだろ。
 だけど、私やスザクさんは知っているもの。
 ルルーシュお兄様が女性だったことを。
 そっと後ろを振り返れば、ナナリーの思いに賛同するかのようにスザクも頷いていた。
 そう、二人は確信していた。
 先ほどの女性が、自分達が求めるルルーシュだと。
「私も、微かな希望を持っていた。性別が違うのは気になったが、生きてさえいれば良いと思っていた」
「・・・・・・・・・」
「だから、彼女に内緒でDNA検査をしたんだ」
「え?」
 DNA検査?
「その結果。彼女が私達のルルーシュではないと決定付けられてしまったよ」
「うそ。嘘です」
 そんなはずない。
 別人?
「嘘じゃないよ。彼女のDNAと皇族の義務として保存してあったルルーシュのDNAは違ったんだよ」
「そんな。じゃ・・・」
 あの人はダレ?

 大きな疑問がナナリーとスザクを襲った。 


 

PR

愛しき姫君 5 HOME 愛しき姫君 3

カウンター

プロフィール

HN:
伊月 優
性別:
女性

活力になります

管理用

アクセス解析


ジオターゲティング

検索避け

忍者ブログ [PR]
Template by repe