諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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片翼の天使 4
「ルルーシュ」
ニコニコと嬉しそうに付いて来る男。
「・・・・・・・・」
ハッキリ言えば鬱陶しい。
「あのね、僕凄く嬉しいんだ」
そうだろう、朝出会ってから今まで(既に本日の授業は終わった)一度たりとも笑顔が崩れなかった。
「そうだろな」
見ているだけ引きそうだ。
というか、引いているな。
自分達を遠目に見ているクラスメイト達の視線が全てを物語っていた。
「この一週間、人生の終わりを見た気がしたよ。だから、今は一週間分の幸せを噛み締めているんだ」
えへへへと笑うスザクは、実年齢よりも幼く見える。
「で、どこまで付いて来る気なんだ」
目的を告げる事無く歩くルルーシュにスザクはピタリと付いて来る。
「ルルーシュが行くところまで?」
なぜに疑問系なんだ?
「・・・・・トイレまで付いて来る気か?」
このままでは、トイレにまでも付いてきそうだ。
「うん。一緒に行きたいな」
「・・・・・・・・」
イヤダ。
事前に調べていたのと性格が違わないか?
こんなキャラなのか?
スザクの行動は、ルルーシュの理解を超えていた。
「だって、離れたくないんだ」
少しでも長く傍に居たい。
離れたくない。
今は、それしか考えられないんだ。
「生徒会室に行きたい」
話を切り上げるべく言えば、
「会長から聞いてる。生徒会に入るんだよね」
「そうだ。強制らしい」
「会長は強引だから」
だが、どんなに強引でも会長は好かれている。
現にルルーシュも苦笑はしていても嫌そうではない。
「ミレイは昔からそうだった」
「会長のこと呼び捨てなんだ」
ふん~ん。
元々知り合いというか、親戚だっけ?
だから呼び捨てでもおかしくないかも知れないが、
「付き合いは長いからな」
「そうなんだ」
嫌だな。
ルルーシュの表情は全部独り占めしたい。
「どうかしたのか?」
急に機嫌が悪くなったスザクに、ルルーシュは困惑してしまった。
『困惑』?
どうして?
どうしてスザクのことが気になるんだ?
ターゲットだから?
本当に、それだけ?
自分でも持て余す感覚にルルーシュは困り果ててしまった。
ここ数年、自分の感情は完璧に抑えられていたのに。
スザクは簡単に掻き乱す。
「ねぇ、ルルーシュ」
そういえば、
「なんだ?」
「名前を呼んで」
名前を呼ばれていない。
そういえば、今日一日付き纏って(一応は自覚していた)いたけど、一度もルルーシュに名前を呼ばれることが無かった。
過去を振り返ってみても、名乗る前にフルネームを一度言われたきりで他にはない。
「なぜ?」
「聞きたいから」
「・・・・・・・・」
「ルルーシュの口から僕の名前を聞きたい」
「・・・・・・・・」
それは、拘る所なんだろうか?
普通の友人付き合いと言うことに疎いルルーシュには分からなかった。
「ダメかな?」
どうしても聞きたいんだけど。
シュンとするスザクの姿に、ルルーシュに胸が高鳴った。
「スザク」
だから、思わず名前を呟いたのは、殆ど無意識だった。
「ルルーシュv。もう、なんだろ。死にそうなくらい嬉しい」
今日一番のニコニコ顔で、スザクの顔は期待に満ちている。
「大げさだな」
たかが名前を呼んだだけでココまで喜んで貰えるとは思いもしなかった。
「僕にしたら大げさじゃないよ。それより、生徒会室の場所分かる?」
「いや」
キッパリというルルーシュにスザクの力が脱げた。
「そっか、案内してあげる」
「当たり前だ」
言い切るぐらいなら、先頭を歩かないでほしい。
よどみの無い歩きで黙々と歩くから、付いていていてのだが。
「変わってるって、言われない?」
変わっているというか、どこか感覚がずれている。
「言われない」
そんなこと、言われたことがない。
「そっか」
絶対に変わっていると思うんだけどな。
「それよりもスザク、案内しろ」
「うん」
やっぱり、名前を呼ばれると嬉しい。
ニコニコとクラブハウスに付くまでスザクの表情が崩れることはなかった。
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