諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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片翼の天使 3
そのまま二人は暫く見詰め合っていたが、時間を気にし始めたルルーシュが、
「帰る」
それだけ言うと、歩き出してしまった。
「送って行くよ」
「結構だ」
スザクの言葉を遮ると黙々と歩いている。
追いかけているスザクは余裕があるが、その事をルルーシュに言うことはしなかった。
短い遣り取りだが、ルルーシュのプライドが高いのが伺える。
そんなルルーシュへ不要な一言は厳禁だろう。
「租界に向かってるね」
方向的には租界に向かっている。
最短的な道からは外れているが、素人が通る道ではない。
「ルルーシュって何者?」
「ノーコメント」
「え~それくらい教えて欲しいな」
「・・・・・・・・・」
ダメのようだ。
それでも初対面でココまで喋れれば良い方なのかもしれないが、
「もっとルルーシュの事が知りたいんだ」
「・・・・・・・・・」
「どうしてもダメ?」
ココで分かれたくない。
このままルルーシュを知らなかった時には戻れない。
「物好きだな」
「違うよ。ルルーシュだから知りたいんだ」
コレは一目惚れだ。
相手は男(多分?)で、美人だけど態度が冷たくて(初対面なのだから当たり前かもしれないけど)でも、惚れたのだ。
「今日は、まだ用事が残っている」
「え?」
それって?
どういう意味ですか?
「明日」
「明日?」
「いや、明日は無理だな。まぁいい、次に会った時だ」
「何が?」
ルルーシュさん。言っている意味が分からないのですが?
今ほど自分の頭の悪さを嘆いたことはない。
だって、本当に何が言いたいのか分からないんだ。
「だから、次に会った時だ」
ルルーシュがそれだけ言ったとき、租界にまで辿り着いていた。
「ルルーシュ?」
どういう事でしょう?
「またな」
そう言うと、ちょうど遣って来た車に乗り込んでしまった。
「ルルーシュ!」
嘘。
まだ聞いてない!
だが、ルルーシュの乗り込んだ黒塗りの高級車は無情にも遠ざかっていってしまった。
「ルルーシュ!!」
スザクの叫びも空しく響いた。
それから一週間がたった。
「ちょっと、溜息が鬱陶しいんだけど」
ここ一週間ほどスザクの様子が変だった。
初めこそ遠慮していたカレンだが、流石に鬱陶しくなってきた。
「はぁぁ」
「だぁ~!マジでどうしたんだよ!」
カレンのみならず、リヴァルも堪りかねていた。
「もうダメ」
「「だから、何が」よ」
二人が詰め寄っても、スザクは浮上することができない。
アレから一週間だ。
もう一週間と言っても良い。
どれだけ悔やんだか。
「ルルーシュ!」
溜息の次は叫び。
「って誰よ」
ルルーシュって誰よ。
本気で壊れたのかしら。
「え?ルルーシュって、ルルーシュ・ランペルージ?」
「リヴァル知ってるの」
それまでの憂鬱は雰囲気から一転して、血走った目でリヴァルに詰め寄った。
「わぁ!」
スザクさん。両肩に食い込む手が痛すぎます。
「ちょっちょと、スザク。リヴァルが壊れるから!」
手を食い込ませるだけでは物足りないのか、ガクガクと頭まで振っている。
「で、知ってるの!!」
見事にカレンの言葉はスルーだ。
「だから、手を離さないと何も喋れないわよ」
リヴァルの顔色が悪い。
意識が飛び掛っているのだろう。
「うぅぅぅ。で、知ってるの?」
渋々手を離したが、諦めきれていないのが伺える。
返答しだいでは、またあの世に近くなりそうだ。
リヴァルがゾーっとしながらも、
「職員室で聞いたんだよ。会長が言っていた例の転校生の名前が、ルルーシュ・ランペルージだって」
「会長が言っていたって、確か美人な男?」
そういえば、そんな事を言っていたような気がする。
その後直ぐにルルーシュに出会ったので忘れていたが。
「そう、その。で、その転校生が今日来るらしい」
リヴァルの言葉に、スザクの中で何かが繋がった。
「ああ、そうか」
だからルルーシュは次に会ったときと言ったのだと。
逢えることが分かっていたのだ。
「納得しているとこ悪いんだけど、知り合いなの?」
憑き物が落ちたようなスザクの様子にカレンが問えば、
「これから知り合うんだ」
「「はぁ?」」
ニッコリと嬉しそうに言うスザクに二人は呆れてしまった。
そして、二人は二度目の会合をするのだった。
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