忍者ブログ

諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

[27]  [26]  [25]  [24]  [23]  [22]  [21]  [20]  [18]  [17]  [16

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

愛しき姫君 2

愛しき姫君 2「クロヴィスの怪我」



 上位皇位継承者達のエリア11行きは、直ぐには来なかった。
 それぞれが重要な仕事を任されている身として、簡単には自分達が任されたエリアから動けない為だ。

「スザクさん」
 ナナリーは車椅子を押してくれているスザクに問いかけた。
「なんだいナナリー?」
 本来ならば敬語を使わなくてはならない身だが、ナナリーの希望でルルーシュの幼馴染として許されている。
「クロヴィスお兄様が言っていた方は・・・・」
 続かなくても、ナナリーが何を言いたいのかスザクにも分かった。
「多分ね」
 ルルーシュがナゼ男として暮らしていたのかナナリーも知らなかった。
 スザクが聞いても答えてくれなかった。
 そのことで喧嘩をしたこともある。
 今では懐かしい思い出だ。
「早く、日本に行きたいです」
 一刻も早くお兄様に逢いたい。
「そうだね。ルルーシュに逢いたいね」

 二人の思いは、遠く離れた国にいるであろうルルーシュの元に向かっていた。

 それから一週間もしないうちに、その時が訪れた。
 慌ててやってきた軍人から告げられた内容は、信じられないものだった。
「クロヴィスお兄様がお怪我?」
 突然の話に、ナナリーが動揺を隠せない。
「それで、クロヴィス殿下は?」
 真っ青になり、震えているナナリーの肩に手を当てながらスザクが聞いた。
「幸いなことに軽傷ですので、1週間ほど検査入院程度だそうです」
「よかった・・・・」
 テロによる怪我と聞いて、ナナリーの脳裏に幼い頃の惨事が過ぎったのだが、軽少という言葉に力が抜けた。
「あの、クロヴィス殿下に怪我を負わせたテロリストは、その・・・・」
 まさかという思い。
「黒の騎士団だ」
「それは、ゼロですか?」
「ああ、そう聞いている」
「そんな!」
 ようやく落ち着きを取り戻したナナリーも、その言葉に別の意味で驚きを隠せない。
「エリア11へ行きたいのですが」
 スザクの思いつめた声に、報告に来ただけの軍人も何かを察したらしい。
「エリア11は、君の故郷だったね。帰りたい気持ちは分かるが、クロヴィス殿下が怪我をなされている今、シュナイゼル殿下の許可が許可がいる」
 違う意味で解釈した軍人には悪いが、スザクには訂正する気持ちはない。
 下手したら、ルルーシュに不利になるかもしれないのだ。
「シュナイゼルお兄様の許可が下りれば、行っても良いのですか?」
「現在、暫定的ではありますが、シュナイゼル殿下がエリア11の政務を肩代わりされております。ですので、シュナイゼル殿下の許可がありさえすれば大丈夫だと思います」
「分かりました。後はシュナイゼルお兄様と話します。貴方は、もう下がっても構いません」
 ナナリーが皇族の顔で言えば、
「イエス・ユア・ハイネス」
 ブリタニアの軍人が逆らえるはずもなく、綺麗な礼を取ると部屋から出て行った。
「スザクさん」
「ナナリー」
「日本へ行きましょう」
「そうだね」
 答えは日本に・・・エリア11にあるはずだから。

 


「ゼロ」
 礼儀には煩いルルーシュにしては珍しく、慌てて部屋に入ってきた。
「どうした?」
 部屋で寛いでいたゼロは、大切な少女が泣きそうな顔なのに驚いた。
「クロヴィスが怪我をしたって」
「ああ、その事か」
「黒の騎士団がやったのか?」
 クロヴィスを襲う計画などルルーシュは聞いていなかった。
「そうだ」
「作戦は誰が考えたんだ?」
 普段であれば自分が考えている。
 だが、今回のことはノータッチだった。
「私だ」
 ゼロが言えば、
「そう」
 哀しそうにルルーシュが呟いた。
「軽傷だ。ルルーシュが気に病むことは無い」
「軽傷?」
 ニュースではテロリストにより怪我をしたとしか報道されていない。
「じゃぁ、生きているの?」
 実際に死んでいても、皇族と言う鎖に繋がれたモノは死の自由すら与えられない。
「もちろんだ」
「そう。良かった・・・・。あ!」
 黒の騎士団お一員としては、あるまじき発言だ。
「気にしていない」
「でも」
 泣きそうなルルーシュ。
「初めは、怪我をさせるつもりも無かった」
 ゼロにしてはバツの悪そうな顔。
「え?」
「クロヴィスに何かあればルルーシュが悲しむ。分かっていたからこそ、慎重に作戦を練った」
 だが、結果的には軽傷とはいえ怪我をさせてしまった。
「それって、クロヴェスが勝手に動いた末の自業自得?」
 なの?
「そうなるな」
「そんな・・・・・」
「ルルーシュが気に病むことは無い。悪いのは・・・全ての責任は私が取る」 
 ゼロの言葉は、いつも変わらない。
 全ての責任を一人で請け負う覚悟で黒の騎士団を作った。
 そんなゼロを支えたい。
 それが、自分に出来るただ一つのことなのに。
「私じゃ、役に立たない?」
 傍に居ることしかできないのだろうか?
「役に立っているさ。作戦だってルルーシュおかげで勝利していることが多い」
「でも・・・それだけじゃ・・・・・」
 もっと役に立ちたいのに。
「それだけで十分だ」
「・・・・・・・・」
「それに、私の傍にいてくれるのだろ」
 自分と似た顔のルルーシュ。
 似ているのに、全く違う美しさを持っている。
 誰よりも愛しい人。
「絶対にゼロの傍から離れないんだから」
 それが、自分にできる一番のことなら、絶対に離れない。
 最後までゼロに付いて行くんだから。
「ありがとう」
 ゼロが微笑めば、
「ゼロ」
 ルルーシュもゼロにだけ見せる優しい微笑を向けた。


 この瞬間は、二人とも同じ思いだった。
 二人だけの共犯者。





☆あれ?本来ならナナリーとスザクとルルーシュが会う所まで進めたかったのに進まなかった(汗)
 ラストのカップリングは決まっていませんが、ちょっとゼロを幸せにしたくなっています。

 

PR

誰ですか? HOME 隠れてキス

カウンター

プロフィール

HN:
伊月 優
性別:
女性

活力になります

管理用

アクセス解析


ジオターゲティング

検索避け

忍者ブログ [PR]
Template by repe