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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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片翼の天使 2

 スザクにとって、租界の暮らしは馴染めないものだった。
 全てがブリタニアの物で溢れている。
「ココの方が落ち着く」
 だから、気が向くとゲットーに来てしまうのだ。
「でも、ココの人たちから見れば、僕は裏切り者なんだろうな」
 租界で暮らすことを許された日本人。
 それが意味することは名誉ブリタニア人。
 日本人でありながら、日本を裏切っている存在。
「所詮僕は・・・・・」
 初めはスザクが望んだ事ではなかった。
 その時、スザクに許されていた選択肢は死か名誉ブリタニア人になるかだった。
「死ぬのは怖くなかった」
 本当に怖かったのは、皆が死んでしまうこと。
 目の前で殺されていく日本人。
 それを止めるにはスザクが名誉ブリタニア人になると宣言するしかなかったのだ。
「強制だったのに・・・」
 そう、あれは強制だった。
 日本最後の首相枢木ゲンブの息子が、名誉ブリタニア人になることで、日本は完全にブリタニアの支配化になる事を回りに知らしめたのだ。

 ゲットーには当時の事を知るものも居る。
 彼らにとっては、スザクこそブリタニア以上の敵なのだ。
 現に、ゲットーに来る数回に一回は石を投げつけられることがある。
 それでもスザクにとっては、ゲットーこそが自分の居場所だと思っている。
「だから・・・・・」
 だからこそ藤堂師匠に協力しようと思ったのだ。
 テロリストと呼ばれる行為に抵抗がないとは言えないが、それしか残されていないのだ。

 いつもの様にゲットーをブラブラしていると、
「え?」
 毅然と佇む少年が目に留まった。
 前方を見ている為に後姿しか見えない。
 黒い髪に日本人かと思ったが、服から出ている手の白さがそれを否定していた。
「ブリタニア人?」
 ブリタニア人がゲットーで何を?
「あ?」
 少年がスザクの気配に気が付いたのか、振り返った。
「うそ」
 振り返った少年の美しさは息を呑むほどだった。
 スザクを見つめる少年の目は、どこまでも澄んでいて綺麗だ。
 顔も体も、一つ一つのパーツが完璧なまでに配置されている。
「あっあの」
 心臓が有り得ない速さで脈打っているのが分かる。
「・・・・・・・・・」
 少年が不審そうにスザクを見ている。
「えっと、良かったら案内でもしようか?」
 ブリタニア人である少年が、ゲットーに詳しいとは思えない。
 だからこその申し出だったのだが、
「結構だ」
 秒殺で断られてしまった。
「でも、ココはブリタニア人が居ても風当たりが悪いよ。だから、」
 自分と居たほうが良いと言いたかったのだが、
「お前と居ても同じだと思うが」
「え?」
「枢木スザク」
「どうして?」
 どうして僕の名前を知っているの?
「さぁ、どうしてだろうな」
 そう言いながら遠い目をする少年の姿に、スザクの胸が痛んだ。
「名前を教えて欲しいんだけど」
「・・・・・・・・・」
「ダメかな?」
 このまま分かれてしまえば、二度と会えないかもしれない。
 そんなこと嫌だ。
「ルルーシュ」
「え?」
「俺の名前だ」
 どういった心境の変化か、少年は名前を教えてくれた。
「えっと、僕は、」
「知っている」
 そうだろう、先ほどルルーシュが言い当てたのだから。
 でも、
「枢木スザク」
「・・・・・・・・・」
「ちゃんと、自分で名乗りたかったんだ」
 だから知っているルルーシュに、もう一度名乗った。
「変なヤツ」
 それがスザクに対する第一印象だった。

 これが二人の出会いだった。



 

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